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69 女子会前半戦

 ついに女子会の当日。昼の部は学園の外のコメダ珈琲で開催することとなった。


 ラタ一年生女子は私たちしか居ないので、スズカがいなかったしばらく、話せないでいた話が沢山あったのだ。


 例えばナズナなら……。


「おたくのユウリくん、ほんとスケベなんだけど!!」

「姫野と牧野いっつもナズナの風呂上がりスキンケアタイムをちらちら見てるよ」

「あのバカは病気なのよ……ごめんなさいね」

「部屋でスキンケアすれば良いのでは?」


 最後に呟かれたイオリの的確かつ真っ当なアドバイスに、私とナズナは固まる。


「で、でもでもイオリも談話室でストレッチとかケアしてるよね?」


「わたしは見られたら嬉しいからね。だってそれだけわたしが素敵ってことだもの」


 価値観の相違ッ!!!!!!


 前からイオリは自分のことや身体が大好きって言ってたけど、ここまでポジティブの鬼だとは! ポジティブオバケこわい!


「前向き解釈すぎたね……。今度からは部屋でや──」

「イオリちゃん……かっこいい……」


「えっ?」

「えっ?」


 私とスズカは同時に動揺の声を出し、キラキラと憧れの目でイオリを見つめるナズナを見た。


「そうだよね……! あたしが可愛いから悪いんだ! なんて罪な子なのあたし!」


 違うよナズナ? スケベな目で見てくるアホ男子が十割悪いよ?? その子はポジティブオバケなだけだから!


 しかしもうダメで、ナズナ超特急は止まらない。

 あたしも談話室でスキンケア続けるー! 見せつけてやるもんね! と謎の宣言をした。

 私とスズカは目を合わせ頷き「私らは部屋でやろう……」と声に出さず意思疎通をした。


 ポジティブオバケはポジティブバカに多大なる影響を及ぼすことを学ぶ私。


         ***


「イギリスってどんな国なの?」


 私がスズカの留学先について聞くと、写真の五倍デカいシロノワールをもぐもぐしながら彼女は答えた。


「格式高い国って聞いたわ。日本と同じ島国らしくて、歴史もある国らしいの」

「へー! カクシキかぁ〜。よくわかんないけどすごそうだね!」


 ナズナはこういうところが可愛い。私はほっぺたのクリームを拭ってあげる。


「エクスカリバーと言えば今の所有者ってヴァチカン直轄の魔剣師じゃなかった?」

「よく知ってるわね? そう。ロングソードの正統剣術継承者。名前から年齢まで何もかもが秘匿されている魔剣師。その人から学べればいいのだけれど」


 そこでナズナが手を挙げる。


「はいはい! 質問質問! 剣聖パラディンとその人はどっちが強いの?」


 スズカは質問の意味が分からなくて眉を八の字に曲げた。私はナズナにその答えを教える。


「騎士協会って、対来訪者(リーク)組織ヴァチカンの日本支部なの。で、剣聖パラディンっていうのはその全ての頂点。だから、剣聖パラディンはヴァチカンでいちばん強い魔剣師ってわけ」


「なるほど〜! って、ええ!? シオンはそれになるの!?」


 コクリと頷く。


「そっかぁ〜。そんなすごいものになろうとしてたんだね」


「だからエクスカリバーを持っていたとしても、剣聖パラディンよりは弱い」


「そうね。でも、当代の所有者は歴代最年少の天才らしいわよ。それに、円卓騎士シージ剣聖パラディン候補者も増えてるみたいだし」


「そっか。剣聖パラディンが空座だとなんとも言えないね──」


 ──SMASH!


 そこでシロノワールをペロリと食べきってみそカツサンドまで平らげたイオリがドンと手を付き立ち上がる。


「女子会なのにほとんど魔剣の話ッ!!!」


 あっ。


 ほか三人は苦笑いを浮かべる。


「魔剣師の卵とはいえ今はお休みだよ!? 頭まで魔剣になっちゃったの!? もうもう! わたしもっとコスメの話とか恋バナとかしたーーーーーいっ!!!!」


 そう言い切ったイオリがはぁはぁと肩を揺らす中、私とスズカは顔と耳を赤くしていた。


「コ、コスメの話ね、しようね! イエベブルベプチプラ……」

「そ、そそそそそうね……」


 イオリがシラーっとこちらを見つめる。


「恋バナ避けてるでしょ」


「ぎくぎくっ」

「ギクリッ!」


「え? そうだったの!? ふたりの恋バナ聞きたーい!!!!」


 アホナズナ!


「だ、だってまだお昼だし……」

「そうよ、恥ずかしいわ」


 その言葉を聞いたイオリはムフーっと鼻を鳴らす。


 財布から万札をバァンと出した彼女は「寮に戻るよ! わたしとシオンの部屋に集合ね! パジャマね!」と念押しをして。準備すると言って彼女は駆け出した。


「これは逃げられそうにはないわね……」

「思えば私、女子会とかしたこと無かったから何話せばいいのか知らなかったわ……」

「でも、せっかくだし恋バナしよーよ! 話したら楽になるかもよっ」

「それ尋問の言い方なんだよなぁ」


 かくして夜の部は私とイオリの部屋で開催と相成った。


 恋バナかぁ。


 なにそれ……めちゃくちゃ青春じゃんっ。ドキドキしてきた……。言っちゃっても良いのかな。引かれないかな。


 でも、みんなならきっと、大丈夫。そんな気がした。


 剣で切りあった仲だ。恋バナの一つや二つ一体何を恐れるというのか。


 さ、次の戦場へ行こう!

「ちょっと面白そう」と思っていただけましたら……!


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[一言] コイバナはある意味関ヶ原よな(;゜Д゜)
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