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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
潜水艦隊の意地 重巡インディアナポリスとの戦い
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第89話潜水艦隊の意地13

当たった!

「魚雷当たります!」

そう誰かが叫んだ。

いくら航跡の出ない酸素魚雷と言えども、100メートルぐらいまで近付くと、その巨大な本体がぼんやりと見えてしまうのである。これは避けられないことであるが、敵にとってももう避けられない位置に来てる為、問題はない。むしろぎりぎりでしか視認できない事による、心理的効果の方が大きかったのだ。

「総員衝撃に備えよ!」

マクベイ大佐が、叫んだ。

その、数瞬後のことだった。

天地に轟くような大瀑布と共に、艦が激震に襲われたのだ。

この時、インディアナポリスには2本の魚雷が第二砲塔直下と、艦中央部に命中していた。

「誰か助けてくれ!」

「どうなったんだ!」

「ダメコン班急げ!」

変な体勢で立っていた者は、軒並み命中による衝撃で、吹き飛ばされていた。

魚雷2発が命中するとは、こういう事なのである。

更に、伊58が第二波として放った魚雷が、インディアナポリスに到着した。

それと同時に艦は再び衝撃につつまれた。

今度は、1発の魚雷が艦首にぶち当たり、艦首を15メートルの所から先を艦から吹き飛ばしたのだ。

「くっ!ダメコン班急げ!」

マクベイ大佐が衝撃に顔をしかめながら、言った。

艦は右舷側に傾斜を始めていた。運がいいのかわからないが、弾薬庫はまだ誘爆を起こしていなかったが、艦首がもげてしまっている状況であり、危険な状態であると言える。

「浸水が止まりません!このままでは、転覆してしまいます!」

ダメコン班長がそう叫ぶ間にも、艦は右舷への傾斜を強めていた。


「命中!」

潜望鏡で戦果確認をしていた艦長が、叫ぶと同時にまず2発の魚雷の炸裂音が、重々しく響いてくる。

さらに、若干間を置いてから3発目の魚雷の炸裂音が響く。

「バンザイ!」

「やりましたよ!これで奴らに一矢報いれましたね。」

「ああ、ここまで待ったかいがあったというものだな。どれどれ?」

そう艦長は言っていたふたたび潜望鏡を覗き込む。

「どうですか?沈みそうですか?」

夜間ながらも、魚雷に命中による火災と2000メートル程度という、近距離の為にはっきりと敵艦の惨状が見て取れた。

「ああ、まず艦首を吹き飛ばしたようだな。しかももうすでに、右舷へ傾斜してるな。これでは、もう沈没を免れないだろうな。」

「見せてください。」

副長が言って、艦長から変わって潜望鏡を覗く。

彼は暫く見てから言った。

「確かにこれなら、撃沈間違いなさそうですが、最後まで確認しない事には、言い切れないと思われます。」

「そうだな。確かに確かめなければ、いけんな。」

「その通りですよ。戦果誤認をしないためにも重要ですね。」

「本艦は、敵艦の沈没を確認するまでは、この海域に留まるぞ。」

「了解しました。」

その頃艦内では、敵艦撃沈確実と言うことで、興奮が頂点に達していた。

まあ、当然だろう。今までやられるままに任せていた、アメリカに対して大きな戦果をあげたのだから。

ただ、冷酷に言ってしまえば同じ大きさの輸送船を沈めたほうが、敵に与えるダメージは大きいのだ。

それはなぜか。

要は、補給が無ければ何もできなくなってしまうからである。

例えば、ドイツのUボートの行った、無制限潜水艦作戦による、イギリスに対する通商破壊によって、イギリスをギリギリまで追い詰めた事からも良くわかる。

そう、日本軍は全体的にロジスティックに対して、関心をあまり持っておらず、米軍によって潜水艦による通称破壊が、始まった後もろくに補給船団に、護衛をつけなかったことからも分かる。

日本軍の場合は、護衛艦艇を付けるだけの余裕が無かったと言う仕方のない面もあるが、それでも通商破壊に対する理解が低かったと言えるだろう。

確かに敵の戦闘艦艇を沈めることも、必要だが日本軍の場合は、そっちに傾き過ぎていたと言えるだろう。

要はバランスが、必要ということだ。


「艦長!総員退艦の指示を!」

「まだ沈むと決まったわけではない!ダメコン班を信じようではないか!」

「しかし、仮に浸水を食い止めたとしても、帰還することは難しいと考えますが。」

「とりあえず、今は浸水を食い止めることが先決だ!」

艦長はそう叫んでから、ダメコン班に絶対に浸水を食い止めるよう、指令を出した。

「了解しました。」

そうダメコン班の班長は答えた。

しかし彼は、もう諦めても良いだろうに、と言うよりもう艦を救うことは出来ないっだろう。そう思っていた。

それは、彼だけが思っていたわけではなく、かなりの乗員がそう思っていただろう。

そして、艦長は往生際が悪いとも思っていた。

しかし、命令は命令である。彼は官庁への返答にそうした感情を乗せないようにし、周囲にもそう取られないように、内心渋々ながらも防水作業の指揮をとっていた。

彼はとりあえず、最善を尽くす事にしたのだ。

この場では、こうする事が1番面倒ごとに巻き込まれないだろう、そう思いながら。

「何とかしてでも、このインディアナポリスを持たすんだ!」

そして、マクベイ大佐はまだやる気でいたのだ。

第89話完

ついにこの時が来ました

きのうネット見てたら、フジミから阿賀野型の新キットが出ると載ってました

嬉しいです

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