表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/372

Chat.07 Open chat

【Open Chat Room 12】


204:null

 浅倉ってあんなに攻撃的だっけ


205:null

 あの子の試合っていつも受けでカウンターでドカンか隠し球でドカンなイメージあるから、あんままともに戦ってるとこ見た事ねーな


206:null

 耐久が得意とかって聞いたわ


207:null

 それがまたなんであんな火力勝負を

 藤原って反射持ちだろ?


208:null

 それもかなり高い練度の反射ね

 入試、不倒門に触れただけでぶっ壊したって噂あるよ


209:null

 リヴァイアサンらしくて好き


210:null

 みんなどっち推してます?


211:null

 あんま強い奴は応援したくねーなー

 だから浅倉……と思ったけど、あれは流石に考え無しも良いとこじゃね?


212:null

 大火力はあの反射量で分かるな。吹き飛んでるのが上空だからいいが、方向が横ならとっくに終わってる


213:null

 めっちゃ打ち上がってんな。あれを耐えてる手首とかすげーわ


214:null

 あれ?

 そういえば理解屋いなくね?

 珍し


215:null

 そらルーム12になんておらんやろ


216:null

 や

 理解屋は基本的に複窓だからどこにでもいる


217:null

 怖いでやんす


218:null

 それにこんな大事な一局、見逃すわけないんだけどなぁ


219:null

 急用かトイレでしょ


220:null

 あね


221:null

 試合始まって一時間半か

 これが持久戦なのか読み合いなのかもわかんないな


222:null

 でもよく考えたら、今まであの火力の反射食らって場外に吹き飛んでない時点で、それは策なのでは?


223:null

 まあ、そうか

 でも火力対反射ってミスマッチ過ぎるよな

 重力の任意操作ならとは思ったけど、それを使う様子もないし


224:null

 え、あれ魔剣だけに付与されるタイプでしょ?


225:null

 あ、そーなの?

 だとしたらやっぱ、火力しか武器はねーのかぁ


         ***


 八神ライザはそのルームの会話を単純思考だなと切り捨ててスマホを閉じた。


「ねー、先生はどう思う?」


 屋上からふたりでフィールドを見下ろす。眼帯教官は紫煙を吐いて呟く。


終わりのない衝動アンストッパブル・インパルスが鍵になる。だがそれを引き出すのが誰か、或いは何なのかは分からない」

「先生はあれがどんな能力か見当ついてるってかんじ?」

「ああ、当たりはついている。浅倉がそれを自認しない限りは空論に過ぎないがな」


 ライザは「衝動」が浅倉シオン本体由来の能力であり、重力操作「Gravity」とは別のものであるという仮説は既に立てていた。

 だが、浅倉シオンが不刃流アンワイズとGravityを使うにあたって、「衝動」がそれらにどのような影響をもたらしているのかは皆目見当がついていなかった。


「教えてよ」

「お前にはたぶん、一生かかっても分からないものだよ、それは」

「なにそれ。なんかヤダな」

「お前は何でも完璧を求めすぎる」

「その何がいけないんすかー」


 煙草くさいっとライザが文句を言うと眼帯教官はそれを携帯灰皿にしまった。


「あ、わたしがそれを引き出す係になりたい」

「お前じゃ無理だな」

「なんでさー!! 剣聖パラディンに最も近い女だよ?」

「……相性の問題だな」

「相性?」


 自分より先の思考を持つ眼帯の男を八神ライザは嫌っていた。それでも、婉曲な言い回しで先生らしく導くところは好きだった。

 まるで自分が子どものように扱われているみたいで、新鮮なのだ。


「繰り返すが、お前は何でも完璧を目指すだろ。ひとつの曇りもない無菌室で作られたダイヤモンドみたいな」

「変なたとえだねー」

「その点浅倉は違う。あれは弱さを認めることが出来る強さを持っている」


 弱さを受け入れるという強さがお前の中にはないんだよ。ライザは暗にそう言われたように思って、それは言われたのかもしれないし言われてないのかもしれなかった。


 ライザは校舎の手すりにもたれて、速く流れていく雲を目で追った。


「わたしは弱いって言いたいの?」


 眼帯教官は変わらず真顔だ。でも少しだけ慈しむような目をライザに向けた。


「ああ。お前は剣聖パラディンにはなれないよ」


 言ってくれるじゃないか。八神ライザのエンジンは常に水素爆発を起こしているが、この時ばかりは燃料が多すぎたのだと思う。


「じゃ、わたしが剣聖パラディンになったら叙々苑奢ってね」

剣聖パラディンの方が給料良いだろうが」


 ふたり笑って校舎の屋上。ひとりはフィールドを見て、もうひとりは空を見上げた。


 黒髪のショートヘアが、なびく。

「ちょっと面白そう」と思っていただけましたら……!


──下にある☆☆☆☆☆からご評価頂けますと嬉しいです(*^-^*)


ご意見・ご感想も大歓迎です! → 原動力になります!


毎日投稿もしていますので、ブックマークでの応援がとても励みになります!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いします!

同作者の作品

黎明旅団 ─踏破不可能ダンジョン備忘録─

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] DIE火力ぶちかまして空に舞いあげられたのか(;゜Д゜) それはそうとね。 ピクシブで誰かが言ってたが、完璧であればあるほど折れるってよライザ先輩。 カーン、ペキッってね(笑)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ