表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
潜水艦隊の意地 重巡インディアナポリスとの戦い
91/112

第90話潜水艦隊の意地14

投稿順位が大幅に乱れてましたすいません

「やったぞ!」

伊58艦長橋本中佐が言った。

彼の目の前では、確実に目標が傾斜を強めてる事が、見て取れた。

彼は、これで撃沈確定で間違い無いだろうと思った。

「艦長、やりましたね。もう撃沈確実では無いですか。」

少し、黙っていた艦長に副長が話しかけた。

「まあ、そうだがまだ総員退艦の命令は出てないみたいなんだな。恐らく敵艦の艦長は、よっぽど艦を沈めたく無いんだろうな。」


インディアナポリスの傾斜は、刻一刻と大きくなっていた。

確かに、浸水の速度は低くなってきているものの、傾斜を戻すのは殆ど出来ないだろう。

と言うより、このまま転覆してしまうことは、見に見えている現実だった。

しかし、艦長はまだ諦めていなかったのだ。

単に諦めが悪いのか、往生際が悪いのかはわからないがしつこい事だけは、よく分かる。

いい指揮官と言うのは、見切りをどのタイミングでするか、と言うのもあるだろう。

ここで艦長が粘ればそれ程、退艦できなくなる者が増えるであろうからである。

早すぎても、遅すぎてもいけないのだ。

今は、今ならまだ間に合うギリギリの段階だったのだ。

「もっと、右舷に注水しろ!」

艦長の命令が響く。

「これ以上注水すると、吃水が下がりすぎるので危険です!」

副長が、反論する。

すでに、インディアナポリスは被雷した影響によって、相当量の浸水を起こしていた。

しかも、今までもかなりの注水を行っていたため、注水ができる区画も、かなり減っていたのだ。

つまり、すでに吃水がかなり下がっていたのである。

確かに、傾斜を戻すには注水するのが一番だが、それにも限度がある。

過去の例では、注水し過ぎで反対に転覆してしまうと言うことも、あるぐらい艦のバランスを取ることは一面では慎重にならなければいけないのだ。

「しかも、注水できる区画がもう残ってません!」

もうすでに、元から注水を前提にされていた区画は、満水状態に陥っていたのだ。

「機関室に注水しろ。」

艦長は、最後の手段に出た。機関室に注水すると言うことは、艦の動力を自ら潰すということに、変わりないのだがな転覆を防ぐのには仕方のない事だろう。

もっとも、インディアナポリスの場合には、それをした所で効果があるのかは、微妙なところではあったが。

「分かりました・・・」

副長が、憮然とした表情で言った。」

「ダメコン班、機関室に注水しろ。」

副長が納得はしていないが、命令となれば仕方ない、そう考えながら注水担当の者に言った。

その直後に(左舷外側罐室にいる者は、直ちに脱出しろ。注水を開始する。)

というアナウンスが、担当者によってされた。

そして、脱出完了との報告が入ると同時に、注水を開始した。

すでに艦の3分の1は浸水していると言っても、いい状況であったが、致命的な誘爆が起こっておらず、また処置が適切だったために、まだインディアナポリスは海上にその姿を止めていた。

しかし、それも遠からず見えなくなるだろう。

「こんな土壇場で、艦を沈めるわけにはいかないのだ。」

艦長が、静かに言った。

それが、艦長の思いだったのだ。

その思いがあったからこそ、まだ艦を見捨てていないのである。

もう対日戦の勝敗は、決したも同然なのである。

そんな時期に乗艦を失っては、国民受けが悪いだろうし、自身の評価にも悪影響が出てしまうだろう。

だから、ここでギリギリまで踏ん張ったというアピールをしようという魂胆があったのもある。

また、マクベイ艦長自身まだ艦を持たすことは出来る。そう思っていたこともある。

今も、被雷当初よりも勢いが減ったとはいえ、浸水が止まったわけではない。そしてそれは、インディアナポリスという艦を徐々に、蝕んでいたのだ。

いや、最後の灯火を奪おうとしているとでも言えるだろう。

もう、インディアナポリスが戦闘を行うことは無い。いや、帰ることも無いだろう。

「艦長、そろそろ総員退艦を早く、通知してください。もう持ちません。」

ダメコン班の班長が、静かに諦めを込めて言った。

それは、インディアナポリスという艦の終わりを告げたようにも聞こえた。

「まだ、12度程度の傾斜ではないか?」

彼は、ことも何気に言った。しかし、この角度に到達すると並の人間ならば、立っていることも大変な角度である。

「まだ、動力は生きてるんだ。諦める必要はないぞ。」

「しかし!乗員を無駄に失う訳にはいきません!」

副長が強い口調で言った。彼は、無駄な犠牲は出すべきではないと、常に言っていた。

それを言っていた手前、艦長にただ賛同する事は出来ないと思っていたのだ。

「だからと言って、救えるかもしれない艦を見捨てるわけにはいかない。空母フランクリンの例もあるではないか。」

「あれは、魚雷を食らってなかったからですよ。もうだめです。」

艦長は、沈没寸前になったが沈まずに生還した艦を例に出し、反論したが副長の反論には一瞬詰まってしまった。

彼は、内心の葛藤と懸命に戦っていたのだ。

また、ここまで来ておいて今更という気持ちもあった。

第90話完

たった今気づきました

何故こうなった?

ストックがたくさんあるからです

無いようにこれからはしたいです

感想&勝手にランキングへの投票お願いします

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ