表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
5章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

209/677

1話 2つのコース

 

≪蒼汰SIDE≫


 僕らは〔ミミックのダンジョン〕に8時ごろから潜り始め、現在の時刻が15時になった今、51階層にいた。


 放課後の時間で僕らがたどり着けたのは31階層までで、休日に丸一日かけてたどり着けた階層が47階層だった事を考えると、かなり早いペースで下の階層へと向かっている事になる。


「僕らが休日にかけた時間よりも早く下の階層へと降りられてるね」

「わたし達はいくつか階層を降りたら、その階層で腕試ししてから次の階層に向かう様にしてましたからね」

「私達の実力以上の敵が現れないなんて言えないから当然よね」


 ダンジョンの上層では下へと降りる階段が入ってきた箇所からかなり近い箇所、下手すれば隣にある場合も多く、下へと行くだけならかなり早く降りれるからね。

 調子に乗って下へと降りた結果大怪我して帰ってくる冒険者の話も聞くので、僕らはいくら占有ダンジョンとはいえ慎重に行動したから、1日かけても47階層までだった。


「でもこの遠征じゃ、魔物と遭遇しない限りはドンドン進むから注意しないと、ね」


 咲夜の言う通り、いつ自分達より強い魔物が出てもおかしくないから警戒は怠れない。

 僕にそんな能力はないので、ほとんど冬乃任せだけど。


「そんなに警戒しなくても大丈夫だよ。鹿島君達だけならともかく自分達だっているし、ここは最後尾だから今程度の階層なら前の人達がほぼほぼ倒しちゃうよ」


 そう言って僕らの会話に混ざってきたのは、一見すると女性、声を聞いても女性、仄かに香る匂いも女性な、五百木(いよき)冒険者高等学校で生徒会長をしている矢沢(やざわ)(めぐみ)さん。

 名前まで女性のようだけど、れっきとした()()である。

 見た目の詐称が半端ない方だ。


「そうなんですね。ところで何故矢沢さんは最後尾に? てっきり一番前で他の生徒達を先導するように行動するかと思ったのですが」


 僕は先ほどから生徒会の面々が、この最後尾のグループにいる事が疑問でそう問いかけていた。


「先導するなら一番前に校長がいるから必要ないんだ。それよりもここよりいくつか下の階層になってくると、後ろからの襲撃も多くなるから、その対策の為だね」

「そうなのよん。後ろにいると魔物が倒せなくて嫌だって1,2年の子達は言うのだけど、下の階層にいくほど空間が広くなって魔物の数も増えるから、どの道嫌でも倒さないといけなくなるわん」


 強烈なオネエ言葉で話しかけてきたのは、副会長の和泉(いずみ)京之介(きょうのすけ)さん。

 男らしい名前が嫌なようで、苗字で呼ぶかケイさん呼びしないと大変な事になるけど、そこに触れなければとても親切でいい人だ。


「3日もダンジョン内にいる事になるから、初日は体力を温存しておいた方がいいわよん」

「そうなんですね。去年の遠征も参加されたんですよね?」

「ええ、そうよん。あたし達の誕生日はこのダンジョン遠征の後だから、去年が初めてだったけど、ペース配分間違えて大変だったわねぇん」

「会長なんて喉をカラカラにするくらい張り切ってたもんね~」

「現場で働く私達も酷使された。よよよ」

「わざとらしく泣きまねしないでよ!」


 語尾を伸ばした喋り方をするのが柿谷(かきたに)このみさんで、淡々と喋って全く感情のこもっていない泣きまねをしたのが柿谷(かきたに)(すず)さん。


 この2人に強制的に模擬戦をさせられたので、若干微妙な気持ちはある。

 まあ僕がぶしつけな目で見たのが悪いんだけどさ。


「そんなに大変だったんですか?」

「そうだよ乃亜ちゃん~。初日はまだ浅い階層だから大変そうに思えないけど~、3日目は本当に大変だよ~」

「去年は凄い後悔した」

「鈴さん達がそこまで言うなら、私達も気を付けないといけないわね」

「怪我なら咲夜が直してあげられるんだけど、ね」


 そんな2人と乃亜達はいつの間に仲が良くなったのか、和気あいあいと話しているので、乃亜達は特に思うところは何もないようだけど。


「そう言えば矢沢さん」

「何かな?」

「ダンジョンって16歳からしか入れないじゃないですか。そうなると同じ1年生でもダンジョンに入れる時期がバラバラで、この遠征に参加できなかったりすると思うんですけど、その辺は不平等に思わないんですか?」


 遠征前にふと、集まった生徒達を見て疑問に思ったんだよね。

 こういったイベントに参加できない生徒から不満の声が上がると思うのだけど、その辺はどうしているのだろうか?


「ああ。確かに不満の声はない訳じゃないけど、そういった声は少ないね。

 なにせ入学前に2つのコースどちらかを選ばさせられるから」

「2つのコースですか?」

「うん。1つは通常の時間割で、放課後にダンジョンに行く人用。

 もう1つが先取り学習の時間割で、早朝と放課後の時間帯、それに土曜の午前にも授業が1年生の時にあるんだよ」


 うわっ、早朝や放課後はともかく土曜にまで授業があるのは大変そうだ。

 でもなんでそんな時間割を?


「先取り学習の時間割を選んだ人は、3年生になったら授業は午前中だけになって、残りの時間はダンジョンに行ったりすることが出来るようになるんだ。

 1年生の間は16歳になってもダンジョンに潜れるのは休日だけになるけど、その分3年生になったら午後の時間を丸々使えるから、誕生日が早くてもあえてこっちのコースを選ぶ人もいるくらいだね」


 放課後になってすぐにダンジョンに潜っても、戻る時間を考えるとそんなに深い階層までは潜れない。

 そう考えると、確かに先取り学習の時間割の方がお得なのかもしれないな。


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
この設定だと三月末の生まれだと下手すると一年生の時にダンジョンに入れない訳で まるまる一年もの差が開かれるとレベル差が相当なものになるから定期試験で実技試験とかできないね 例外的に入学時点からダンジョ…
[良い点] 3年になったら午後から入れるのか、なるほど [気になる点] いや15時になったって何時から入ってたっちゅーねん
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ