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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
呉空襲 連合艦隊の終焉
71/112

第70話連合艦隊の終焉14

そろそろ終わりが・・見えます?

最後の攻撃は、突如としてやって来た。

「敵機直上!」

「なに!」

「撃て!」

榛名上空に突如として敵機が現れ、緩降下爆撃を仕掛けてきたのである。

榛名の対空砲が、ありったけの力を出して撃ちまくる。だが被弾により大きくその火力を減じていた、榛名が防ぐことはできなかった。

「撃ちまくれ!」

右舷側の砲もなんとか艦を守ろうと、艦を真っ赤に染めて、撃ちまくる。

だが、左舷からくる敵には威嚇ほどの効果もなかった。


「これで終わりだ!」

徹底的に不意打ちにこだわった甲斐があったぜ。

上手く連中が気を抜いたときに、攻撃を仕掛けられたな。

「まだ、右舷側は無傷なのか。」

右舷側から、撃ち上げられる曳光弾が作る光の幕を見て、そう呟いていた。

ある種幻想的な光景であったが、それを気にしてる暇はない。

今は、今は幻想的な光景を作り出したやつに、引導を渡すのが先決だ。

「付いてきてるか?」

「 大丈夫ですよ。」

「このまま突っ込むぞ!」

「いけますよ!」

「彼奴を沈めた、戦功は俺が貰ってやるぜ!」


「総員対衝撃態勢取れ!」

艦長が、艦内にいる者に対し言った。

「拙いですね。ようやく浸水を食い止められ始めたというのに。」

「ああ、まさか奇襲をこの段階で仕掛けてくるような、頭の切れる奴がいたとはな。正直言って意外だった。これは、俺の油断だ。」

艦長が一気に言い切った。

「艦長のせいではありません!全ては、油断して見張りを怠っていた、自分等見張り員の責任です!」

「今は、責任問題を持ち出すな!艦の保全に全力を尽くせ!」

「了解です!」


「行けーーー!」

俺は叫びながら、目標に突っ込んでいく。

「そろそろです!」

「600」

「撃てー!」

爆弾を放った瞬間には、期待の引き起こしにかかる。

そうしないと、海に突っ込んじまうからな。


「ダメだ!命中する!」

誰かが、そう叫んだ時だった。榛名は今まで、4発の500キロ爆弾の直撃を喰らい、2発の12センチロケット弾も喰らっていた。

そして今、榛名に今日最後の命中弾である5発目の500キロ爆弾が、命中した。

この爆弾は、艦の後部気味のところに命中し、難なく最上甲板の装甲を突き破って、艦内で炸裂した。

それによって、ようやく食い止められつつあった浸水が、再び進行し始めた。

さらには、左舷後部側の対空砲を全滅させたのである。

それによって、もはや左舷側に有効な対空射撃を期待することは、出来なくなってしまった。


「やったぞ!これで奴も終わりだ!」

「やりましたね!」

これで、奴も沈むはずだ。

今まであいつが見せてきた、驚異的な粘りもこれで終わりだ。

「帰還するぞ!」

「そうですね。」


「攻撃は、大成功です!」

第38任務部隊旗艦ミズーリの戦闘指揮所(CIC)に、通信士の喜びに満ちた報告が響いた。

「攻撃は、成功だ!前回のリベンジ成功だ!」

第38任務部隊司令長官ウィリアムハルゼー大将がCICにる、全員に聞こえるように言った。

彼は、攻撃隊が発艦し出撃するのを見送った後、本来の居場所である、CICに戻っていたのだ。

「これで、ジャップの連合艦隊は壊滅しましたね!」

参謀長、ロバートカーニー少将が言った。

「ああ!これであとは、横須賀のナガトだけだぜ!」

「ただ、撃ち漏らしがあるかもしれませんが?」

「いや、戦艦さえ全滅させれば上陸作戦に支障は出ない。だったら、ちっさい目標よりも、大きい目標をぶっ潰したほうがいいだろう?」

「確かに、空母とかが残っていても、我が任務部隊の敵ではないですからね。。」

「そういう事だ。だが、今は一旦後退して補給をしなければ、いかん。」

第38任務部隊は今度重なる出撃によって、燃料や弾薬の残量が心許なくなってきていたのだ。


「注水急げ!艦を水平にさえ保てれば、転覆しなくて済むぞ!」

艦橋からは、すでに転覆してしまっている空母天城が、望見できた。

いくら浅瀬だからといって、転覆するのと着底するのとでは、着底の方が乗員や艦の被害が少なく済むのは、皆わかっていた。

転覆してしまえば、その傾斜によって逃げることが難しくなるからである。

「いいか、ここで浸水を食い止めるんだ!」

そう言って、彼を筆頭に応急班の面々は、機関室の緩んだ隔壁に、補強の角材を押し当て、防水作業に取り掛かった。

そうしなければ、浸水が進み転覆してしまうだろう。

そう皆が思っていたため、全力で作業にあたっていた。

俺らがやらずして、誰がやるんだ!

そういう思いもあった。

榛名の艦内では、乗員総員が自分ができる作業にあたっていた。

「拙いな。ここが踏ん張りどころだが・・・」

「艦長が自信を持たないで、どうするんですか!」

「ああ、そうだな。」

吉村艦長は今日の空襲によって、精神的にかなり参っていた。

「総員聞け!ここが、本艦が転覆するか着底するかの踏ん張りどころだ!水平に艦の傾斜を近づけるんだ!」

艦長の気迫のこもった放送が響く。

「やってやらあ!艦長の期待に応えるんだ!」

応急班の面々から、叫び声が上がった。

まだ榛名は、最後の力を振り絞って浮かんでいた。

第70話完

榛名の命運もここまで?

73話まで書き終わってますが、おそらくそこで終わります

呉空襲編が

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