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異世界版でデスゲーム  作者: 妄想日記
第一章 幼児編
24/83

第20話 八才 魔法なんてなかった

 ある日ステータスカードを見てみると、ようやく魔法が使えるくらいにまで成長していることに気が付いた。


名前 ヴァレリア・ヴォルドシュミット

種族 ダークエルフ

性別 女

職業 養殖プリンセスLv1

 筋力 5

 体力 3

 器用 4

 敏捷 5

 魔力 4

 精神 5

 魅力 3

スキル

 大鎌Lv24

 ガードインパクトLv21

 受け流しLv26

 ブリングLv23

 ターンステップLv21

 ダッシュLv15

 索敵Lv27

 罠察知Lv20

 追跡Lv24

 ステルスLvLv26

 元素魔法Lv1

 回復魔法Lv1

 補助魔法Lv1

 性奥義Lv37

 Ex戦神化

 Csかりちゅま


 魔力のステータスが4。つまり『養殖』称号を外せば魔力は七~八ということになる。

 これだけあれば最初の元素魔法である『ファイアーアロー』を使うことができるはずだ。

 さっそく称号を外して武器を構え、的|(案山子)に向かって魔法を使ってみる。


「『ファイアーアロー!』」


 すると体内の魔力が練り上げられ、目の前で炎となって顕現し、的に向かって真っ直ぐに飛んでいった。


 ボウッ。

 的に当たると小さな音を立てて消えていく。

 ち、ちっちぇーーーー!!!


「『ファイアーアロー!』『ファイアーアロー!』『ファイアーアロー!』『ファイアーアロー!』『ファイアーアロー!』『ファイアーアロー!』『ファイアーアロー!』」


 何度も呪文を唱えるが、三回目から魔法が発動しなくなった。

 どうやらMPが切れたみたいだ。

 つ、使えん……。

 しかも身体がだるい……。

 MPが低いのって魔力が低い所為もあるけど、Lv1なのが問題なんだよな。


「なぁリーゼ。お前これでどうやってスキルレベル上げてるんだ?」

「知っているでしょう?MPポーションガブ飲みです」

「それならちょっとレベル上げたほうが早くないか?」

「レベルが上がるならそうしています」


 そうだ。出来ないんだった……。

 この世界のキャラクターのレベルとはその存在力を示しているらしい。

 レベルを上げる方法は主に二通り。それはヴァルキリーヘイムの世界と同じである。

 一つ目は他者を殺める事により自らの存在力を高める方法。

 もう一つが技術……スキルの研鑽を重ねることで経験値を獲得し、自らの存在力を高める方法。

 当然前者の方がレベルは上がりやすいため、必然的に生産職よりも戦闘職の方がレベルは高くなる。

 しかしこの世界には一つだけ例外があった。

 それは子供の存在である。

 子供は産まれた時点で神の祝福を受け、存在力が封じられた状態で産まれてくる。

 その状態では存在力がゼロとなる。

 存在力がゼロである子供を殺めたとしてもレベルが上がることがない。

 それはモンスターも同じであった。

 つまりこの世界では子供を殺める意味がないのだ。これは子供を守る神の加護であるとも言える。

 しかしそれには当然弊害もあった。

 存在力が封じられているということは、いくらモンスターを狩ったとしてもレベルが上がらないのだ。

 この祝福だか加護だか呪いだかはこの世界で生を受けたもの全てに適用される。

 だからシノブとニーフェには適用されていないが、ヴァレリアとリーゼロッテにはばっちり適用されている。

 この祝福は人型生物が生を受けて12年目まで適用されるため、12歳になるまでレベル1で過ごさなければならないのだ。

 つまりいくら強くてもその歳までレベル上げができない。

 尤もスキルやらモンスターハントやらは子供がそう簡単に出来るものではないので、普通は全く気にならないらしいのだが、ボクたちはこの呪いの所為で余計な遠回りをさせられてることとなった。

 魔法を三回毎にポーションか……お腹がタプタプになりそうだ。

 よし、魔法の特訓は諦めよう!

 無理に今から訓練しなくとも、12歳になってレベルを上げてからでも遅くはないだろう。

 それからは魔法訓練だけすればいいように今は兵科訓練に集中しよう。

 『養殖』称号を付け直すと、ボクは先生の方へと向き直って武器を構えた。


「というわけで、魔法は一度放置することにします!」

「……どういうわけか分からないがいいだろう。鍛え抜いてやる」

「え、それはちょっと……」

「りあねえしゃま!がんばって!」


 母さんと一緒に訓練を見に来ていたシャルから声があがる。

 か、可愛い!ああ、シャル可愛いよシャル。


「シフ先生、知っていますか?」

「一応聞いてやろう……何をだ?」

「シャルの応援は『タイタンパワー』よりも効果が抜群だということを!」


 思いっきり反動を付けるとボクは先生に向かってサイズを振り下ろした。

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