表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/29

3章 1話







『実は、専務が・・・・・』


「亨だ」


『亨さんが立て替えてくださった彼の借金、一部は義妹の舞のものなんです』


「・・・・・・は?」


『彼、バカなんですよ。田舎を出るときに舞に世話になったらしくて・・・・・引き受けちゃってたんです・・・・保証人』


「それで払えなくて?」


『そうゆうことになりますか・・・・』


「・・・・・いくらあったんだ?」


『ん~・・・・・300くらいですか』


「その明細はとってあるのか?」


『当たり前じゃないですか。最初の頃に支払ってたものなんで、司法も入ってませんでしたから。支払い明細もとってありますよ』


「そうか。じゃあ、あちらに出向く時には必ず持ってきてくれ。忘れるなよ?」


『ああ、はい・・・・わかりました・・・・・。っていうか、何であたしが言いなりにならないといけないんです?』


「俺の未来もかかってるからな」


『意味分かりませんけど』


何か思惑がありそうな専務の顔を見つめる。


「何だ?」


『いえ、何を考えてるのかなって思いまして』


「巧君を君が引き取るのに、有利な策を練ってるのさ」


『・・・・なんか腹黒く見えますけど』


「腹黒・・・・・・失礼なやつだな、君は」


でも確かに、彼に任せたほうが有利に進むのかもしれない。


義姉はよくしてくれはしたんだろうが、それでも居場所がないと感じていたんだろう。


匠の希望を叶えてやるには、そうするのが一番だと思った。




数日後、匠を伴って新幹線に乗った。


もちろん、亨さんも一緒だ。


ここ数日で、ふたりは意気投合していた。


着替えを買いに出かけたり、食事をしたりだけでなく、一緒にゲームをしたりDVDを見たりもしていたからだろうか。


仕事に出ている間は、彼が頼んでくれた人がいたおかげで安心して勤務できた。


残業もせずに済んだし、今後も匠が一緒に暮らすならばあまりしなくてすむようになるだろう。


あとは・・・・・・義姉妹との対決だけだった。



新幹線から在来線に乗り換えたのは、東京を出てから何時間後だったろうか。


だんだんと緊張が高まっていく。


「お母さん、大丈夫?」


心配そうに覗き込んでくる匠に安心してもらうためにも、あたしは笑顔を見せた。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ