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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
4章

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12話 模擬戦(1)

 

「それじゃあ試合開始~」


 気の抜ける様なこのみさんの合図で模擬戦が始まった。


省吾(しょうご)!」

「……[城壁生成]」


 一番前に出ていた大柄で細目の男の人、省吾さんがスキルを早速使ってきた……は?


「何なんですかそのスキルは?!」


 乃亜が使用されたスキルに驚いているが、それも当然だと思う。

 なんせスキルによって作り出された物は名前通り“城壁”だった。


 舞台の三分の一のところに突如として現れた石の壁は、舞台の端から端まであり高さも建物3階分くらいはありそうだ。

 そんなものが一瞬で造られるスキルとか聞いたことないよ。


「これが省吾のユニークスキル[城壁生成]さ! このスキルでボクらは迷宮氾濫(デスパレード)を余裕で耐え抜いたんだ」


 いきなりユニークスキルか。

 向こうにはユニークスキル持ちが最低でも()()いる事は確定したな。


「そしてあっしがこの城壁の上から[弓術]で敵を射抜くって訳でさ!」


 そう言って城壁の上に現れたのは“エルフ”だ。

 長く尖った耳に緑色の髪、そしてその顔も中世的で男の僕が見ても中々に美しいと思えるほどの美形だった。

 ……しかし今の喋り方、妙に三下っぽくなかった?

 なんかそれだけであれだけ外見がいいのに色々と残念に思えてくるのが不思議だ。


「[弓術]に加え、[魔力付与]で矢を強化するこの攻撃に耐えられやすか?」


 そう言って放たれた矢は真っ直ぐ僕へと向けて飛んできて――


「危ない先輩!」


 すぐに射線上に乃亜が入って、手に持つ大楯で矢を防いでいた。


「わっ、弓矢とは思えない衝撃がきましたよ」

「それは当然でさ。上から放っているのはもちろん、[魔力付与]で当然弓も強化してやすからね。さあどんどんいくでやんすよ」


 エルフはその宣言通り弓を連射して、まるで雨の様に矢を降らせて来る。


「舐めないでよ[複尾][狐火]!」

「おお! やるでやんすね」


 魔力を纏って耐久性も強化されているはずの矢を、冬乃が[複尾]による自己強化と[狐火]でまとめて燃やし尽くしていた。

 これなら冬乃はそのままでも良さそうだね。


『乃亜にメイド服、咲夜にチャイナ服を着せるよ』

『『了解』』


 僕はいつもの〔絆の指輪〕で連絡をしながら[ソシャゲ・無課金]でスキルのスマホを取り出すと、すぐさまそれを操作して[チーム編成]で乃亜と咲夜の欄のコスチュームチェンジのボタンをタップする。


「な、なんだ?」


 乃亜と咲夜の全身が突然キラキラと輝きだしたのを見て、向こうのパーティーメンバー、いや観戦している人達も戸惑いの表情を浮かべていた。


 すぐに光が散ってそこから現れたのは、メイド服に身を包んだ乃亜とチャイナ服に身を包んだ咲夜がいた。


「「「おおっ!!」」」


 エルフの人も思わず矢を降らせるのを止めて、歓喜の声を上げているけどいいの?


「隙アリよ!」

「あ、しまったでやん――ぎゃっ!?」

海晴(かいせい)ーーー!!」


 エルフの人、海晴さんは吹き飛ばされて城壁の向こう側に落ちて行った。

 顔面に直撃だったんだけど大丈夫なんだろうか?


 舞台を出れば怪我が治ると聞いていても、さすがにあの攻撃を顔に受けたら心配してしまうね。


「くっ、なんて卑劣な手を使うんだ!」

「いや、そんなつもりは欠片もなかったんだけどな……」


 乃亜のヴィクトリアンメイド服姿もそうだけど、咲夜のチャイナ服も布の面積は広いからお色気攻撃と言うほどでもないと思うんだけど?


 チャイナ服と言えば、詰襟で横に深いスリットが入った赤い服を大体イメージすると思うんだけど、それに加えて中にカンフー服のような白いズボンを穿いてて素足が見えないから色気はないはず。


 まあ咲夜は身長があるからチャイナ服がよく似合っているし、髪型もお団子ヘアーになってて新鮮で可愛いけどさ。


「可愛い女の子達がコスプレ衣装にいきなり着替えたら、男なら誰だって釘付けになるでござるよ!」


 そう言いながら城壁に上がって来たのは、ちょっと痩せすぎに見える眼鏡の男の人だった。


 あ、大樹達パーティーメンバーの4人も観戦してる場所で全員が頷いて、あの人の意見に賛同してるよ。

 戦闘中でも釘付けになるとか、それは問題じゃないかな。

 〔ラミアのダンジョン〕とかそんな調子で潜って大丈夫なんだろうか?

 あのラミア達、ある程度鱗で覆われてるけど上半身ほぼ裸なんだよ?


雄介(ゆうすけ)! 確かにその通りかもしれないが、そんな事よりも早くボクにスキルをかけてくれ!」

「失礼したでござる智弘(ともひろ)殿。それではいくでござるよ。[性質付与]!」


 雄介さんが右手で城壁を触りながら、左手で智弘と呼んだ僕らに戦いを申し込んできた人に何かしらのスキルを使った。

 一体何を?


 パッと見、変化はなさそうだけど、何かしら強化したりするタイプのスキルだろうか?


「さあ行くぞ!」


 そう言いながら、智弘さんが城壁を飛び降りてわざわざこちら側へと着地した。

 わざわざ自身の有利を捨ててまで何故こちら側に?


「まずは先行、ボクのターンだ!」


 ……あれ、これターン制のバトルなの?


 急にまるで何かの対戦ゲームみたいな事を言い出して困惑していると、さらに困惑する事態が起こる。


「起動、[スキルデッキ]!」


 智弘さんの前方中空に、半透明のトランプほどのサイズのカードが5枚展開されていた。

 何なのそのスキル?


気に入っていただけたらブクマと☆の評価をお願いします。


色々なユニークスキル考えるの楽しー。

でも、そのせいで執筆が微妙に遅くなるデメリットががが

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― 新着の感想 ―
[一言] エルフ……(困惑)
[気になる点] エルフの海星君は[狐火]が顔面に直撃したのですよね? なにが直撃したか描写が無い為分かりにくかったけど、たしかにそれならヤバいダメージなはずけど戦線に復帰してるし、無事だったの?
[一言] ドロー!バーサーカーソウル!!
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