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第57話連合艦隊の終焉

脱線回への突入です

「そっちだそっち。」

「ここか?」

「よっし、下げるぞ。」

「オーライオーライ。」

シンガポールのセレター港ドックでは、伊400の修理が行われていた。

「しかし、本土では呉空襲があったようですが、大丈夫ですかね?」

「どうした、朝倉参謀長?怖気付いたか?」

「いえ福留長官。ただ、伊400が被害を受けたらと思っただけです。」

「7月24日にあった空襲での被害は少なかったみたいだが?」

「伊400は潜水艦ですよ?空襲を受けたら一撃ですよ。」

「今は航海中に入渠してるから沈むことはないのではないかね?それに呉での空襲も大体が小破だったみたいだしな。」

「そうですが、ドックにいるからですよ。これで修理が長引いたら、どうするんです?」

「待て待て、呉を空襲したのはアメリカの機動部隊だぞ?流石にここまで来るには時間がかかるだろう?」

「そうですけど、違う部隊が来たらどうするんですか?」

「例えばどこのだ?」

「イギリスのですよ。」

「多分こないと思うぞ?」

「まあ、どうせもう終わりますからね。」

「戦争か?」

「そうですよ。」


「もう一度あの規模の攻撃があると、拙いぞ。」

呉鎮守府長官室で呉鎮守府長官金沢中将は呟いた。この前とは、当然7月24日にあった呉空襲の事である。

「確かに、もはやまともな防空戦も展開できませんからね。」

「橋本少将もそう思うか。」

「前回の空襲で全艦少なからず損害を受けていますからね。もう一撃に耐えられないでしょうからね。」

「もう終わりかな。」

「戦争が・・ですか。」

「ああ、皇国にもう力は残っていないからな。それに、燃料もないしな。」

「いつ終わるのでしょうね?」

「私に分かるとでも思うのかね?」


「いいか野郎ども、ジャップどもを皆殺しにしてこいいいな!」

「了解ボス!」

戦艦ミズーリの艦橋から、無線で呼びかけたのは、アメリカ合衆国海軍太平洋艦隊第38任務部隊司令長官、ウィリアムハルゼー大将である。

彼はブルというあだ名で呼ばれている、覇気溢れる提督である。

「よし、カーニー準備はいいな?」

「いつでもいけますよ。」

カーニーとは、第38任務部隊参謀長のロバートカーニー少将である。

「よしっ、行ってこい。今日で奴らの艦隊を壊滅させるんだ。いいな!」

ハルゼー大将は、7月24日に行われた攻撃が中途半端に終わったことに、苛立ちを覚えていたのだ。

「いいか、確実に仕留めてこい。全ての艦艇に満遍なく仕掛けなくてもいいから、敵のビックシップを沈めてこい!」

「了解!」

こうして、日本海軍に残っている大半の戦力を叩き潰すため11隻の空母から、約950機の攻撃隊が発艦していったのだ。

空母の数は真珠湾の時の約2倍、攻撃隊総数は約2、5倍のまさに倍返しである。

もはや、日本海軍にこの攻撃隊を防ぎ得る戦力は無いのだ。

「漸く真珠湾の借りを返せるな。」

「そうですね、3年半越しの復讐ですね。」

「ああ、パナマがやられたと聞いたときはびっくりしたがな。」

「それが今で良かったですよ。」

「ああ、もしミッドウェーの頃だったらもう日本と講話を結ぶしか無かったからな。」

そうなのだ、今でこそエセックス級空母が十数隻もあるが、当時はミッドウェー海戦に出撃したヨークタウン、ホーネット、エンタープライズの他には、サラトガとワスプそしてラングレーといった空母があるだけであり、ワスプも、6月10日にパナマ運河を通ったのであり、6月5日に同時に攻撃されていたら、ヨークタウンを失い稼働空母が2隻のみという状態になっていたところなのだ。

それに対し日本海軍は、4隻の空母を失ったものの、翔鶴、瑞鶴、隼鷹、飛鷹という4隻の正規、大型改装空母を保有しており、さらに龍驤、鳳翔、瑞鳳などの小型空母も保有しており、明らかな劣勢に立たされる所だったのだ。

そうなっていたならば、カーニー参謀長が言ったように、講話を結ぶしかなかっただろう。なんせ、有力な戦力である空母の数で劣っているのだから。

それの対し今の状況は、日本海軍が燃料不足によって大型艦を動かせないのにたいし、制式空母11隻

さらには中型空母や護衛空母が100隻程度あり負けるはずがなかった。

それが、ハルゼー司令部の自信の源になっていたのだ。


「いいか、いくら敵の戦力が落ちているからって油断するんじゃないぞ。」

攻撃隊隊長が、攻撃隊の総員に言った。

7月24日の空襲でも16機と少なくない数が撃墜されているのである。

攻撃隊の構成機はF6Fヘルキャット戦闘機、SB2C ヘルダイバー急降下爆撃機、TBF/TBM アヴェンジャー攻撃機である。

それぞれ、搭載できるだけの、ロケット弾、爆弾、魚雷を搭載しており、満足な迎撃機を出せない日本側を一気に叩き潰すことが可能な戦力である。

戦闘機である、F6Fにさえ爆弾やロケット弾を積んでいるのは、迎撃機は出てこないというのと、少しでも投射量を増やすためである。

呉に真珠湾の厄災を何倍にも増した、脅威が迫っていた。

日本海軍にこれを防ぐ力は無い。

第57話完

と言うわけで、突然舞台は呉へ

いつ終わるのか?

誰にもわからない

作品の暴走が始まった

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