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第五十六話 死淵進化

翔鬼が目覚めた!!


 第五十六話 死淵進化(しえんしんか)




 翔鬼は目を開けた。 太陽が少し傾きかけていて眩しい光が庭の木の間から点滅しているように目をくすぐる。



···三時頃か···



 その時、目の前が真っ白になった。


「翔鬼!! 起きたか!! 戻って来てくれてありがとう!」


 翔鬼が起きた事に気づいた白狼が(おお)い被さってきたのだ。

 そしていつものようにベロベロと顔を思いっきり()(まく)る。


 やっと自分に起きた事を思い出した。


 てっきり殺されたと思ったのに、生きていたのだ。


「白狼!」


 翔鬼は白狼の首をギュッと抱きしめた。


「グエッ!! ぎょうぎ(しょうき)···ぐでゅじい(くるしい)···」


 「あっ」と、慌てて手を離す。


「すまん! 力を入れすぎたかなぁ」

貴方(あなた)、進化したのよ。 それも桁外れに。 だから力も半端なく上がっているのよ」


 そういって「おかえり」と、白鈴にしては優しく接してくれた。 

 しかし、何か違う······白鈴の見た目が何か違うのだ。


「何が違うのかなぁ?···白鈴、何か変えた?···あっ! 尻尾の数が一本多い!!」



 白鈴は翔鬼の前で一周回ってみせる。



「ふわふわで可愛いでしょ? 多分貴方(あなた)の進化に伴って、私も急に妖気が増えたの」


 ギンが言っていた妖気の強化ってこれの事なんだ···と、白狼を見てもっと驚いた!


「は···白狼!! 角と翼が···?!」


 勾玉があるはずの額に一本の角が生えていて、その勾玉が角に付いている?!



···そんなの有り?···



 しかし、もっと驚いたのが、白狼の翼が四枚になっている事だ。 白癒羽(はくゆう)に本来の翼が加わって二対(四枚)の翼が生えているのだ。


「突然翼が生えてきた。 少し飛んでみたが、四枚の翼はなかなかいいぞ。 スピードも出るから、翔鬼についていけそうだ」


「そ···それは凄いな。 実はギンが教えてくれたんだが、俺の進化でみんなの妖気が強化されたらしいんだ」

「そうだろうと思ったわ。 貴方(あなた)死淵進化(しえんしんか)]したのよ。

 そのせいで貴方(あなた)の妖気が私達の勾玉から流れ込んできたんじやないかと思っていたわ」


死淵進化(しえんしんか)?」


 白鈴はフフフと笑う。


「妖怪は滅多に進化なんてしないのだけど、たまに起こるのが増妖進化(ぞうようしんか)と、死淵進化(しえんしんか)なの。

 増妖進化(ぞうようしんか)は何らかの要因で急激に妖気が増えた時に進化する場合。 貴方(あなた)が最初にギンを作り出して進化した時のことね。

 実はあの時も、少し妖気が増えた気がしたのよ。

 そして死淵進化(しえんしんか)は死にかけて回復した妖怪が進化をする場合。

 でもどちらも滅多に起こることじゃないのだけど、特に死にかけてから復活して進化した場合は爆発的に妖気が増えると伝えられているの。 

 でもどちらも目の当たりにするのは初めてだわ」


「へぇ~~そうなのか···しっかし白狼、カッコいいぜ!!」


 翔鬼が親指を立ててみせると、白狼は口の端で笑って見せた。


「翔鬼、お前も五本角になっているのに気づいていたか?」

「えっ?!」


 翔鬼は慌てて自分の(つの)を触る。 夢の中で頭が痛かったのがこれのせいだったんだ。


「お前の方がカッコいいぞ!」


 白狼が親指を立てて見せるので、口の端で笑って見せた。



···おっしゃぁ! 決まった!!···



···白狼相手にカッコつけて見せても······




「そうだ翔鬼、チビ敬に礼を言った方がいいぞ。 茨木童子の刀に毒が塗ってあったせいで死にかけたのをチビ敬が助けてくれたんだ」

「そうだったのか?! チビ敬」



 翔鬼が手のひらを差し出すと、チビ敬がピョンと飛び乗ってきた。 しかし、大きくなっている! 5㎝ほどの大きさになっているのだ。



「チビ敬が?! デカくなっている」

「うん! 翔鬼のおかげだ」

「そうか、それより助けてくれたんだって? ありがとう!」

「お安い御用だ」



 チビ敬がスルスルと頭に登ってから「あっ!」と、何かを思い付いた。


「そうだ! ギンが結界を超えて思念通話ができると言っていたんた! 試してみよう」


 えっ?と振り返るみんなを余所に、思念通話で敬之丞(たかのじょう)に声をかけてみた。


『敬之丞! 聞こえるか? 俺だ、翔鬼だ』

『翔鬼様?···翔鬼様か? 戻ってきたのか? いや、さっき目が覚めたばかりのはずだぞ』


『ハハハ、チビ敬がいるから分かるんだな。  

 俺は進化して結界は関係なく思念通話ができるようになったんだ。

 とにかくお礼を言いたくて。 俺にチビ敬を付けてくれたおかげで命を救われた。 ありがとう』

『こちらこそ、お陰で妖気が増えて超土蜘蛛(ちょうつちぐも)になれたぞ!』


『なんだ? それは?』 

『会えばわかる』

『会うのが楽しみだな』

『おう! 楽しみにしておけよ』



 白鈴は思念通話をしている俺の話しが終わるのを待っていた。


「どういう事? 結界を超えて思念通話ができるって?」

「そういう事だ。 妖界にいる限りいつでも何処でも話しができるようになった。

 ただし、勾玉で繋がっている者だけだ。 だから与作とは無理かな?」


「勾玉ってそんな力もあるのね。 驚きだわ」

「という事で、そろそろ行こうか」

「石魂刀のある村に?」


 翔鬼はフフンと笑う。


「その前に、大の阪町に···」


 みんなは驚く。 なぜまたあの町へ行くのか。 


「また茨木童子が来るわよ」

「奴には聞きたいことがあるんだ」


()()()と会って大丈夫なの?」



()()···らしい」



 ◇◇◇◇◇◇◇◇




 翔鬼達は大の阪町に来た。 結界を超えてから町に入る前にこの辺りでと、翔鬼が止まった


「また茨木童子の方から来てもらおう」


 そう言って翔鬼は少し気を放つ。 白鈴と白狼、それと与作は飛び上がって驚いた。


「何をしたの? 凄い【気】を感じたけど」

「いや···前も茨木童子は俺の【気】を見つけて飛んできたから、分かるように【気】を少しだけ放ったんだけど···」


「多分この町にいる妖怪全員が飛び上がったわよ、貴方(あなた)の凄まじい【気】に」

「少しだけのつもりだったんだけどな···」


 その時、あの時の巨大な【気】が近付いてきた。 五人の鬼神もついてきている。



 目の前に茨木童子と鬼神達が降り立った。




「生きて···いたのか···」


 本気で驚いているようだ。


「この通り···」

「また殺されに来たのか?」

「聞きたいことがあって来た」



 茨木童子は驚いた。


 今は押さえていて分かりにくいが、先ほど感じたこの鬼神の【気】は以前の物とは桁が違った。


 何かの間違いなのではないのかと思いながらも、茨木童子は翔鬼に手を出すのを躊躇(ためら)う。



 その時、翔鬼の頭に視線が釘付けになった。


「お前···角が···」

()()()()···もうお前には負けない」


 茨木童子の顔が(ゆが)む。


小癪(こしゃく)なぁ!!」


 手に出した刀で翔鬼の胸を突いてきた。

 翔鬼は軽く横に避けて茨木童子が突いてきた腕を掴み、鳩尾(みぞおち)をズドン!と殴った。


 グエッ!! と呻いて茨木童子は(うずくま)る。



 それを見て飛び掛かってきそうになる鬼神達の前に白鈴と白狼が立ちはだかった。


「あなた達の相手は私達がするわ」


 そう言って、白鈴と白狼は【気】を放ってみせた。 さすがに以前より数段強くなっていて、鬼神相手なら簡単に勝てる程の妖気になっている。


 それを感じた5人の鬼神達は動く事が出来なかった。






「もうお前は俺には勝てない」


 翔鬼は翔斬刀を抜いて、茨木童子の喉元に突きつける。



「もしかして死淵進化(しえんしんか)···」


流石(さすが)によく知っているな」




 茨木童子は大きく溜め息をついた。


 そして(あきら)めたのか、デンと胡坐(あぐら)をかいてから「好きにしろ」と腕を組んだ。









茨木童子には聞きたいことが沢山ある!

( ̄ー ̄)b

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― 新着の感想 ―
[良い点] 「死淵進化」......カッコいい! 誤字無し!完璧です! [一言] ますます翔鬼から目が離せない! 楽しみです!
2020/06/24 19:25 退会済み
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