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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
10章

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6話 【アリス】必要だった?

 

『君達の目的であるこの世界を壊す方法は1つだけ』

『この世界のどこかにいる【アリス】を見つけ出し、君らが入ってきた場所から【アリス】と共に脱出することだニャ』


 猫はそう言いながら僕らの背後を指し示すのでそちらを振り返ると、大きな白い渦があった。

 いつでも脱出可能なのか。


『ただし【アリス】を見つけたからってすぐに連れ出せるわけじゃないよ』

『【アリス】はこの世界に縛られているニャ。そこから解放するために5つの〝鍵〟が必要だニャ』

『〝鍵〟を見つけ出したらあそこの時計に使ってね』


 どこかで見た時計であり、その針は全く進んでいなかった――って、あの時計、マリとイザベルが冒険者から攻撃された時に防御に使ってたやつじゃん。

 あれがあるとマリとイザベルには攻撃が一切効かないとか言ってたはず。

 それがルールに組み込まれているっておかしくない?

 なんだか他で使っていた道具を別の場所で利用しているような感じだ。


『最初にマリとイザベルに取り込まれた時と今で法則が変わっているような……』

『そりゃそうよ。だって私達、言うなればただの〝夢〟だもの』

『宿主のいない〝夢〟だったから、あの時は童話のアリスをモチーフに適当なルールを設定していただけだわ』

「「「きゃっ!?」」」

『うわっ、出た!?』


 この騒動の元凶であり、僕を【アリス】に仕立て上げた魔女のマリとイザベルが唐突に現れて、思わず僕らは驚いてしまった。

 この空間を創った2人なのだからいるに決まっているというのに。


『あらやだ失礼ね。あなた達が入ってきたからわざわざ来てあげたのに』

『ほら、咽び泣いて歓迎しなさい』


 別に会いたいと思ってなんていないんだからね。いやまじで。


 まあでもせっかく来た事だし、気になった事をついでに聞いてみようか。


『【アリス】って2人の事じゃなかったんですね』

『そんな事一言も言ってないわ』

『私達は【アリス】の〝夢〟。あの時は【アリス】がいなかったから、適当な場所に隠している〝鍵〟で時計の針を動かせば私達に直接干渉できる程度のルールだったわ』

『その状態で私達に攻撃して倒せばクリア、()()()わ』

『今は【アリス(あなた)】がいるから私達に干渉できないし、仮に私達を倒せたところで【アリス】はクリアできないわね』


 キシシ、クシシと楽し気に笑いながら言ってますけど、人を勝手に【アリス】に仕立て上げないでくれませんかね。

 お陰で外がとんでもない事になってるんですけど。


 もしも僕が外の世界であの被害を受けたら、咽び泣きながらこの世界に特攻して復讐してたよ。


『ちなみに【アリス】のいない状態でも私達は一方的に干渉できてたし、〝夢〟だから自由自在に攻撃できてたわよ』

『空想できる全てが現実になるわ。【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】を生み出すことだって出来ちゃう』

『リソースの問題があるからそこまで無茶苦茶する場合、リソースを貯える時間か手っ取り早く生贄がいるのだけど』


……【アリス】がいない方が強いのでは?

 というか生贄って、暴れてた“平穏の翼”の人達の事な気が……。

 うん、気にしたら負けだ。


『ま、私達の事はどうでもいいわ。すでにあの時とは違うし、もう私達は直接あなた達に干渉できないもの』

『ええそうね。でもだからこそ、キチンとルールを聞いておかないと後悔する事になるわよ』


 マリとイザベルが特にこちらに対して何かする気が無いようだし、そもそもその気があるならとっくに何かしてるよね。

 マリとイザベルが本当にこちらに直接危害を加えられなくなっているかは分からないけど、今はルールを把握することに注力するべきか。


 ウサギと猫に意識を向けると、わざわざこちらを待っていてくれたのか、先ほどまで黙っていたウサギと猫が咳払いしてルールの説明を再開し始めた。


『この世界のどこかにある〝鍵〟を君達は見つけないといけないわけだけど、当然それを阻む敵が存在する』

『だけどお前達はその敵を()()()()()()()()()()()ニャ』


 猫の発言に周囲がざわつく。

 敵がいるのに対処できないとかどうしろと?


『はいはい静かに。直接戦えない君達の代わりにあるモノを支給するよ』


 ――ポンッ


 各自の目の前で軽い破裂音と真っ白な煙が上がり、そこから現れたのはスマホだった。


『……あれ、僕には?』


 僕を抱えている冬乃と僕の前に浮かんでいるのは1つのスマホだけで、それが位置的に冬乃のモノのとしか思えない。


『あるわけないニャ。お前は大人しくしてるニャ』

『酷い!?』


 こっちは確かにラジコンみたいなもので僕自身は囚われの身と言っていいけど、それにしたって参戦不可とかそれはないでしょ!?


『クシシ、囚われのお姫様が自分で戦うなんて有り得ないでしょ?』

『キシシ、騎士の助けを待つのがお姫様の役割なのよ』


 マリとイザベルが僕を見ながら愉快そうに笑っているけど、僕は全く笑えません。

 自力で脱出は無理か~。


『全員スマホは受け取ったよね? それは君達がこの世界で唯一使う事が出来る武器だよ』

『無くしても勝手に手元に戻ってくるから安心するがいいニャ』


 スマホが武器って、まるで普段の僕のようだけど一体スマホでどう戦うんだろ?


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] これからはピーチソーダと呼ぶべきかw そうか蒼汰は戦闘には直接参加できないのかぁ あれ?いままでとあまりかわりない??
[一言] アリス役が普段スマホで戦っているから入ってきた挑戦者も同じように戦わされるんですかね? にしても主人公は攫われすぎでは…?桃幻鏡で一回、ミノタウロウで一回、学園で数回、これもはやキノコの国…
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