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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
オーストラリア通商破壊作戦
28/112

第27話軍令部総長の憂鬱

そのまんまです

「やはり軍令部総長になっても忙しさは変わらんか。」

そう独り言を言ったのは豊田副武大将である。

彼は連合艦隊司令長官退任と同時に軍令部総長に新補されていたのだ。即ち終戦直前という状況だが、海軍三顕職のうち2つを歴任することになったのだ。

ちなみに海軍三顕職の全てを経験したのは、嶋田繁太郎大将ただ一人であるが、彼の能力には疑問符がつく。

しかし凡人では、就けるような職ではどれもないため能力がなかったわけではないと思われる。

「しかし軍令部の連中にこんなにも、この戦争が日本の勝ちで終わると本心はともかく、言っている連中がいるとは・いさはや、実務部隊の方が現実を見る目はあるということか。」

それは当たり前のことであり、当然と言える。

何故なら、前線部隊は直に敵と戦っている為もう勝ち目がないことがわかっているが、後方勤務の場合入ってくるのは遅れている情報でありただの文言として送られてくる為、実感に乏しくなってしまうのである。それにしても軍令部は置いといて陸軍はひどかった。何故なら本土決戦と事あるごとに言っていたからである。

もはや勝ち目がなく、只々本来守るべき民衆が戦略爆撃によって死んでいく。最早自分たちの面子の為に戦っているようなものであった。

確かに陸軍にも良識派と呼ばれる、終戦を推し進めようとした一派も存在する。しかし、徹底抗戦など戦争継続派に比べると、余りに少なかった。そんな状況でも戦わねばいけないのだ。無残としか言えないだろう。

「連合艦隊も何と無残に減ったことか。最盛期には世界第三、二位を争い世界で最も均整が取れている艦隊と呼ばれたその姿はもはや残っていなかった。

確かに艦は残っているしかし動かす燃料もなく、無念にも母港に繋がれるだけになっていたのだ。

しかし、攻撃手段が失われたわけではない。

芙蓉部隊のように、通常攻撃によって戦果をあげている部隊もあったのだ。

勿論それには、伊400も含まれる。しかし、あまりに強大になった連合軍相手には、殆ど無視できるようなものであったのだ。

確かに、修理や人的被害は生じていたが大きな打撃を与えるには至っていないのである。

「それにしても、特攻が此処まで続くとは初戦と微々たるもしっかりとあげている戦果の幻想に取り憑かれてしまっているではないか。それに本土決戦と叫びながらも、陸軍には対抗可能な戦力はないではないか。」

確かに、試作中の車両では五式砲戦車ホリなどがあった。しかし量産されているので見ると、三色中戦車チヌが帝国陸軍最強の戦車であった。

確かに砲口径はアメリカのM4シャーマンと同等の75ミリ砲であるが、装甲圧の差そして数の差から見てたとえ本土決戦になったとしても、なんとか同等に当たれるのでは、程度のものでしかなかった。

しかも極め付きは、砲弾が命中すると砲弾の方が砕かれるということであろう。

これは、治金技術が遅れていたことと、砲弾の設計段階の欠陥によるものである。何故なら、弾頭部に覆いを被せれば防げることなのだが、それに気づいていなかったのか、施していなかったのだ。

しかし海軍では、早くから、被膜弾頭を採用して降り、それは九一式徹甲弾にも用いられている。

そこで悔やまれるのが、陸軍に対する技術提供がなかったことである。

「こんな状況でやった所で、勝ち目などないことぐらいちょっと考えれば、分かるだろうに・・」

身も蓋もないことだが、同じ国でありながら陸軍よりも海軍の方が砲を作る技術ははるかに高いレベルにあったのである。だからもし、海軍に発注していれば、もっと強力な対戦車砲が出来たはずである。もしくは、短砲身7、5センチ対空砲を戦車の主砲にするという手もあった。何故なら、高角砲は初速が高く徹甲弾を用いればかなりの装甲貫通力を示すからである。

しかし、それが出来るほど陸海空の中が良かったわけではなく、むしろ中央では戦時中にもかかわらず、協力しようともせず、対立しあっていた位なのである。そんな中の彼らに、そういう事は期待できないだろう。

そんな陸海軍の不和にはこんな話すらあるのだ。

ドイツから、ダイムラーベンツ社製の発動機のライセンスを取るに当たり、一つの国なのに陸海軍別々に二社分ライセンス料を払ったという話である。

この時は、さすがのヒトラーも一社分でいいと言ったのだが、生産工場が違うからという日本側の事情があったのもあるが、最終的に二社分払っているのである。

この場合、半分づつ払うという方法もあったと思われるのだが、面子を張り合ってしまったらしい。

「もっと陸海軍が協調すれば良いのに、なぜ対立ばかりするのだ?全くわからん。」

もっと陸海軍が協力できていれば、と思うものはどっちにもいた。しかし少数派であったために多数派に飲み込まれてしまっていたのだ。なんとも情けない状況ではないだろうか。

何故ここまで、面子を貼りたがるのか、それは当人にしか分からない。

第27話完

いかがでしたか?

実際そうだとおもってるんですが

感想待ってます

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