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第四十三話 二度目の襲撃

中の津村を出るなり、幽鬼の群れに襲われた!!


 第四十三話 二度目の襲撃



一旦(いったん)、江の坂まで戻ってから、こっちに向かって石になった者を順に助けて、護衛しながら中の津村まで戻るといいんじゃないか?」

「そうね。 そうしましょう」



 江の坂に向かって飛び始めるなり、空気が冷たくなってきた。 幽鬼だ。


「任せろ。 私が······何だ?!」


 白狼は飛び出そうとした途端、固まって見上げる。 みんなも釣られて見上げるなり、固まった。


 富士山での襲撃の時と同じくらいの無数の幽鬼が、真っ直ぐこちらに向かってきているのだ。 それもあの時のように刀を持っている。



「どういう事よ?!」

「また幽鬼の大群だ! 中の津村に居たことが分かっていたのか?!」

「しししし翔鬼様ぁ~~っ!! どどどどうしましょう?!」


 与作は翔鬼の腕にしがみ付いて震えている。


「与作は中の津村に戻っていろ」

「はい! 御武運を!」


 そう言うと与作は急いで飛んでいった。



「私達は逃げる事も隠れる事もできないから、覚悟を決めましょうか」

「よし! 翔斬刀、頼むぞ」

『承知、左手にも刀を出してください』

「わかった」


 右手に翔斬刀(しょうざんとう)を持ち、左手に刀を出した。 見ると白鈴も両手に長めの刀を持っている。


『俺も長刀にするか?』

『いいえ、大丈夫です』


···慣れない長刀よりいつもの刀の方が動きやすいか···



 堂刹に言われていた体に沿って防御結界を張る練習をするのを忘れていた。 一度張ってみたが結界が邪魔で上手く刀を振れない。



···今は諦めよう···





「来るわよ!」

「「おう!!」」


 最初の一団が攻撃してきた。 三人はつかず離れず応戦する。 

 相かわらず幽鬼は弱い。 しかし四方から躊躇(ためら)いもせずに刀を振り回してくるので一瞬も気を抜けない。


 夜でも鬼神の目は良く見えるのだが、それでも黒いフードを着た幽鬼は分かりにくい。


 翔鬼は目に【気】を入れると、はっきりと見えるようになった。 どうやら翔斬刀も翔鬼の目から見ているのか、見やすくなった事で明らかに動きが良くなった。


 相かわらず幽鬼は翔鬼の顔を覗きに来るので、一瞬の隙ができる。 そのため多少の余裕があるのだが、白鈴と白狼は片時も止まることなく舞うように戦い続ける。 なるべく二人を助けるように翔斬刀は動いてくれていた。




 その時、与作が悲痛な声で思念通話をしてきた。

『翔鬼様!! 幽鬼が二人、村に入ってきました!! 清大殿が石にされてしまって!! 助けて下さい!!』


『白鈴、白狼、大変だ! 村に幽鬼が二体入り込んだ!』

『私が行く!』


 頼む! と言った時には既に白狼は黒い軌跡を残しながら猛スピードで洞窟に向かって飛んで行っていた。




 翔鬼と白鈴は背中合わせで一呼吸取っていた。 白狼はナイスなタイミングで幽鬼の群れから抜け出す事ができたようだ。 白狼に逃げられた幽鬼達は目標を翔鬼に変え、周りで一斉に襲い掛かろうと珍しく動きを止めて構えている。


『大丈夫か?』

『今のところ』

『もうひと踏ん張りしようか』

『そうね』


 ふぅ~と、二人共大きく息を吐いて幽鬼の群れに突っ込んでいった。




 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇



 

 白狼は一気に洞窟を抜けた。


「どこだ!!」


 幽鬼の黒い雲が無いので分からない。 建物も妖怪も少なく、広大な農地が広がっていて、大きな木も所々に生えているので端まで見渡せない。 幽鬼一体だけを見つけるのは困難だった。


 その時、後ろから与作が飛んできた。


「白狼様、あっちです!!」


 与作が指さす方に一体いた!

 白狼は急いで飛んでいき、難なく仕留める。


「もう一体は?!」


 キョロキョロと見回していると「あっちに行きました!!」と、小鬼が指さす。

 向かうと、小屋の向こう側から幽鬼が出てきた。 白狼を見て向かってくるのでこれも難なく仕留めることが出来た。



 急いで与作の所まで戻る。


「石になった者以外でケガをした者はいないか?」

「多分いないと思います」

「石にされた者の場所を確認しておいてくれ! 後で翔鬼が戻してくれる、頼んだ!」


 そう言うと、与作の返事も聞かずに結界の外に向かって飛んでいった。



 ◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇ 



 白狼が抜けた穴は思った以上に大きかった。 絶え間なく襲ってくる。 白鈴に気を使っている暇もなくなった。 さすがに大きいケガはないが細かい傷が増えていく。


 その時、足に痛みが走った。


「うっ!」


 戦いに集中しすぎて高く飛び上がり、下から攻撃を受けたのだ。


『あっ! 翔鬼様! 申し訳ありません!!』

『大丈夫だ、集中しろ!』

『はい!』


 なかなかマズい事になってきた。 凄い数の幽鬼はなかなか減らない。 白鈴もかなりきつそうだ。



···そうだ! 清宗坊(せいしゅうぼう)堂刹(どうせつ)を呼ぼう···ぬらりひょんも呼んだ方がいいかな?···


 そんな事を迷っている時『僕が戦っていい?』と聞こえた。 



 ギンだ。



『お前武器はあるのか?』

『そんなのいらないよ! 出るよ』


 翔鬼の体から金色に輝く気龍が現われ、周りを飛び回ると、ギンに触れただけで幽鬼が消滅していく。



···()()()の時と同じだ···



 直ぐに白鈴の周りの幽鬼も消滅させると今度は大きく渦を巻き始め、竜巻となって幽鬼に向かって行く。 幽鬼達も吸いこまれるようにギンに寄っていくとそのまま消滅していくのだった。



 翔鬼と白鈴は地面に降りて空高くで幽鬼を消滅していくギンを見上げていた。


「わぁ···もっと早くギンに出てきてもらえばよかった」

「本当ね」


 その時、白狼が戻ってきた。


「村の中の幽鬼は倒した。 何人かが石にされたので後で頼む」

「わかった」


 そう話している間に、白癒羽(はくゆう)が翔鬼達のキズの治療をしてくれた。






 ようやくギンの動きが止まり、辺りをキョロキョロしている。 倒し残しがないか確認しているのだろう。


 その時、突然翔鬼が目眩(めまい)を起こしてふらついた。


「翔鬼?! 大丈夫か?」

「う···うん。 問題ない」


 どうしたのだろうと思いつつ、あれだけの幽鬼をあっという間に倒したギンが誇らしくて、後で()めてやろうと思う。



 幽鬼を倒し終えた事を確認したギンが戻ってきたが「ゴメン! 張り切りすぎた!」そう言うなり翔鬼の体の中に戻った。




···褒めてあげるのは後でいいか···




 先ずは今、石にされた者たちを救出しなければ。

 中の津村に戻ると、与作が石にされた者の場所に案内してくれる。



 先ずは清大を戻すと、いつの間にか集まってきている村の者達が「「「おぉぉぉぉ···」」」と、一斉に声を上げて感激する。



 次々と元に戻して、結局18人が石にされていた。


 助けられた18人がズラリと並び、代表で清大が御礼を言う。


「翔鬼様、この度は本当にありがとうござ···い······翔鬼様?···翔鬼様?!」

「「翔鬼ぃ!!」」





 突然、翔鬼が気を失って倒れたのだ。








翔鬼が気絶した?!

どうしたのでしょう?

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