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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
9章

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23話 あなた本当に人間?

 

『『あはははは! 可笑しいわ可笑しいわ。エバ姉様ったら相変わらずで可笑しいわ!』』


 エバノラと出会った事や、エバノラの試練について話していたら大爆笑されてしまった。


『酷い試練もあったものね。昔から、こんなの誰が受けたがるの? って言いたくなるような試練ばかり創ってたから、当然と言えば当然なんでしょうけど』

『ええそうね。そしてそんな酷い試練をクリアしたあなた達も面白いわ。エバ姉様の試練はとても大変だったでしょ?』

「悲しいくらいに否定できませんね」


 乃亜の言葉に僕ら3人は深く頷いてしまう。


 人を徹底的に発情させてくる上に、クリアするまでの道筋が分かりづら過ぎてクリアできたのが奇跡みたいなものだったし。

 その分報酬は良かった……良かったかな?


 辛うじて【典正装備】は名前こそあれでも一応使えるけど、安全地帯の創造に至ってはそんな力のせいで厄介ごとを引き寄せているような……?


『それにしてもエバ姉様だけでなく、怠け者にも会ったのね』


 エバノラだけでなく同じ魔女つながりでローリーについても話したところ、そちらに対しても食いついてきた。


 それにしてもエバノラに対しては丁寧な呼び方なのに、ローリーに対しては割と酷い呼び方なんだね。


『いつもぐうたらしてたけど、ダンジョンになっても怠けているなんてしょうがない子だわ』

『“怠惰”の特性上仕方のない事だけどね。でもそんなあの子があなた達の手伝いをしたんだからビックリだわ』

『本当ね。関わる事すらまともに出来ないから、エバ姉様かアグネスくらいしかあの子を動かせなかったのに』

『でもあの2人でも触るのすら大変そうにしていたのに、背負って運ぶなんて――』

『『あなた本当に人間?』』


魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】に人間かどうか疑わしいと言われたのは僕くらいのものでは?


「何気に酷い事言いますね」

『しょうがないわ。だって普通じゃないもの』

『そうよ。普通じゃないわ』


 2人して普通じゃないを連呼しないでください。


『あ~可笑しかった。じゃ、試練頑張ってね。キシシ』

『気を抜いたら死んじゃうから気を付けるのよ。クシシ』


 2人にせがまれたせいでエバノラとローリーについて話していたら、あっという間に黒い渦の前まで来ていた。


 これから試練が始まると言うのに、微妙に緊張感が保てなくなったのだけどどうしてくれる。


「はぁ~、やるしかないか。……よし! みんな、準備はいい?」

「はい。〔閉ざされた視界(フォーリン)開かれた性癖(プロクリヴィティ)〕は装着済みです」


 今回の迷宮氾濫(デスパレード)では【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】ほど強力な存在と戦う事はないと思って身に着けてなかったからね。

 世の中何が起こるか分からないんだし、これからは些細な戦いでも前もって身に着けておいた方がいいかもしれない。


「私も問題ないわ」

「咲夜も」

『ワタシはご主人さまに着いて行くだけなのです』


 冬乃も咲夜も準備万端と自身の装備を見せてきて、アヤメは一旦僕のスキルのスマホの中に戻っていった。

 もしかしたらアヤメも試練の対象になるかもしれないから、スマホ内に避難することでそれを回避できるだろうと考えてのことだ。


「ワタシも十分休めたから問題ないよ」


 ソフィアさんは先ほどカティンカと全力で戦闘していたため疲労していたけど、もう問題なさそうだ。

 少しだけ気落ちしているように見えるので、カティンカから情報を引き出せなかった事を悔いているのだろう。


「私も問題ない」


 ハッキリとした口調とは裏腹にオリヴィアさんの方はソフィアさんと違ってあからさまに落ち込んでいるのがよく分かった。

 カティンカが強すぎたとはいえ、手も足も出なかった事が悔しくてたまらないのかな?

 でもレベル差とかかなり大きかっただろうし、どうしようもなかったと思うんだけどな。


「………」


 そして一番やばそうなのがオルガだ。

 先ほどから一切喋らず僕の服を摘まんだまま離れようとしない。大丈夫なんだろうか?


「オルガ、戦えそう?」

「………」


 下から見上げる様にこちらに視線を向けてはいるけれど、相変わらずの無言。

 できれば全員で生き残りたいから、個別で戦う事になりそうな現状では気を取り直して欲しいところだけど……。


 そんな風に思いながらオルガを見ていたら、僕に引っ付いていて寂しそうで不安そうな姿がまるで迷子の子供でも見ているかのような気分になってしまい、思わずその頭を撫でていた。


「……あっ」


 オルガは漏れ出たような声を出したと思ったら、今度は僕の身体に顔をうずめる様にくっ付いて来た。


 先ほどまでのオルガの様子があんまりにも酷かったから、乃亜達はオルガに対して何も言わないけれど、さすがに密着しすぎのような……。


 少し心配して乃亜達を見ると、以外にも反応は薄かった。

 オルガの姉を名乗る人物が現れその人に殺されそうになったこともあり、3人はさすがに今のオルガの行動を咎めようという気にはなれないのかな?


 とりあえずオルガが落ち着くまで頭を撫でてあげるか。


『あらあら、何をのんびりしているのかしら?』

『あらあら、何をゆったりとしているのかしら?』

『『もうあなた達の番なのだからとっとと入りなさいな』』


 しかし空気を読まない2人に、僕らは黒い渦に無理やり放り込まれてしまった。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] なるほど マリとイザベルはどこかの高校の男子生徒一同の気持ちを代弁してくれたと(*´ω`*)やさしい
[気になる点] たしか母親が現代の魔女でしたか 未登場の父親もただの人間じゃないのかな
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