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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
5章

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14話 女性用のチャイナ服

 

 省吾(城壁)さんとステータス画面からパーティー登録を行った後、早速行動を開始した。


 省吾(城壁)さんの[城壁生成]は、城壁を展開している間はその近辺から離れる事は出来ない仕様のため、城壁の向こうにいるミノタウロスがどこかに行くか倒すかしないといけない。


 しかしそれは城壁を()()()()()()場合だ。


「省吾さんの強化も完了したので、いつでもいけます」

「よし。それじゃあ頼むぜ」


 穂玖斗さんが省吾(城壁)さんに視線を向けると、いつも通りコクリと頷きスキルを使った。


「……[倒壊]」


 [城壁生成]の派生スキルが2つあり、1つは[修復]。

 このスキルは城壁の破損を直す効果があり、堅牢な城壁が多少壊されても元に戻るのだから守りとしてこれほど頼もしいものはない。

 そして最後の1つ、[倒壊]はその逆だ。


 ――ゴゴゴゴゴッ


 城壁が上から崩れていき、ミノタウロスの方に向かって城壁の一部が次から次へと降っていく。


『『『ブモッ?!』』』


 [城壁生成]によって出現させた城壁を、まるで積み上げた積み木が崩れていくかのごとく壊す事が出来るスキルが[倒壊]だ。


 [倒壊]は崩す方向を大雑把に決められるだけで、後は自然の流れに沿って勝手に崩れてしまうらしい。

 そしてこのスキルを使った場合、城壁の近辺から離れる事が出来なくなる仕様が消失し、自由に動くことが出来るようになる。つまり――


「城壁が崩れてミノタウロスが混乱している内に、とっとと逃げる作戦だね」

「これは果たして作戦と言えるのか?」

「………(コクコク)」


 ミノタウロスの集団から逃げられるなら、作戦でも行き当たりばったりでも何でも構わないよ。


 僕らはミノタウロスが突然崩れ出した城壁に慌てている内に、その場を素早く立ち去った為か、ミノタウロスは追って来なかった。


「ふう、助かったな。あっ、逃げ切ったところで狭い通路が見つかるとか今更過ぎるな」

「まあ次にミノタウロスから逃げる際にここに戻ってこれたら、この通路を通ってやり過ごすことが――って、あれ?」


 一番最初に遭遇したミノタウロスから逃げる際、ミノタウロスが通れない程度の狭い通路がここにもあったけれど、何故かそこは通路の途中で木の根がびっしりと張り巡らされていて通れなくなっていた。


「あっぶね。もしもさっきのミノタウロスから逃げるためにここを通ったら、行き止まりのせいで殺されてたかもな」

「ミノタウロスが武器で突いてきたら届く程度の空間しかありませんからね」


 僕らは起こりえた可能性が起きなくてホッとした後、スキルのスマホに映る謎の石が示す矢印の指示に従って歩いていく。


「おっ、蒼汰! 無事だったか!」

「大樹! それにこのみさんも無事だったんですね」

「大変だったけどね~」


 大樹とこのみさん、それに顔見知りではない人が6人ほど一緒に歩いているのを発見した。

 乃亜達をまだ見つけられないのは残念だけど、それでも仲のいい友人が1人見つけられたのは素直に嬉しい。


「それじゃあ早速で悪いんだけど、僕が買い取りをしている石を持っている人がいたら渡して欲しい」


 僕はそう言ってから事情を説明すると、その場にいた人達はお金も受け取らずに僕に石を渡してくれた。


「お金とか言ってる場合じゃないし、こんなので他の人と合流できるならいくらでも渡すよ」


 それは確かに。

 僕はありがたくそれを受け取ると、再び矢印に従ってみんなを誘導していく。


 それを繰り返す内にドンドン人が増えていき、何時の間にやら40人近い人が集まったけど、まだ乃亜達は見つからない。


『ブモッ!』


 なのにミノタウロスは見つかるのだからやってらんないよね。


「よし、それじゃあいっちょあいつをぶっ倒すか!」

「賛成~」

「え、戦うんですか?」


 穂玖斗さんとこのみさんが2人して、意気揚々とミノタウロスと戦おうとしているので思わず聞き返していた。


「これだけの人間が集まったし、何よりあいつの強さはおそらくCランクダンジョンのボス程度の強さだろうからな。数は多いから1体だけで徘徊している今の内に倒しちまった方がいい」

「それに~少しでも数を減らしておいた方が~被害に遭う人を減らせるからね~」


 そう言われて最初に殺されていた人を思い返し、確かに倒してしまった方がいいか。


「ですけど、ここにいる人達だけで倒せるんですか?」

「蒼汰、このみとパーティー登録してお前の力で強化してやれ。このみは[火魔法]が使えるから火力強化されれば余裕を持って倒せるはずだ」

「それじゃあよろしく~」


 僕が何かを言う前にこのみさんがステータス画面を開いてパーティー申請をしていたので、後は僕が許可するだけだったから、そのまま許可した。


「よし、それじゃあこのみを強化している間、あの牛の足止めをしといてやる」

「なあなあ蒼汰。倒してしまっても構わんのだろ?」

「変な死亡フラグを立てないでよ大樹!?」


 足止めと言えばそのセリフが浮かんでくるぐらい有名なセリフだけど、時と場合を考えて欲しい。


「鹿島君の強化か~。それじゃああのコスプレ衣装も着ないといけないの~?」

「一応メイド服なら色々な能力が10%アップしますし、チャイナ服なら脚力が20%強化されますけど」

「じゃあ私はメイド服で~、あっちの2人のどちらかがチャイナ服~?」

「「えっ?」」


 僕と穂玖斗さんが揃って声を出していた。

 あのチャイナ服は女性用っぽいんだけど、それを着せるの?


「はぁあ!? 冗談言ってんじゃねえぞこのみ!」

「強化されるなら恰好なんて何でも良くない~?」

「お、俺は絶対嫌だぞ!」

「………(ブンブン)!」


 省吾(城壁)さんが首を横に全力で振り、慌ててミノタウロスに向かってスキルを使用して壁を造っていた。


「あ、汚ねえぞ!」

「あ~あの子は動けないから必然的に穂玖斗君だね~」

「絶対に嫌だーーーーー!!」


 その心からの叫びが届いたのか、〈衣装〉の画面でチャイナ服を穂玖斗さんに設定できなかった。

 それを穂玖斗さんが聞いた時に心から安堵のため息を吐いたのはともかく、このみさんが舌打ちしていたのは見なかった事にしよう。


 おそらく女性用の服は男の人には設定できないんだね。

 ……恵さんやケイさんの場合はどうなるんだろ?


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 守りとしてころほど頼もしいものはない。
[一言] もうすぐ学園編が終わるけど、 おそらく女性用の服は男の人には設定できないんだね。  ……恵さんやケイさんの場合はどうなるんだろ? の答えは、解るのかな?? 希望は、ユニークスキルの影…
[一言] チャイナの方だったかー……(着られてない)
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