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助けて……

「う……あ……」

「なによあんた達!」


 ユリが私を庇い不良達の前に立ちはだかる。


 私は不良という人種が苦手だ……なぜかこういう人達を前にすると、体が震えて動かなくなってしまう。


 だから、なるべく関わらないように避けてきていたのに、マー君に夢中になりすぎて気づかなかった……。


「いや俺たち、ちょーっと息抜きに来ただけなのよ」

「そしたら可愛い女の子がいるから声かけたの」

「いいじゃん、ちょっと俺たちと遊ぼうぜ?」


 三人共ニヤついた笑顔でこちらににじり寄ってくる。


「あ……あぁ……」


「みっちゃん!? どうしたの!? 立って逃げよう!?」


 ユリの声が虚しく耳を通り過ぎていく。


 聞こえているのに、聴いていない……いや、聞けないのだ……。


 いや……やだ……怖い。


 逃げたいのに体が硬直し、足が動かない……。


 昔からいつもこうだ……イジメられていた過去のトラウマが私を縛り上げる。


 弱くてはいけない、自分の殻を破いて変わらなきゃいけない!!


 ずっとそう思いながら自分なりに変わろうと努力してきた。


 変えてきたつもりだった……。


 でも、目の前のセリフ臭い喋り方をするモブっぽい不良達でさえ足がすくんで動けなくなってしまうのだ……。


 くやしい、情けない、無駄だった努力……。


 そして……怖い……。


 私は何一つ変わっていない、チビでメガネでぽっちゃりでオカッパ頭のあの頃の私から……。


「みっちゃん! しっかりして!?」


「いや、やだ……」


 私は、震える体を抱きしめて心の中で、一言叫んだ。


 助けてマー君!!!!















「お前らなんばしよっとか!!」


「「「「「!?」」」」」


 甲高いソプラノボイスが武道館裏に反響しながら響いた!


 一瞬女性かとも思うその声は、九州訛りだけど男らしくカッコいい、私が一番大好きな声だった。


「マー君!?」

「マコト君!!」


 そこにはさっきまで視姦……柔道の練習姿を見守っていた、可愛らしい柔道服姿のマー君が立っていた!


「んだぁ!? このチビ!! あっち行ってろ!!」

「お子様が来るとこじゃねーから」

「ママ探してんだったらこっちにゃいねーぞ! ギャハハ!」


 不良達がマー君を見てゲラゲラと笑いだす。完全に高校生と思ってないようだ。


「わ、私!! 先生呼んでくる!!」

「ユリッ!?」


 不良がマー君に気を取られている一瞬の隙を突き、ユリが不良の脇を抜けて走り出した!


「あっ!? くそ!! 捕まえろ!」

「オラァ!! 待ちやがれ!!」


 少し遅れてユリを追い、不良の二人も走って武道館の表に行ってしまった。


 そして、この場に残ったのは、私とマー君と一番背の高い不良だった。


「ッチ……このクソガキが」


「女ば怖がらせるような男がイキんな……」


 睨み合う両者……だけどその身長差は軽く50cmはある。見た目は完全に大人と子供だ。


 敵うわけない……体格が違いすぎる……。


「嫌……マー君、逃げてぇ」


 怯える私はなんとか、かすれるような声を絞り出した。


「大丈夫よ、みなっぴ」


 マー君はチラッとこちらを見て、ニカッと笑顔を見せる。


 トクン。


 マー君の笑顔を見た瞬間、胸が自然に跳ねた。


 なんだろう、前にもこんな事があったような……デジャヴ?


「おうおう、ガキが舐めてんじゃねぇ……ぞ!!」

「グフッ!?」

「!?」


 不良の前蹴りがマー君のお腹を直撃し、後ろに吹き飛ばされる!


「マー君!!」


 なんで体動かないのよ!! マー君が……マー君が殺されちゃう……。


 必死に体を動かそうとしても、プルプルと体が震えて動かない。


「ッチ! ここじゃ邪魔が入るな……おい、ちょっと別の場所行こうぜ?」


 不良が振り返り、私に手を伸ばしてくる。


「嫌、やだぁ……やめて……」


 情けない、こんな状況にもなってマー君を助ける事も、逃げる事も出来ないなんて……。


 不良がニヤつきながら、怯えるわたしの腕を掴もうとしたその時。


「大丈夫、オイはこがん日の為に……強くなろうって決めたったい!!」


 不良が私を見ている隙を突き、マー君が不良の背後から腰のあたりを捕まえるようにクラッチした!


「グッ!! チビが!!」


「小さかけんってなんや!! 女ば守れんで……なんが漢じゃ!!」


 不良は振り解こうと体を振るも、マー君もガッチリと腰をクラッチして離さない!!


「黙れ!! このボケが!!」

「くっ!!」


 不良がしがみついているマー君を、乱暴に上から殴り始めた!


「イヤァ!! やめて!!」


 あんなの大人が子供に思いっきり拳骨くらわせてるのと変わらない!


 ゴスッ!! ゴスッ!! っと鈍い音がマー君が殴られる度に響いてくる!


 マー君が! マー君が!! 死んじゃう!!


 大好きなマー君が!! かわいいマー君が!! ショタ属性ガチ萌えラブの象徴のマー君がボコボコにされてしまう!!


 私はなんで何もできないの!? 動け!! 動きなさいよ!! ショタ好きならばここで動かずしてどうするのよ!!


 私は震える顔にビンタをかまし、意を決してマー君を助ける為に飛び込もうとした時!


「大丈夫さ、みなっぴ……キンタマの小さか、こがんとには……絶対負けん!!」


 マー君が私の目を見ながら叫んだ。


 その目は不良に対して、全くひるむ事なく、男らしく、鋭く、たくましい。


 ショタの見た目だけど、間違いなく『漢』の目だった。


「チビがイキってんじゃねぇ!! 死ね!!」


 マー君の頭に肘撃ちをくらわせる為に不良が大きく腕を振り上げた!!


 次の瞬間!!


「う……うぁぁぁぁああああああ!!!!」

「っうげ!?」


 不良が腕を振り上げた反動と共に、マー君がその小さい体をフルに使い爪先立ちで不良の体を持ち上げる!!


 その勢いのまま不良を後方へと反り投げる……これは!


 ジャーマンスープレックス!!!!


「ぐっはっぁあ!!」


 マー君のジャーマンが決まり、叩きつけられた衝撃で不良の肺の中の空気が悲鳴と同時に投げ出される!!


 不良は少しのたうち回ったあと、白目を剥きそのまま動かなくなってしまった。


ショタ好きの方おはようございます、私です。


なんか色々と反響があり少し戸惑ってます。


恋愛ジャンルに初挑戦でこんな色物作品なんだけど、日課ランキングにしぶとく残り続けているだと……!?


馬鹿な!!ここはいちゃラブやじれじれ甘々な恋とかを堪能するカテゴリではないのか!?


こんなショタ属性ガチ萌えラブな作品が居座っていいの!?


それとも裏の勢力の何かが働いて、晒し者扱いにされてる!?


何はともあれ、ランキングに入っている事は素直に嬉しいとです。ありがとうございます!


こんな物語でよろしければ下の星をポチっとしていただけたり、感想と言う名の誹謗中傷などもお待ちしております。


(*´꒳`*)よろしくお願いしまーす!

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[良い点] 面白いっ! 熱いっ! けど、そこでジャーマンかいっ!?w てっきり裏投げとか釣り込み腰とかくるかと思ったのに、……やられました。
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