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ああ、課金してぇーー!!!~課金できないから現代ダンジョンでレベルを上げる~  作者: 甘井雨玉
3章

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13話 本調子

 

 僕らは会話を切り上げて大樹達と別れてダンジョンへと向かうと、早速ダンジョンへと潜った。

 訪れたのは迷宮氾濫(デスパレード)後から来ている〔ラミアのダンジョン〕で、自分達の戦闘力を考えるとDランク辺りが妥当なのだけど、近場のDランクのダンジョンはここしかないので仕方がない。


 上半身裸のお姉さん目当てに来る男性冒険者が多く、ただでさえ数の少ない女性冒険者をこのダンジョンでは乃亜達以外では見かけない場所だった。


「今日はガッツリ稼ぐわよ!」

「冬乃先輩、先ほど無理しない方がいいと言われたばかりでは?」

「別に体調が悪かった訳でもないし、精神的なもので今は気にしてないから別に平気よ?

 それにガッツリ稼ぐって言っても、浅い階層にいるラミアを虱潰しに探そうってだけだし」

「でしたら問題ないですね」


 その後、冬乃は自身の調子が問題ないと証明するかのように、次々とラミア達を発見していった。


「ん~もう、この近くにはいそうにないわね」

「いや十分じゃないですか? 昨日までとは打って変わって別人のような索敵能力ですよ」

「あまり言わないでよ……。やっぱり獣人になったと言っても人間だった頃の方が長いせいか、意識しないと獣人の力を十全に発揮できないのよね」


 スキルとして身に付いたからと言って、それを使いこなすには本人の技量によるところが大きい。

 特に冬乃の[獣人化(狐)]の様な効果がハッキリと明文化されていないスキルはなんとなくでも使えるけど、与えられた武器を完全に使いこなすのにはそれなりの修練が必要なのと一緒なのかもしれない。

 逆に僕のスキルは明文化されてあることしか出来ないので、さほど訓練はいらないけど。

 と言うか、スキルそのものがいらないけど。


「冬乃ちゃんがそうなら、咲夜の[鬼神]も同じなのかな? まともに使ったことがほとんどないから分からないけど」

「それは本人じゃないと分からないんじゃないかしら? と言うか咲夜さんの[鬼神]って、中々全力で使いづらいでしょ」

「全力だと3分しか持たないんだっけ?」

「レベルが上がればもう少し時間が伸びると思うし、力を小出しで使えば長く戦えるけど」

「ですがダンジョンの奥では、出来る限り[鬼神]を全力で使う事になるのは避けたいところですよね」

「運ぶか、そこで長時間休まないといけなくなるのは危ないからね」


 戦力が3人から2人だけになっちゃうのはマズイよ。

 僕はこんなDランクどころかEランクのダンジョンの魔物と戦うのも怪しいから、元から戦力にはなれないし。


 そんな事を話しながらラミアが他にいないか探索している時だった。


「止まって、みんな。この先に恐らくラミアがいる、と思うんだけど……」

「どうしたの冬乃?」

「なんか気配が一定じゃないって言うか、増えたり減ったりしてる気がするのよ」

「増えたり減ったりですか?」

「減るだけなら誰かが倒してるんだよ、ね?」


 咲夜の言う通り減ってるだけなら誰かが戦って倒しているんだろうけど、増えてるってどう言う事?


「それが戦闘音も特にしてないから余計に分からないのよ。3~5体ほどがこの先にいると思うんだけどどうする?」


 僕らが今いる石造りの通路の先の部屋に複数体のラミアがいるようだけど、冬乃が言うには気配がおかしいらしい。


「う~ん、じゃあこの先の部屋を少し覗いてみて、危なそうなら退くってところでどうかな?」

「その辺りが無難ですかね。せっかくまとめて倒すチャンスなのに、無視するのも惜しいです」

「いざとなったら3人まとめて咲夜が抱えて全力で逃げる」

「咲夜さんならそれで本当に逃げきれちゃいそうなのよね……」


 ただ[鬼神]の全力移動に僕が耐えられるかは甚だ疑問ではある。

 強力なスキルだけど、下手にその場で戦うよりも安全なところに逃げるのに使う方がいいとか、鬼神の名が泣いてそうだ。

 死ぬよりは全然いいからいくらでも泣いてくれて構わないけど。


 僕らは慎重に歩みを進め、出来る限り音を立てないように部屋を覗いた。

 するとそこには、前にラミアクイーンと戦った部屋よりも少し狭い程度の部屋に3体のラミアがおり、その手にはそれぞれ剣と盾を持ってうろついていた。


「3体しかいませんね」

「あ、でも向こう側に通路があるから、あっちに2体ほど出ていったんじゃないかな?」

「そうなのかしら? だとしたら向こうから増援が来ることも考慮しないといけないわね」

「冬乃ちゃん。向こうの通路にラミアの気配ってある?」

「ん~近くにはいないと思うわ。少なくともこの近くにいるラミアは、ここにいる3体しか気配を感じないし」

「それなら冬乃の〔籠の中に囚われし焔(ブレイズバスケット)〕であの3体を倒すついでにわざと大きな音を立てて引き寄せるか、増援が来ない様、極力大きな音を出さないで倒すのとどっちがいいと思う?」


 僕は3人にそう問いかけると、3人はそれぞれ考え出した後口を開く。


「私は大きな音で引き寄せる方かしらね。私達が来た方はほとんど倒してるから、もし仮に倒しきれないほど向こう側から現れたとしても逃げることは出来るでしょ」

「そうですね。少し危険ですが冬乃先輩の言う通り、逃げるだけならそれほど難しくないでしょうし、むしろ沢山現れてくれた方が効率よくレベル上げが出来ます」

「咲夜はどっちでも大丈夫。頑張って倒す」

「みんなの意見をまとめると、沢山来てくれた方がレベル上げと金稼ぎが捗るからラッキーってことでいいかな?」

「誰もお金の事は言ってないわよ?」

「でも魔石が沢山拾えるなら?」

「さて、やるわよ」


 スッとその手に持つ〔籠の中に囚われし焔(ブレイズバスケット)〕を部屋にいるラミア3体へと向ける。

 やる気があるのはいいことだ。


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