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5.thunder storm.―22
浩二は溜息を吐き出す。歩きながら、ギデオンの事を思い出した。
そして、思ったままを呟く。
「でもまぁ、アイツ『弱い』からな……。見つけてさえしまえばこっちの勝ちなんだが」
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龍二達は帰宅したのだが、玄関が見える位置にて、進めなくなった。大雨の中、だが、はっきりと見えた。玄関先に立つ影と、その顔。
その顔に、龍二は見覚えがあった。いつぞや、『自分を襲ってきた顔』だった。あれだけの事での記憶。間違いようがない。
「お前、……実在したのか……」
玄関までの距離は五メートル程だが、その龍二の声に、玄関先の屋根の下で雨宿りをする、燕尾服姿のその男は、振り返り、龍二を確認して、答えた。
「そうです。カメレオンの件は聞いてます。その時、私が出てこれなかった理由も含めて、お話をしにきました。龍二様」
そう言って、一礼したのは、あの時、カメレオンが龍二に近づくために変装していたその姿。エッツァ、だった。




