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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
9章

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22話 [セーブ&ロード]の隠れた制限

 

 シャドーハンティングの試練を受けるために指定された黒い渦へと向かうけど、“平穏の翼”が排除されたとはいえ数千人もいるせいで中々その黒い渦へとは辿り着かない。

 特に僕らはマリとイザベルの近くにいたせいか、最後尾に出現しているそこに辿り着くのはここにいる人達がほぼ全員潜ってからになりそうだ。


 これだけ時間がかかると緊張感も薄れそうだし、何千人と大勢人がいるせいで混雑しているためか、呼び出されたヘッズマンと赤の騎士が交通誘導員のおじいちゃんのように手を振って僕らを誘導しだす光景がシュールすぎて余計に緊張感を保てないよ。


「シャドーハンティングとなると死ぬ危険がある試練か。最悪乃亜の[セーブ&ロード]で乃亜が過去に戻った時に、今日の出来事を伝えて2日目の迷宮氾濫(デスパレード)は逃げるなり対策をするしかないかな?」

「ごめんなさい先輩。それは無理です……」

「え、どうして?!」


 乃亜のその力が最後の保険なんだけど、何故無理なの?


「この空間内に閉じ込められた後、[セーブ&ロード]を確認したらセーブした地点のロードが不可になっていました。

 おそらくですがこのスキル、結界のような空間に閉じ込められたら、結界外をセーブ地点にしているとその地点へのロードができなくなる仕様みたいです」


 [セーブ&ロード]なんて破格な力、矢沢さんの[役者はここに集う(オールスター)緞帳よ上がれ(カーテンコール)]並みに強力だけど、スキルスロットを犠牲にしている矢沢さんのとは違い、普通の派生スキルなだけあって制限が多かったか。


 明記してあるのだけでも死ぬ以外の方法ではロードできないのと、1日1度だけという制限があったけど、隠れた制限として実はセーブが3日までしか記録を保持できなかった。

 それに加え他にもこんな制限まであるとは知らなかったよ。


 このスキルばかりは使って試すわけにもいかないだけあり詳しく調べられてなかったとはいえ、こんな制限普通は気づけないよ。


「どうしましょう? 私が生き残ることに賭けてセーブ地点を変えないか、それとも今この時この場所をセーブ地点に変えて2回挑戦できるようにしておくか。

 また[選択肢]のスキルが発動してこの2択を迫られています。

 もしかしたらこの選択が私達の命にかかわるかもしれません」


 これはかなり責任重大だ。

 選択次第ではバッドエンドとか、さっきの冬乃の時の[選択肢]とのギャップが酷すぎて笑えないよ。


 どうする? どっちを選ぶのが正解なんだ?


「ここをセーブ地点にする方がいいと思、う」


 どうしようか[セーブ&ロード]の概要を知っている乃亜達4人と考えていたら、咲夜がそう提案してきたのでそちらへと全員が視線を向けていた。


『何故なのです?』

「乃亜ちゃんだけを生き残らせて脱出させれば、最悪外で[セーブ&ロード]は使える。

 けど先ほどの試練内容、もしかしたら全員で協力できる試練じゃない可能性が高い」

「どうして咲夜さんはそう思うの?」

「さっき、あの人達は自分と同じ能力を持つ敵と戦うと言った。全員が協力して戦えるのであれば試練として成り立つか怪しい」


 確かに数人であれば全員が同じ場所で戦っても試練の内容としては成り立つ。


 だけど数千人が同じ場所で戦えば遭遇することすら困難だ。

 シャドーハンティングという名称から考えると自分の影を狩るのだろうから、自分の影を探して倒す試練の内容であれば1人1人が別々の空間に飛ばされてもおかしくない、か。


「分かった。僕はその考えに賛成だ」

「私もよ」

『ワタシもそれに賛成なのです』

「当然提案した咲夜も」


 僕ら4人は賛成であり、4人が乃亜へと視線を向けると乃亜はコクリと頷いた。


「分かりました。わたしは今ここでセーブする事にします。……出来れば使う必要が無いといいんですけどね」


 [選択肢]がどれほどの効果を示すか未知数だから何とも言えないところだ。

 もしも[選択肢]が未来を完全に見通すほどの精度であれば、[選択肢]が示す選択がかなり重要なものになる。


 だけどもし[選択肢]が乃亜の感覚を最大限に引き出し、超直感とでもいうべき第六感のようなものを形にしているのであれば、[選択肢]はあくまでも可能性の未来を示唆している程度で、重要な局面で意識するポイントを教えてくれるだけのものと言える。


 [選択肢]のスキルの説明にある「選択肢を選んで未来を決定する」という部分、そこに記載してある「未来」が遠い未来の出来事を指すのか、選んだという事に対する直近の事実を指すものかで意味合いが大分変わる。


 前者であれば未来を完全に見通し、後者であれば第六感なのだけど、出来れば今回に限って言えば後者であって欲しいところだ。


『あらあら、そんな真剣に考えても無駄なのに』

『ええそうね。どうせ死ぬときは死ぬのだから気にするだけ無駄よ』

「何てこと言うんだ」


 僕らの話し合いにシレっと混ざり込んできたのは、先ほどから黙ってこちらをうかがっているソフィア達ではなく、何故かマリとイザベルだった。


「【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】なのに何故そんなに親し気に話しかけてくるのか」

『あらあら別にいいじゃない。それにさっきも言った通り話を聞く時間が欲しいと言ったわ』

『そうでなかったら個別に全員の足元にあの黒い渦を作れば済む話だったもの。まさか嫌とは言わないわよね』


 この2人の目は明らかに嫌とは言わせないと言外にそう語っていた。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] セーブした瞬間に死んだ未来の記憶がこないなら死んでない保証になるのでは? 死んでロードしたら記憶そのままで過去に飛ぶんだから。 ノアのスキルが1番異質ですね あとエロゲスキルっていうなら妊娠…
[良い点] なるほど、 まおう(設定)にまわりこまれた にげられなかった 緊張感出てきたぁ! [一言] さて、彼女たちはどんな性へk、、、ゲフンゲフン お話をしようというのか?
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