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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
7章

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23話 [Now Loading]

 

 誰もが経験したことはないだろうか?

 スマホのアプリゲーを起動した際、Now Loadingの文字が出てその画面のままずっと静止している事が。


 そしてみんな思うだろう。

 長い、と。


『なっ、馬鹿な!? 私の力が止められた?!』


 派生スキル[Now Loading]は能力やスキルに対し、その発動を遅延させることができるというもの。

 ある程度近くでしか使えない上に、あくまで発動を遅延しているだけで効果を無効にしている訳ではないのが残念なところだ。

 今回は魔法陣が足元まで広がったから発動できたよ。


「急いでください。1分程度しか止められません!」

「ナイスだボウズ! 今の内にこいつを叩くぞ!!」


 (野生ボウズ)さんが凶悪な笑みを浮かべて、頼綱の方に駆け出していくのが見えた。


『くっ、この力が使えないのなら別の力を。〝飛騨統一〟!』


 頼綱が慌てて別の能力を発動しようとしたけれど何も起こらず、目前まで来た(野生ボウズ)さんが振るう槍を慌てて刀で受け止めていた。


『そんな! 1000人の部下を召喚する力まで使えないの!?』


 おそらくだけど〝密かな乗っ取り〟という力が大きすぎる上に、別の強力な力を使用しようとした弊害だろう。


 たとえば冬乃の[狐火]のような力であれば、そちらの発動を仮に止められたとしても[幻惑]のスキルは発動できるはずだ。

 逆に咲夜の[鬼神]を止めた場合、[治癒術]のスキルは発動できないと思う。

 この両者の違いは単純に同時に発動できるかどうかだ。


 あくまで[Now Loading]は発動の遅延なので、遅延されている能力は発動している最中だと言っていい。

 そして〝密かな乗っ取り〟のような空間を構築するタイプは大抵強力な能力であるので、そんなものを発動中に他の力を使う余裕なんてあるはずがないだろう。


 つまり今の頼綱は一切の能力を1分間使用できず、素の力で戦わないといけないということだ。

 そんな隙をベテランの冒険者達が逃すはずもない。


『嫌ああー!! せめて私の名前、姉小路頼綱、姉小路頼綱の名を忘れないでーーーー!!!!!!』

「選挙かよ。こいつ、何しにここに来たんだか……」


 様々なスキルや【典正装備】の何らかの力をここぞとばかりに発揮し、頼綱は悲しい事にそのまま何も出来ずに(野生ボウズ)さんに止めを刺されて印籠をドロップした。


『ちっ、あの馬鹿が。ろくに敵も倒さず消えていきやがって』

「生憎だが貴様もそうなるんだ!」


 残りは信玄だけであり、矢沢さんの歌や他の人達による支援、援護射撃などなど。

 頼綱に向けられていた意識が信玄に向けられ、この場にいる全員が信玄を倒そうと動いているためか、信玄は徐々に押されていった。


『〝人は城、人は石垣、人は堀〟』

「ちっ、何度も使ってくるか……!」


 先ほど頼綱が味方を1000体召喚できる〝飛騨統一〟と違い、50体ほどしか一度に召喚されないけれど、代わりにインターバルが短いのか何度も使用してくるので、その度に亮さん以外の人が召喚されたスケルトン達の相手をしないといけなくて、中々信玄を倒しきれなかった。


『まだあたいがこの程度で倒されると思わないことだね! 〝為せば成る 為さねば成らぬ〟!』

「んっ!? これ“怠惰”と似た力だね……」


 離れた所にいるはずの僕らにも信玄が新たに使用した能力の影響を受け、既視感のある感覚が身体を襲った。

 どうやら信長(ローリー)ほどではないけど、相手の気力をある程度奪う能力か。


 この場にいる全員が身体が少し怠いと感じてしまい、まるで病気にでもなったかのように感じているはず。

 そのはずなのだけど、亮さんは先ほどと変わらず信玄に苛烈に攻撃を仕掛けていた。


「何をしたか知らないが、俺に精神系の力は効かない」

『何だと?!』

「俺の狐の面、〔届かないぶどう(ノットイン)は気にしない(ザアイ)〕は精神耐性を得るからな。信長には無理だったが、貴様程度であれば効果覿面だ」

『くそがっ!』

「いい加減倒れろ!」


 信玄が動揺した隙を狙ったのか、亮さんが刀を振り切り信玄の身体を上半身と下半身に断ち切っていた。

 よし、これで2体とも討伐完了――


『まだだ! 〝死を秘匿せよ〟!!』

「なに?!」


 斬られたはずの信玄が何故か無傷のままそこに立っていた。

 蘇生? もしくは攻撃を無効にするタイプの力?


『………』

「ぐあっ!」


 先ほどまで声を荒げながら戦っていたのに、今は無言で亮さんに攻撃を仕掛けて来た。

 まるで見た目だけ似た別人にでもなったかのようだ。


「亮!?」


 沙彩さんが亮さんの方を青い顔で見ているが、それはそうだろう。

 なんせ信玄の攻撃を受け止め損ねた亮さんは、右腕の肘から先が引きちぎられたかのように無くなり、血がボタボタと地面に落ちていってるのだから。


「マズイ、カバーを!」


 (真の愛)さんが慌てて周囲の人に誰でもいいから亮さんのフォローをするよう言うも、信玄の呼び出したスケルトン達に阻まれて中々向かう事ができず、他の人も同様だった。


「任せろや。[テレポート]!」


 (野生ボウズ)さん以外は。


 [テレポート]で移動した(野生ボウズ)さんはすぐさま信玄の脳天をかち割ろうと、手にもつ槍を振り下ろすも、信玄が手にした軍配で受け止められてしまった。

 しかし亮さんへの追撃は防げ、信玄を後退させたから十分だろう。


「おい、まだ戦えるか?」

「問題ない。血は既に止めたし、片腕だけでも刀は振るえる」

「よっしゃ、サクッと倒していい加減休むぞ!」


 その後、信玄はしぶとく立ち回るせいで何人かが犠牲になったけれど、なんとか討伐に成功した。


 矢沢さんが復活させてくれるからいいけど、もしも矢沢さんがいなかったら信玄の〝死を秘匿せよ〟はこちらに大打撃を与えていたな。

 ボス系の復活パターンはマジで止めて欲しいよ。


休日出勤は悪しき文明。

残念ながら全く書き進めれてないので、今週は火曜日だけになるかと思います。

……ちくしょう(´;ω;`)


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて1話先行で投稿しています。

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― 新着の感想 ―
[一言] 予想通りと言えばその通りだった笑。そしてこれまた絶妙なスキル。 ガチャ画面のロード新キャラかとウキウキして何も無い時の虚無感、、、、、、、。
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