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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
35/112

第34話雷撃用意

そろそろ撃ちます

「敵艦まで1500。」

前回の報告からしばらくしてから、副長が言った。

「距離500で撃つ。水雷!用意はいいか?」

「準備はできてますよ!」

「よっしなら良い。総員に告ぐ第1種戦闘配備ついてるか?」

伝声管越しに聞く。

「大丈夫です。」

「完了してます!」

艦内各所に繋がっている伝声管から、威勢のいい返事が返ってくる。

「艦長。ついに撃てるんですね!」

「そうだ横川大尉。もう少しだ。わかってると思うが、発射するのは2発で直接標準だ。いいな。」

「大丈夫です。しっかりぶち当ててみせますよ。」

「期待してるぞ。いいか、もう補給はないからな無駄な物は使わないで行きたい。分かるな、その意味?」

「要は、一撃で沈めろと言うことですね?」

「そうだ。野島兵長。分かってるな。」

「バッチリですよ。それに相手は商船ですし1発でも充分ですよ。」

「いや、救難信号を発する暇もないくらいの速度で沈めるためには、1発では足りないのだよ。」

「なるほど、絶対に沈められたことにも気づかせないようにってことですか?」

「いや、少し違う。潜水艦がやったと思われないようにだ。生存者が少なければ、情報の信憑性は失われるし、うまくいけば機雷に引っかかったと証言してくれるかもしれないからな。」

「要は、魚雷だと気付かせるな、という事ですか。」

「そういう事だ。それに本艦がここにいるという事を察知されては困るからな。」

「そうですね、前回はここに敵はいないと思われてたから、あの戦法が通じましたが一旦いるとなると、油断は無くなりますからなね。」

「そうだ。副長。分かってるじゃねえか。」


「艦長。嫌な予感がするのですが。」

「どういう予感かね?」

「何かついて来てるような気がするんです。」

「そうか。でも予感なんだろう?」

「そうですが。」

「なら気にする必要もないだろう。もうプリスベーンに着くんだ。今から気を張る必要は無いよ。」

「それはそうですね、ただの予感ですし。しかし何故護衛艦が無いんでしょうね。」

「パナマがやられた影響らしいが、日本の潜水艦は居ないだろうと言うのが見解だよ。」

「なら良いのですがね。」

副長が何か苦虫を潰しように言った。

「だがなあ。前にも言ったが、もう外海に出てこれる状況でも無いだろう。」

「でも、副長は心配するのが仕事ですから悪く考えてしまうんですよ。」

「そう言うことにしておこう。でもあまり言い過ぎると乗員から、にらまれるぞ。」

「そうですね。もうついた気でいるやつもいますからね。特に右舷の連中はそうなんですよ。ちゃんと見張りをやって貰いたいものですよ。」

「それはそうも言えるな。」

「全く、困った連中ですよ。」

こうしてマンハッタン号は、前方から狼に気づかないまま8ノットの速度で航行を続けて行く。

それにしても、何故ここまでの緊張感が欠落して居るのだろうか?

それは、日本の船はもういないと言う、海軍当局の発表によるものであるらしい。


「飛行長。順調に近づいてますね。」

聞いたのは、吉川飛行兵曹である。

「ああ。的に見つかったわけじゃなさそうだしな。やはり、油断してるようだな。」

「自分たちの索敵の時と同じですね。」

「だがな、魚雷が当たるかの確証は無いんだ。こっちも油断できねえよ。」

当時の魚雷は、今時の魚雷のように、誘導装置などという便利なものは付いていない。だから、命中させるには艦長の腕が肝心であった。

ちなみに、日本の輸送船の被害が開戦後しばらく少なかったのは、アメリカ潜水艦隊の使用する魚雷が、すべての面で使えなかったからである。中には5本ほどの魚雷が舷側に刺さったままで帰還した船もあるぐらいだから、その酷さが分かるだろう。

しかし、開戦後1年が経つ頃には、それらを修正した魚雷が配備されることになった。

その魚雷によって、日本商船隊は壊滅してしまうのである。

それに対し、日本海軍の魚雷は全ての面で優れていた。しかし、潜水艦自体の用兵の拙さによって、高性能を十分に発揮出来なかったのである。

「それはなんでも言えますから、考える意味ないと思いますよ。」

「別にいいだろう。何考えたって。」

「まあそこは個人の自由ですけど、今言う必要は無いんじゃ無いですか。今から撃つって時に不吉なこと言わないでくださいよ。」

その主張は最もであろう。

「それはそうだな悪い」

「もし 水雷科の連中が聞いてたらどうする気ですか?生野中尉。」

「やばいな。」

「でしょう?この話はもうやめましょうね。」

「だな。」


「敵艦への距離1000。」

副長渡辺大尉の声が響く。

「水雷科聞いたか?もう少しだ。聞き逃すんじゃねえぞ!」

「はっ」

「副長100ごとに言ってくれ。」

「分かりました。」

「艦長。当てたいですね。」

「当然だ航海長。ここで当てられないと末代までの恥だからな。」

「確かに、敵艦全警戒してませんからね。外すはずないですね。」

「絶対に失敗出来ないとは、こういう事だよ。航海長。」

「900。」

「雷撃用意。後400だ。」

「了解!」

第34話完

次回撃ちます!

しっかし、二話先書いてると内容が思い出せない・・・

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