表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
7章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

308/677

15話 “怠惰”の魔女


「え、何で?!」


 ハッキリ言ってあり得なかった。

 僕の[ソシャゲ・無課金]スキルで電話機能なんか無い。

 にもかかわらず未だ鳴り続けるスマホに疑問しか湧かなかったけど、とりあえずこの電話を出ることにした。


「……もしもし?」

『電話に出るの遅くないかしら?』

「いきなり鳴るはずのない電話が鳴ったからビックリしてたんですよ。というか、どうやってエバノラがこれに電話をかけてるんですか」


 スマホから聞こえてくる声の主は、僕らに安全地帯の力を渡してきたエバノラだった。


『そんなのスキルを渡した時に仕込んだからに決まってるじゃない。あなたのスキルを弄りまわしている時にチョット通話機能をねじ込んだだけよ』

「人のスキルに何してくれてんの!?」


 ちょっ、さすがにそれは許されざる事ではないかな?


『別にこの通話機能にそこまで容量割いてないわよ。[ダンジョン操作権限(1/4)]を与えた後にわずかに残ったスペースに[ダンジョン操作権限(1/4)]の追加機能として差し込んだだけだもの。

 あなたがダンジョン内にいる時に限り私のみに連絡ができる隠し機能、というかあまりに容量なさ過ぎて派生スキルにならないレベルだし』

「じゃあせめてその事を伝えといてくれません? って、それよりもその[ダンジョン操作権限]で作った安全地帯に、【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】が侵入できる事を先に言っておいて欲しかったんですが」

『そんなの場合によるとしか言えないわよ。知恵のあるタイプなら違和感を感じて侵入してくることはあるけど、本能で動くタイプだと全然気づかなかったりするわね』


 場合によりけりと言われてしまえばそれまでなんだけど、そう言われるとなんだかこの安全地帯が頼りないもののようにも思えてくる。

 まあ魔物を近づかせないだけでも十分ではあるけれど。


「安全地帯については分かりましたけど、それはそうと機能追加するのなら許可取ってからやってくださいよ」

『使わない機能になる可能性の方が高かったのよね~。あなたの近くに私の()()がいると感知したから連絡しようと思ったのだもの』

「はい?」

『そこにやる気のかけらもない茶髪の娘が近くにいないかしら?』

「なんで分かるんですか? まさかそっちからこっちの様子を見てるんじゃ……」


 まさか監視機能まで付いてるのでは?


『それはやりたかったけど出来なかったわね』

「サラッと問題発言!?」

『ダンジョンの機能を使ってマーキングしたあなたの近くに私の()()がいたら反応するように設定しているだけだから。あなたには通話機能以外何も仕込めてないわ』


 目の前にいたら間違いなくしばきたくなっていた発言を先ほどからしてくるエバノラに対し、色々言いたいことはあるけれど、今は心を落ち着けてこの場で聞かなければならない事を優先しよう。


「仲間って?」

『だからあなたの近くにいるんでしょ? やる気のなさそうな茶髪の娘。その娘は“怠惰”の魔女、ローリーで私の家族よ』


 どうやらあのテントで今もぐっすり眠り続けている女性は、かつて魔女狩りに遭い、ダンジョンになってしまった人物の1人のようだ。


『悪いのだけどそのスマホ、その子の所まで持っていてもらってもいいかしら?』

「え、あの人【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】になってるんですけど……。近づいたら殺されるんじゃ……」

()()()()()()()。その子自身は何もしないのだから』


 何故確証を持ってそんな事が言えるのか。

 このスマホはスキルで出してるやつで、僕以外触れないから誰かに変わってもらう事も出来ないし。


『その子が近くにいるのなら、攻撃しようとしたんじゃないの? 【魔女が紡ぐ物語(クレイジーテラー)】になっているのなら、あなた達は間違いなくそうするわよね。

 そして、何も出来なかった』


 何かを知っているかのような思わせぶりな口調だった。


『そのままその子を取り囲んでも何も始まらないわよ。事態を進めたいのなら、私と話をさせなさい。

 ただし近づく際はローリー自身に近づくんじゃなくて、ローリーのいる場所に近づこうと思って行動しなさいよ』


 そう言われても困るし、意味の分からない事まで言われてしまった。

 それは結局どっちも同じ結果だと思うのだけど……。


 出来れば近づきたくないけれど、僕が寝ているところに乗っかってきたんだし、殺すつもりならその時にしてるだろうから今更近づいただけで殺される事はないだろうけどさ。


「まあ死んでも最悪生き返れるか」


 でも死ぬのは怖いなぁと思いつつ仕方がなく、信長(ローリー)へと近づいていく。


「先輩、わたしの後ろに。最悪攻撃してきても止めてみせます」


 やだ素敵。

 でもそれ完全に騎士ポジションで僕お姫様ポジなんだけどいいの?


「攻撃できなかった理由は分からないけど、目くらましで逃げる時間は稼ぐわ」

「なら咲夜がいざとなったらみんなを抱えて逃げる」


 やだ、この中で1人だけただスマホを持って近づいてるだけの人がいる。僕だけど。


 ドキドキしながら信長(ローリー)にスマホを近づけると、スマホから声が響く。


『ローリーいつまで寝てるの。返事しなさーい!』

『ふぇ? この声、やっぱりえっちゃん? 匂いがしたから来てみたら全然違う人だったのに。……男になったの?』

『そんなわけないでしょうが。寝ぼけてるんじゃないわよ。

 はぁ~。普通に理性があるし、やっぱりローリーはただ流されるままに行動していたわね』

『考えるのめんどい』


 う~ん、今までの事といい、今の様子といい、物凄いものぐさな人な感じがするなぁ。


『今すぐ私の所に合流しにくるのは出来ないかしら?』

『無理。頭の中で人間殺せってうるさかったから、その指示に適当に従って【魔女が紡ぐ物語(トライアルシアター)】展開して完全に同化したから、一回倒されないといけない』

『やっぱりかぁ。大変じゃない。そこにいる子達が』


 僕らがかよ。


『ん、説明よろ』

『自分でやりなさいよ』

『めんどい』


 もはやエバノラとは旧知の仲であるのは疑いようがないけれど、色々と説明してもらえませんかね。

 ここには僕らだけでなく、他の冒険者の人達もいるんだからさ。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


カクヨム様にて1話先行で投稿しています。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ