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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
潜水艦隊の意地 重巡インディアナポリスとの戦い
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第79話潜水艦隊の意地③

なんだかんだ言って、のんびり進みます


「昼間でも、一斉に主砲をぶっ放せば沈められるんじゃないですか?」

「敵だって、当てやすくなるぞ?それに無傷で切り抜けられないだろう?」

彼らは、なぜか日本の水上艦艇との戦い方についての話をしていた。

だがその頃、彼らを水中から虎視眈々に狙っている群狼がいた。


「どう思う副長?」

伊58艦長橋本 以行中佐が言った。

「いけると思いますが?」

「敵は、アイダホ型戦艦かな?」

「分かりません。この暗闇では、特定は無理でしょう。」

「そうだろうな。ところで、呉が空襲にあった件だが、どう思う?」

「どう思う、とは?」

「戦局などに与える影響だよ。」

「あまり無いと思います。」

「ほう?」

橋本中佐はさも意外そうに言った。

彼はあると信頼している副長が言うと思っていたのだ。だがその期待は叶わなかったが。

「簡単な話ですよ。元から動けないものを沈めたところで、影響が出るわけありませんよ。

確かに、今使用している艦だったなら、影響がある。そう言えました。ですが、燃料不足で泊地に係留されているだけの艦が沈んだところで、影響はほとんどありません。」

「ほう?」

艦長はもっと違う答えを彼がすると思っていたのだ。期待は外れたが。

「簡単な話ですが、もう燃料不足で動けない艦を沈めたところで、影響はありません。

確かに、元々動けない艦をわざわざ爆弾を使って沈めたので、資材の浪費にはなったでしょうが、戦局には関わらないでしょう。」

「他にはないのか?」

「強いて言うなら、艦の被害と人的損害が増えたということでしょうね。」

「それだけか。」

「それに、陸軍はまだ本土決戦でけりをつける気でいますからね。それに、海軍だって分かりませんよ。なんせ、効果が未知数の特攻兵器の量産に力を注いでいるのですからね。」

彼はこの時代の帝国海軍には珍しく、物事を俯瞰して考えることができた。

「終戦時期が早まると、思っていたのだが?」

「あまり、関係ないでしょう。今言ったみたく、まだ上層部はやる気ですしね。そういえば、敵艦は見失ってないですよね?」

艦長は軽く潜望鏡を海面に出して敵を索敵して、潜望鏡をかたずけた。

「大丈夫だ見失ってない。と言うより、敵が直線で進んでいるから、見失いようがないよ。」

今の位置関係は大体こうなっている。

↓伊58



←←←←インディアナポリス←←←←

そう、インディアナポリスの右舷側から接近しているのだ。

そして、十字を描く航路でもある。

「そうか・・・呉空襲は戦局に影響しないか・・・」

「はい。影響する可能性はほとんど無いと考えます。」

「そうか。」

「しかし、この話をネタにして国民に米英憎しの感情を作り上げようとするかもしれません。」

「なぜだ?」

「本土決戦に向けて、士気を上げるためですよ。」

「だが、国民の士気を下げるから公表されないと思うのだが?」

「もうすでに、本土空襲によって下がり切ってると思いますよ。」

「これ以上下がる事はないから、問題は無いと?」

「そう考えても不思議ではないと思います。あえて海軍が被った被害を公表することによって、国民の士気を上げるのは、ありえると思います。」

「今までの秘匿体質から言うと、考えずらいと思うが?」

「国民は、日本が追い詰められていることを、本土空襲によって嫌というほど、思い知らされてるはずですから・・」

「公表するかは、小沢さんあたりが決まるのだろうが、分からんな?」

「そうも言えますね。海軍の面子が許さないかもしれません。」

「まあ、終戦までは全力を尽くす事に変わりは、無いがな。」

「ですね。我々はまだ戦えますからね。」

「我々の戦力はまだまだ残ってるしな。敵を十分削れるだろう。」

「確かに、伊400型も2隻ありますしね。戦力に不足はありません。」

そう、前にも書いたが、連合艦隊の中で第六艦隊だけは、十分な戦力を保持してるのだ。

他の艦隊が、打ちひしがれていくのを尻目に、マリアナ沖海戦では大きな損害を被ったが、残存する兵力によって戦果を挙げ続けていたのだ。

しかも、パナマ運河を破壊したのも、潜水艦伊400に搭載されている水上機だった。

そしていま、ウルシー岩礁攻撃作戦が、伊401と伊13、伊14の3隻の潜水艦によって、指導していた。彼らは今、目的地のウルシー岩礁沖に向けて、航行している。

「だが、もう後は終戦を待つだけだな。」

「そうですね。口惜しいですが、今年中には降伏せざるを得なくなるでしょう。これだけは変わらないでしょう。」

「後は、最後の一撃を見舞うことが、いつになるかということだな。」

「そうですね。」

「遠からず、その時は来るだろうが、最後まで全力を尽くしてやるぞ。」

「当然ですよ。海軍人たるもの、何事にも手は抜きません。」

「その意気で、最後まで行ければいいが。」

「どういう事ですか?」

副長が、眼光鋭く聞いた。

「恐らく、今回の接敵がこの戦争で、戦果を上げる最後の、可能性になると思う。」

「確かに、敵を見つけられるとも限りませんものね。」

「だから、沈めたことで満足感というか、慢心が出てくるのではないかと、思ってな。」

「油断が出てくると?」

「そうだ。」

艦長は短くそう言った。

第79話完

という訳でまだまだ終わりません

そろそろ30000アクセス到達します

勝手にランキング少し後退して10位です

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