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航空機搭載潜水艦伊400最後の出撃  作者: 飛龍 信濃
戦いの終わり 本土への帰還
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第99話訓練の日々⑤

ここのところ更新出来ずすいませんでした

「準備しとけよ。」

生野注意はそう言って、操縦桿を握っている手を固定する。

射出機による発艦では、そのGによって操縦桿を引いてしまったりして、失速し墜落してしまうことがあるのだ。そうならないための措置である。

「行くぞ!」

そう言って生野中尉は親指を立てた。

それを確認し、射出機のスイッチを入れる。

すると圧縮空気が四式一号一〇型射出機に流れ込み、機体を押し出すように発艦させる。

2人の体に7Gぐらいの負荷がかかる。

だが、それは一瞬のことであり次の瞬間には、空を飛んでいた。

「久しぶりでしたけど、上手くいきましたね。」

吉川飛行兵曹が、機内伝声管を使って話しかけた。

何しろ発動機の轟音がひどく、そうでもしないとまともな話ができないのである。

この装備は、今回の修理の時に新しく付けられたものである。

その装備が早くも本領を発揮していたのだ。

「ああ、上手く発艦できたな。イメージトレーニングをしておいたおかげかな。」

生野中尉が言った。

ちなみに、英語は適正語として好ましくないものとされていたが、元々イギリス海軍を手本にしていた海軍では、横文字の用語が多くあまりとやかく言われることはなかった。

うるさく言ってるのは、政府と陸軍そしてそのプロパガンダに乗せられた一部の者ぐらいであったのだ。

だから、割と海軍では普通に使われていたのだ。

「そうですか。自分はヒヤヒヤもんでしたが・・・」

「そんな心配すんなって。俺の腕を信用してないのか?」

生野中尉が餓鬼っぽく言った。

「そういうわけでは無いですよ。ただ久しぶりだったから、それだけです。」

「そうか。まあとやかく言うつもりもないし、油断して手を抜く方が問題だからな。」

「油断はしませんよ。」

半分むくれたように、吉川飛行兵曹が言った。

「そう言うなって、もう成功したんだから良いだろう?」

「まあ、そうですね。」

彼は短く言った。

「よっし、宙返りでもして見るか!」

生野中尉が、興奮しながら言った。

「まじですか〜〜?」

吉川飛行兵曹が心底嫌そうに言った。

「まじだ。行くぞ!」

そう言って彼は操縦桿を引き、機体を宙返りの体制に持っていく。

それと同時に彼らの体に外向きのGがかかり始める。

「本当に行くとは思いませんでした!」

吉川飛行兵曹が、大声を上げていった。

「行くと言ったら、行くに決まってるだろう!」

そう生野中尉は言い返した。そうしてる間にも、機は宙返りを終え、水平飛行に戻っていた。

「宙返りをしたか・・」

日下中佐が半分呆れながら言った。

「久しぶりなのに大胆ですね・・」

副長の渡辺大尉も、呆れ気味に言った。

「まあ、こんくらいはできてもらわないと困るがな・・・」

「成功したみたいですから、良いんじゃ無いですか?」

「まあそうだな。所で次はどっちが行くんだ?」

そう言って、後ろに立っている4人に話しかけた。

4人とは、二番機の鳥野上等飛行兵長、中瀬飛行兵曹のペアと、三番機の大井飛行兵長、江草飛行兵曹のペアである。

「どうします?」

中瀬飛行兵曹が控えめに聞いた。

しかし、残りの3人は黙り込んでしまった。

いい案が出てこないのだろう。

それを見かねた艦長が言った。

「もう、機長同士のじゃんけんで決めれば良いじゃないか。」

「そうしましょう。」

真っ先に言ったのは、大井飛行兵長である。

すると残りの3人も、揃って賛意をしました。

結局この方法が一番公平でベターだからだろう。

その公平でベターなじゃんけんによって、三番機ペアが先に飛ぶことになった。

まあ、どっちにしても飛ぶということに変わりはないのだが、気分的なものが違うのだろう。

「よっしゃ!行くぞ江草!」

そう言いながら、大井飛行兵長は射出機に乗せられた機体へと乗り込んで行く。

生野中尉がやったのと同様に、ラッタルを伝って操縦席に入る。

「少し待ってください。席の座り心地を確認したいです。」

江草飛行兵曹が言った。彼は、自分の座る席を徹底的に気にするたちだったのだ。

「確かに、今までとは違うからな、しっかりなれとけよ?」

「その為に待ってくださいと言ったんです。」

江草飛行兵曹は、半分むくれながら言った。

だが、大井飛行兵長は気にした風もなく、ただ笑い飛ばしただけだった。

「やはりうまいな。」

艦長が首を上に向けて、生野機の飛行を見つめながら言った。

「ですね。ブランクがあったとは思えませんよ。」

そう言ってる間に、二番機の発艦準備が整ったようだ。

「行きますよ!」

整備員が発動機の音に負けじと、声を張り上げて艦長に言った。

「 わかった、いつでもいいぞ。」

そう言うと同時に、大井飛行兵長が親指を立てた。

それと同時に、四式一号一〇型射出機が起動し、晴嵐の機体を天空へと誘った。

その様子を生野中尉と吉川飛行兵曹は機上から見ていた。

「おっ行ったか!」

生野中尉が興奮しながら、言った。

「誰が乗ってるんでしょうね?」

吉川飛行兵曹が、抑え気味に言った。

「まあ、近付けばすぐわかるさ。」

そう言って彼は操縦桿を傾け、機体を接近させていった。

第99話完

と言うわけで次回ついに100話に到達します!

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