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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
潜水艦隊の意地 重巡インディアナポリスとの戦い
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第83話潜水艦隊の意地⑦

何だろう

「いいか?汚れの見落としなどないな!」

伊58水雷長が水雷科員に言った。

もし九五式魚雷が、自爆したならば伊58など瞬時に海の藻屑と化すだろう。それほど、酸素魚雷の整備は慎重にそして念入りに行わなければいけないのだ。

「分かってますよ、水雷長。しっかし、目標は戦艦ですか?大物ですね!」

「ああ!一番の獲物だ。だが戦艦が単独で航行してるなんて、おかしいと思わないか?」

「そうでしょうか?別に制海権を完全にとっていると思っていれば、そうなるのではないでしょうか?」

目標は戦艦では無いのは置いといて、確かにインディアナポリスの上層部では制海権を完全に掌握していると思っていた。

しかし、いくら制海権を握ったからといって、姿の見えない潜水艦の侵入を阻むのは不可能に近い。

もう完全に防潜網をその海域に張り切り、封鎖するしかないであろう。

しかしそんなことは、現実的ではなく不可能と言える。

そのことを彼らは、分かっていなかったのだ。

だが、分かっていたとしてもダメだったかもしれないが。

「副長、敵艦は戦艦と見て間違いないな。」

「そうだと思いますよ。確かにこの暗闇の中ですから、艦種を間違えてる可能性は否定できませんが。」

「確かに、艦種誤認はありえるな。だが、大型艦だということはできるな。間違っても、駆逐艦では無いしな。」

「艦長、駆逐艦はあり得ませんよ。第一、艦容が違いすぎますよ。」

「 冗談だよ、本気で言うわけないだろう?」

さも、何本気にしてんの?的な感じで橋本中佐は言った。

確かに、どう見たって駆逐艦には見えないだろう。第一に艦体の規模が違いすぎる。

それで艦種を間違えるなど、よく訓練されている帝国海軍兵にはあり得なかった。

確かに、不慣れな乗員ならば見間違えもありえるが、そもそも潜水艦にそのような間抜けな乗員はいないし、潜望鏡を使うのは艦長か副長そして水雷長が当直で覗くくらいでしかない。

特に、橋本中佐は老練な潜水艦乗りであり、そんな初歩的な間違いは犯すはずが無かった。

ただし、さすがに夜間のこの距離では戦体規模が艦によっては近い、戦艦と重巡の見分けは出来なかったみたいだが。

それでも十分だった。むしろ、戦艦を重巡と誤認する方が大変である。

それは、艦によって撃つ魚雷の本数を調節するからである。確かに九五式魚雷なら1本でも命中すればそこそこの損害を戦艦に与えることは出来るが、沈めることはできないのだ。

ただ、今回は敵に護衛艦艇が無い為、致命傷を負わせられなかった時に、護衛艦艇の逆襲を受ける恐れはないが、1撃で片付けるに越したことはない。

「敵さんは、よもや自分が攻撃されるなんて思ってないでしょうね。」

「そうだろうな。同じような戦況になっていたならば、我々も同じようになっていたかもしれん。だが、油断してるとはいえ敵は敵だ。容赦なくやるぞ。」

「その程度のことは、皆わかってますよ。」

艦長は、敵艦との距離を測る為に潜望鏡をあげた。

潜望鏡には、発見当初よりは大きいが、まだまだ小さく油断したら見失ってしまうのではないか?と思うほど小さく、目標が映っていた。

「15000か、敵の電探は高性能だと聞いていたが、発見されないところを見ると、電探を使っていないか、電探員が見張ってないかのどちらかだな。」

「多分、レーダー員が居眠りでもしてるのでは無いですか?」


これじゃあ、敵がいてもわからんぞ・・艦長は敵はいないと括っているのか?

丁度当直を変わったレーダー員が口には出さなかったが、愚痴った。

ノイズがひどすぎる。幾ら何でもこれでは潜望鏡なんて小さい物は見逃しちまうぞ。

彼の見るPPIスコープは、扇風機の発する静電気のノイズによって、いろいろな地点に光点が現れては消えを繰り返していた。

艦長は、あの調子だし暑いのを我慢するよりいいのだろうが・・もし敵がいたらどうするんだ?

言っても無駄だろうから言わんが、なんかやな予感がするんだよな。

こうゆう時に限って、予感ってのは当たっちまうんだよな・・・

これを今風にフラグを立てると言うのなら、彼は言ってはいないが、フラグを立ててしまったのでは無いだろうか?これは、神のみが決めることだが・・

「どうした?暗い顔をしているななんかあったか?」

彼はふと振り向くとそこには、マクベイ艦長がいた。今彼に声をかけたのは艦長である。

「艦長どうしたんですか。」

彼は驚いて大声を出しそうになるが、勤めて冷静に言った。

「なあに、なんか暗い顔して考え事してるから、どうしたのかと気になっただけだ。他意はない。」

「別になんともないですよ。レーダーが見ずらい以外は。」

「暑さを堪えるのに比べたら、良いだろう?それに敵はここまで来たくても来れんよ。」

「そうだと良いですが。」

「そう思えば、敵は来ないぞ。安心したまえ!」

そう艦長は陽気に言ったが、彼の不安が消えたわけではなく、むしろ強くなっていた。

絶対に何かあると、彼の本能が言っているのだ。

第83話完

レーダーの話でした

まだまだ続きます

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