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第四十五話 消えた慶臥

突然思念通話で話しかけてくる者がいた!


 第四十五話 消えた慶臥




 山の稜線(りょうせん)からわずかに朝日が顔を出して朝の季節になり、動き出す時になった。


 初めの予定通り、江の坂町の近くまで戻ってから助けていく。 幽鬼を警戒したが、襲ってくる様子はなくて安心した。



 中の津村を出て石にされた者を探しながら江の坂町に向かう。 思ったより多いかもしれない。 中の津村に向かっていた時には気が付かなかったが、石と共に荷車も所々に置き去りにされていた。




 その時、思念通話で話しをしてくる者がいた。


『翔鬼殿! 阮奏(げんそう)です』

阮奏(げんそう)? どうしたんだ?』

『やっと通じた。 大変です! 慶臥(けいが)が消えました。 申し訳ありません!!』

「えっ?! 慶臥が消えたって?」


 思わず声を出したので、それを聞いて白鈴と白狼も驚いて振り返る。


「慶臥が消えたってどういうことなの?」


 翔鬼はちょっと待ってと、手を挙げて白鈴を制する。


『今はどの辺りですか?』

『江の坂町の少し北側の中の津村だ』

『えっ? まだそんなところ?』

『事情があってな。 それで、いなくなったのはいつ?』

『翔鬼殿が江の坂町を出てすぐ···』


 ますます怪しい。 先刻の幽鬼の群れも慶臥の差し金か?···


『···堂刹(どうせつ)かぬらりひょんと話せるか? 俺は暫く結界の外にいるから、どちらかを呼んできてくれ』

『承知しました』



「どういう事?!」

「俺達が江の坂町を出た時に慶臥もいなくなったそうだ。 堂刹かぬらりひょんと話しがしたいので結界の外まで連れてくるように頼んだ」


「どうせ江の坂町の近くまで行くつもりだったのだから、ぬらちゃん達に会いに行きましょう」

「そうか···そうだな。 その方が手っ取り早そうだ。 そういう事になったから、白狼、与作、行くぞ」

「おう」「はい!」




 直ぐに堂刹(どうせつ)から思念通話がきた。


『今から江の坂の町まで行く事にした。 堂刹(どうせつ)の家に行っていいか』

『もちろんだ』

『ぬらりひょんも呼んでおいてくれ。 もうすぐ着く』

『承知した』





 酒呑童子邸に行くと堂刹(どうせつ)とぬらりひょん、そして阮奏(げんそう)が待っていた。


 以前とは違い、こじんまりした部屋に通されたがそれでも20畳ほどはありそうだ。 真ん中に切り株のような大きくて背の低い円卓があり、堂刹とぬらりひょんが奥に座っている。



 翔鬼の顔を見るなり阮奏(げんそう)が走ってきて、翔鬼の前でひれ伏す。


「申し訳ありません! ほんの少し目を離した隙にいなくなってしまって···」

「気にするな」


 翔鬼の声に顔を上げた阮奏(げんそう)は翔鬼の四本目の角に目が留まる。


「あれ? 角が···」


 翔鬼は新しく生えた角をさすった。


「これも気にするな」


 しかし堂刹とぬらりひょんの所に行くと、また「角が···」と言われた。 翔鬼と白狼は堂刹の横に、白鈴はぬらりひょんの横の座布団に座る。


 そんな大したことじゃないのにと思いながら、白鈴がギンの気孔(きこう)を閉じて経絡(けいらく)を整えてくれた後に角が生えてきた話をした。


 二人共「ほう~~」と感心する。


「これはこれは、おめでとうございます」とぬらりひょんが頭を下げた。


「角が一本増えたくらいで···」

「ハハハハハ! 翔鬼殿は事の大きさに気付いていないようだな」


 堂刹が笑う。 いつも笑う時は豪快で気持ちがいい。


「大した事···なのか?」


 ぬらりひょんもニッコリと笑いながら大きく頷いた。


「はい。 分かりやすく説明させていただくと、小鬼の角は一本で、鬼の角は二本。 彼らの強さの違いは歴然でございます。 それはお分かりで?」

「うん···わかる」


 ぬらりひょんはふむと頷く。


「では、二本の鬼と三本の鬼神の差は?」

「束でかかってきた鬼達に俺が素手で勝ったくらいだからな」

「そうですのじゃ。 おそらく今の翔鬼殿は四天王に素手で勝てますでしょうて」

「そうなのか?」

 

 堂刹と白鈴も頷いている。


「へぇ~~~」


···また新常識···かな?···




「ところで慶臥がいなくなったらしいな」

「おう。 奴の手下どもに話しを聞いたが何も知るものはいなかった」


「やっぱりあれは慶臥の仕業だったのよ」


 プンプンと怒りながら白鈴は幽鬼の二度目の襲撃について話し、ギンのおかげで助かったのだが、そのせいで翔鬼が三日も眠っていた事を話した。


「遠慮するなと言っただろう! 余を呼べよ!」

「うん···呼ぼうと思った時に、ギンが出てきた」

「おかげで翔鬼殿が進化できたのかもしれないがな。 翔鬼殿が進化した事で余にも恩恵があった」


「もしかして堂刹達にも俺の【気】が流れたのか?」

「あれは翔鬼殿の【気】が流れたというより、以前、配気をしてくれた翔鬼殿の気が膨れ上がったというのが正しいかな」

「そうなのか···」



「しかし、【気】の使いすぎで3日も寝込むとは···それで西の国に行かずに未だにこんな近くにいたのだな」

「本当に慶臥にはむかつくわ! いい奴だと思ったのに!」


「まだ慶臥が犯人と決まったわけじゃないだろう? それに奴にあれだけの幽鬼を動かす事が出来るとは思わないし。 俺を襲って奴に言い事があるとも思えないし、それに町を出る事を慶臥は知らないはずだろ?」

「それは···もし慶臥が犯人だとしたら、俺のせいだと思う」

 

 白狼が申し訳なさそうに言う。


「あ···そういう手があったか···」

 

 慶臥は白狼の心を読んだのだろう。


「白狼も塞心術(そくしんじゅつ)を覚えた方がいいわね」

「「塞心術?」」


 翔鬼も一緒になって聞き返す。


「心を読まれないようにする術よ」

「そんなものがあるのか。 白鈴、白狼に教えてやってくれよ」

「分かったわ」




 三人の話しにキリが付いた時に、ぬらりひょんと堂刹は顔を見合わせて頷き合う。


「慶臥が事前に知っていたとしても、おそらく慶臥自身の考えではないじゃろう」

「糸を引くものがいるというのか?」

「ふむ·····翔鬼殿、お話ししておかなければならないことがあるのじゃが」

「なんだ?」



 翔鬼はぬらりひょんに向かって座り直し、ぬらりひょんはお茶を一口すすってから話しだした。



「遠い遠い昔の事じゃ。 突如巨大な妖気を持つ者がこの妖界に生まれたのじゃ。 この世界の妖怪全てが震えあがるほどの妖気の持ち主じゃった」


 ぬらりひょんは目の前に置かれているお茶をもう一口すすった。


 [日本昔○○し]か···と思いながら黙って聞いた



「妖気が大きすぎて調べるために近づくのもままならかった時、突如その妖気が消えたのじゃ」

「消えた?」

「後で分かったのじゃが、その巨大な妖気を持つ者は人間界に行ってしもうたのじゃと分かった」

「それは大変じゃないか!! 今は?!」


「ヒョッヒョッヒョッ。 遠い昔の話と言ったじゃろう。心配はござらん」

「そ···そうだよな」

「話しを続けますぞ。 人間界に行ってしまって安心していたのじゃが、再びその妖気が現われたのじゃ。 以前に比べてかなり妖気が小さく、どうやら瀕死の状態ではないかと思われた。 そしてそのうちその妖気が再び消えてしまったのじゃ。 わしらはてっきり奴が死んだと思うた。 何度か調べに行かせたのじゃが死体も妖気もみつからなかったので、てっきり消滅したと思っておったのじゃ」



 ぬらりひょんは再びお茶をすすった。








巨大な妖気の持ち主?!

( ̄□ ̄;)!!

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