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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
6章

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33話 試練報酬

 

 目の前の妙齢で妖艶な美女がエバノラと名乗るけれど、僕らの知るエバノラは2頭身でコミカルな存在のはず。


「え、本当にあなたがエバノラ……?」

『そうよ~』


 エバノラが肯定しながらウインクをしてきたので、少しドキッとしてしまい思わずそちらに手を伸ばしかけてしまった。


 が、その手を動かす前に、6つの腕が僕を拘束するように絡みついてきた。


「先輩、もう試練がないならいいですよね……」

「はぁはぁ、タベタイ……」

「ギュってして欲しい。いっぱい、抱きしめて……」


 飢えた肉食獣のような目が僕を捉えており、もはや食われるまで秒読みのような状態であった。

 というか、僕も我慢の限界で乃亜達にくっつかれたら耐えられそうには……!


『あらあら、まださっきまでの試練の発情効果が残っているわね』


 エバノラが試練の時のようにパチンっと指を鳴らすと、先ほどまで体の中でくすぶっていた熱が一気に霧散してくれた。


 あ、危ないところだった。

 もしもエバノラに放置されていたら、間違いなくどれだけ自分の腕に嚙みついたところで僕の理性は耐えられなかったよ。


「先輩、好きです!」

「いやあああ! 私、何を口走って……!!?」

「抱きしめて」


 乃亜と咲夜、性欲を発散する前と後で言動がほとんど変わらないんですけど!?


 唯一顔を真っ赤にした冬乃だけが僕から離れて、頭を抱えてうずくまり始めてるけど、普通はこの反応が正しいのでは?


『あはは、あなた達ホントに面白いわね』


 もっと早く咲夜に[全体治癒]を使ってもらうべきだったけど、第三の試練が終わったと認識できたのはさきほどエバノラが試練クリア宣言をしてくれた時だったから仕方ない。

 もっとも性欲が酷くて、咲夜に治してもらう考えすら吹き飛んでいたからどうしようもなかったのだけど。


 まあそれはともかく――


「これで試練は完全に終わり、ってことでいいんですよね?」

『ええ、そうよ。今まで誰一人としてクリアできなかった試練は、あなた達に見事クリアされたわ。それももっとも理想的な形で』

「理想的、ですか?」


 乃亜が小首をかしげてエバノラに問うと、エバノラは満足そうに頷いた。


『私の試練はいかに性欲に抗えるか。あなた達はただの一度も欲情に流されずに、強固たる理性で持って試練を突破したじゃない』

「欲情に、流されず? 咲夜達、結構理性崩壊していたはず?」


 うん、色々すごかったね。

 今の水着姿でも関係なく抱き着いてきたり、舐めてきたりしてたもんね。


『何言ってるのよ。男女で欲情に流されるなんて、コレしかないじゃない』


 左手で輪っか作って、そこに右手の人差し指を抜き差しするのを見せるのは止めてください。


『そんな訳であなた達への報酬は【典正装備】、だけじゃないわよ』

「「「「えっ?」」」」


 試練が始まる前には確かに【典正装備】が手に入ると言っていたけれど、それに加えてさらに何かくれるの?


『とりあえず先に試練“三枚のお札”の攻略報酬である【典正装備】をあげるわ』


 エバノラがそう言うと、僕らの目の前でポンッと音を立てていつもの宝箱がそれぞれ目の前に現れた。


『早速確認するといいわ』


 エバノラにそう言われたので、僕らは宝箱に手を伸ばした。

 そしてそこに入っていた物は――


「え、アイマスクですか?」

「私のはロウソクだけど……」

「鞭」


 それぞれが手に入った物を困惑気に見ていた。

 だってこれ、どうみてもSMグッズで、僕が手に入れた物だって――


「紐じゃないか!?」

『何か問題でも?』

「問題しかない!!」


 いや、まだ縄とか直接的なものじゃないからいいのか?

 みんなの【典正装備】だって貰った物をセットで見るからSMグッズのように見えるだけで、単品で見れば普通の物だ。

 咲夜の鞭だって、SM用みたいな先端が何本も分かれたものじゃなくて、1本にまとまってる鞭だし、僕のだって紐があたかも縄を連想させるだけの物だし……。


『まあ私の試練だからそれっぽいものが手に入るのは仕方がないんだけど』

「やっぱりそうなんじゃないですか!?」


 なんか自分が手に入れたこの紐が、いかがわしい事の為に使われるための物のようで凄く嫌だな。

 唯一の救いは習字道具縛りではなくなったことだろうか……。でも紐って紙を束ねたりするのに使える事を考えると、微妙に縛りから抜け出せてない気がするなぁ。


「あ、でも効果は凄いですよ先輩。このアイマスク、着けている間は視界が遮られますが、アイマスクを外した直後に視認した相手を、身に着けていた時間分の強力な麻痺効果を10秒間与えられます」

「こっちのロウソクは所有者が相手に火に関するダメージを与えた時、そのダメージの10%相当の火傷を追加で与えることができるみたいね」

「咲夜の鞭は攻撃した相手に対して必ずノックバック効果が発生するみたい」

「ジョークグッズみたいなラインナップの割に、随分とまともな効果だ!?」

『え、酷くない?』


 いや、誰だってそう思うでしょ。

 だってSMグッズだよ?


「先輩の【典正装備】はどうだったんですか?」

「あ、まだ確認してないや」


 僕に与えられたのはどんな【典正装備】なんだろう?

 できれば相手を攻撃したり、自分の身が守れるようなのだといいな。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


蒼汰のやつ、最後にいらんフラグ立てやがって……


それはそれとしておそらく、なんで習字道具じゃないの?って思われてそうだけど、今回は墨が活躍してないので。

唯一紙だけ少し活躍しただけだから、筆でも文鎮でもなくただの(?)紐です。

筆だった場合、その毛は何の毛なのか物議をかもすことになりそうだったのでセーフ


あと報告。

普通にミスった。

5章35話とエピローグで何故か手に入れられる【典正装備】が3つまでになってた。

4つのはずなのに3つ……。もしかしたら他にどこかで3つになってる矛盾があるかもしれない。

一応直したから多分大丈夫だと思うけど、あったら報告お願いします。(´Д⊂ヽ

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― 新着の感想 ―
[気になる点] 鞭で攻撃した場合、ノックバックが発生する… 鞭を振るって攻撃した場合なのか、鞭を腕などに巻いた状態で無理の上から攻撃した場合もなのかで性能が変わってくる。 後者なら、確定ノックバック攻…
[一言] え、習字道具をまとめる紐ですよね、これ
[一言] 亀さん縛りで10%ステータスが上がる?
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