Chat.04 Live coverage
【Chat Room 春のテスト実況中】
54:理解屋
あはははははははははwwww
55:はとむぎ
全力で打ち合って-160オーバーって
そんな数字見たことないww
これがリーク狩りメインの試験だって気付いてないとか?
56:神楽リオン
それはごく単純化した言い方だけどな
でもそうだとすれば相当不味い
もう残り1日しかない
57:理解屋
ずっと気になってたけどなんでフルネームなの?
58:神楽リオン
私は見つかって不味いようなことはネットに書かないから。誰かと違ってな
59:理解屋
火力高くて草
まあ、鍵部屋だからいいけど
◎平凡眼鏡ニキさんが入室しました
60:平凡眼鏡ニキ
浅倉さんからお呼び出し来たんすけど
61:はとむぎ
おやおや?
62:平凡眼鏡ニキ
ここに書き込んだのバレて
63:はとむぎ
絶対袋叩きじゃん……
64:理解屋
いや〜、そうかな
65:神楽リオン
というと?
66:理解屋
胸部装甲ちゃんと太ももちゃんは結界を張ってる。多分中で何か話してるよ。まあ、作戦会議だろうね。眼鏡くん使って何かしようとしてるのかも
それとこの試験の本質も、きっと気付いてはいると思う。賢い子だから。その上で、あの打ち合いは必要だったんだろうね。知らんけど
67:神楽リオン
度し難いな
68:平凡眼鏡ニキ
まー、自分が招いたことなんでいいですけど。理解屋さんお金は払ってくださいね!!
69:理解屋
大丈夫大丈夫。太ももちゃんが勝てば大金入るから
70:平凡眼鏡ニキ
それが前提!?!?
死ぬ気で勝たせねーと……
71:はとむぎ
これが試験だって忘れてるやつ2名おるな……
72:神楽リオン
バカだ
73:理解屋
でも実況は続けてね
撮影魔剣、解像度に限界があるから
74:平凡眼鏡ニキ
わかったすよ……
んじゃちょっとロムります
◎平凡眼鏡ニキさんが離席モードになりました
75:はとむぎ
ところで皆さんはテスト中ですけど大丈夫なんですか?
76:神楽リオン
昼前に全部終わらせた
コツを掴めば難しくない
77:理解屋
理解屋はまだ途中だけど、特に問題はないよん♪
78:はとむぎ
(戦闘中にチャットしてんのか……)
79:神楽リオン
この人ネット中毒だからな
80:理解屋
そんなんじゃないもんねーだ
ライフワークって言って欲しいかな
81:神楽リオン
それで、はとむぎ、お前は?
82:はとむぎ
はとむぎは夕方くらいにダウンすねー
神楽リオンとかいう脳筋に一撃で吹き飛ばされて(^^)
83:神楽リオン
全員ほとんど一撃だから覚えてない
84:理解屋
草
85:はとむぎ
草
ま、そっちの方がポイント減らなくていいし、情けだと思っておくよ
86:神楽リオン
いや、時間が惜しかっただけ
87:理解屋
草
88:はとむぎ
バケモンだなぁ
89:理解屋
あっ。ねぇねぇ
そういえばさ、太ももちゃんのアンストッパブル・インパルスって重力操作なの?
90:神楽リオン
訓練でも数回見たがあのアーツは重力操作でたぶん間違いは無いと思う
91:はとむぎ
なんか煮え切らないな
92:神楽リオン
……あの重力操作自体は本人の人格由来ではなく魔剣由来のものに見える
93:はとむぎ
???
94:理解屋
アーツには2種類あってさ
ひとつはその人の「人格や適正」に合わせて発現するタイプのアーツ
もうひとつは持つ「魔剣の力」を引き出して──悪く言えば引っ張られて発現するタイプのアーツ
95:はとむぎ
あー、概論でそんなのやったなぁ
でもみんなあんま意識してないすよね
96:理解屋
能力の由来なんて知っても、実益がある訳でもないしね
97:神楽リオン
だが魔力のない私からすればその違いは大きい。魔剣に引きずられているやつはボロが出やすいからな
だが人間由来のアーツは細胞レベルで浸透しているから、隙がない
98:はとむぎ
じゃ、太ももちゃんが手首やられてたのもそのせいだ
99:神楽リオン
だろうな
100:理解屋
でも「自体は」ってどゆこと?
101:神楽リオン
これはあくまで勘だが、アンストッパブル・インパルスとGravityは別物だ
102:はとむぎ
?????
103:理解屋
はえー、なるほどね
でもそれ、本人は気付いてなさそうだね
104:はとむぎ
どゆこと??
105:神楽リオン
重力操作は魔剣由来、アンストッパブル・インパルスは太もも本人のアーツだということだ
それを恐らく、本人は混同している
106:はとむぎ
複数のアーツって集中がぶれるからあんま良くないんじゃないの?
107:理解屋
基本的にはね。まさにあの子はその「良くない」状態にあるんだと思う
でも複数のアーツを使いこなして、指数関数的な強化をしている人間を、理解屋はひとり知ってる
生徒会長、折紙カナンだよ
108:神楽リオン
折紙カナンがいくら強いとはいえ、私は結局それが身体にとって負荷になるのなら推奨は出来ないがな
その力を正確に理解しないで使っているのなら尚更だ
109:はとむぎ
で、結局その本人由来のアンストッパブルなんとかの方はどんなアーツなん?
110:神楽リオン
重力操作を補助するような何かしら……としか言えないな
111:理解屋
物理法則を直接いじる系はやっぱ身体に負担かかるからね。身体強化系かも
112:はとむぎ
てか──
……太ももちゃんってマジなにもんすか?
113:理解屋
さあ。理解屋も今、それを探しているところなんだ
114:神楽リオン
そうか、2人ともまだ分かってないのか
115:理解屋
なんだよー
分かってるふりしてさー
じゃーあの子はなんなんだよ〜!
116:はとむぎ
そーだそーだ
117:神楽リオン
ほんとにわからないのか?
あの子は人よりちょっと頑張れるだけの、普通の女の子だよ
***
「普通──か」
折紙アレンは招待されたチャットルームを眺めながら、かつ周囲の警戒を怠らず試験の夜を過ごしていた。
彼は考えていた。
あの半休の日──イーストパークでたまたま目にしたテミス騒動。
表向きには八神ライザが解決したことになっている。だが、2人の学生を救ったのはもう1人の学生だ。
そしてその学生は不刃流を使っていた。
それも、ただの不刃流じゃない。
「九十九式」
果てのない憧憬。それは、不刃流最高峰の業だ。
折紙の本家──降神家一子相伝の技で、それが使えるのは折紙アレンが姉のように慕った従姉妹の女性だけだった。
──先代の剣聖、降神マユラだけだった。
「ちょっと頑張っただけで使えるわけが無い」
確かに浅倉シオンは他人より努力ができるだけの、普通の女子高生だ。
だが例の騒動は、その事実に疑義を抱かせるには充分だった。
折紙アレンはしばし瞑目し、考える。
「触れてみればわかる」
開いたその金眼は、月光を淡く跳ね返して揺らめきを見せた。それは傍から見れば燃える炎のようでもあった。
彼は確信している。浅倉シオンは本戦に上がってくると。
──ならば、その場所に自分もいなければならない。この目で確かめるために。
そう思いながら、静かな宵闇に潜り後ろから強襲を狙っている学生に向け、ザッと指先を向ける。
「不刃流十六式。限界無しの速射抹殺」
倒れる音がひとつ。
気絶した学生の山に囲まれながら、彼はまた静かに思考の水底へと潜っていった。
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