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33 生い立ち

 人払いを頼んだミレーヌによって、応接室には戦っていた時と同じようにミレーヌ、アルフォンス、レンブランド、シャルド、クリス、ラインハッシュの6人だけになっていた。ラインハッシュは動けないよう拘束されている。


「話したいこととはなんですか。早めに済ませて頂かないと困りますが」

 シャルドが淡々と告げると、ミレーヌはすうっと深呼吸する。胸の前で握りしめた両手は少し震えている。


「私はハイエンド伯爵家の令嬢です。ですが、実際は違うのです」

 ミレーヌの言葉に、アルフォンスとレンブランド、ラインハッシュにシャルドは疑問の表情をする。が、クリスだけは驚愕した顔をしていた。


「ミレーヌ、まさか……」

「はい、お兄様。私はずっと前から知っていました。私は現国王の子供です。母は第二王妃でしたが元々体が弱く、私を産んですぐ亡くなりました。第一王妃は母のことを快く思っていなかったそうで、私のことを引き取るつもりはなかったそうです。不憫に思った実父、現国王が私をハイエンド伯爵の元へ養子に出したそうです」


 伯爵家に王家の娘が養子に出されるなど異例のことであったが、ハイエンド家は代々王家に仕えた家柄でハイエンド伯爵自体、国王からの信頼が厚かった。そしてハイエンド家には長い間子供がおらずこの養子縁組を大変喜んだそうだ。

 だが、そのハイエンド伯爵の妻もまた、ミレーヌが幼少の頃に不慮の事故で亡くなってしまう。

「お父様は愛する奥様を亡くして大変悲しんだそうです。ですが私という存在がいたことで、前向きに生きて行くことができたとおっしゃっていました」


 独り身となったハイエンド伯爵家に縁談が持ち込まれたのはミレーヌが14歳の時。その相手はクリスの母であり、第一王妃の親戚にあたる家柄の御令嬢だったそうだ。

「私の顔を見るたびに、お継母様は嫌そうな顔をなさいます。それは、私の顔が第二王妃に似ているからだそうです」


 貴族同士の結婚、つまりこの結婚は政略的な結婚だったそうだ。

 ハイエンド家には男の子供がいない。クリスの母と結婚することでクリスを後継にすることができる。そして、クリスの母は未亡人だったため伯爵家に嫁ぐことを勧められたという。

「お父さま、つまりハイエンド伯爵は家を残すためだからと諦めていらっしゃいました。お継母様があまりにも私を毛嫌いするので、せめて私が安心して暮らせるようにと辺境の地にある屋敷へ住まわせてくれたんです」


 ミレーヌの話に、アルフォンスとレンブランド、シャルドは唖然とする。クリスは苦々しい顔をしており、ラインハッシュだけが気に食わないと言わんばかりの顔をしていた。


「ご自分の生い立ちを話して、私の気持ちがわかるとでも言いたいのですか?はっ、笑わせる!あなたと私とでは状況が違いますよ。お互いにそれぞれの国の国王の子供かもしれない。ですが違いすぎますね。あなたは第二王妃の子供だが私は妾の子供だ。それにあなたはなんだかんだ言って愛されているではありませんか。国王にも、育ての親にも、血の繋がらない兄にも。私にはないものをたくさん持っている」


 ラインハッシュが吐き捨てると、レンブランドは悲しそうな顔をしてラインハッシュを見つめた。


「確かに、私は恵まれています。多くの人から愛を受け取っています。勿体無いくらい。……ラインハッシュ様は私が持っているものを持っていないとおっしゃっていますが、果たして本当にそうなのでしょうか」

 




お読みいただきありがとうございます。

貴族設定は適当な所が多々あります。あくまでのこの世界での貴族設定となりますので、ご了承ください。

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