表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
187/372

157 そして終わり行く

■SIDE:綾織ナズナ

 ラウラ・アイゼンバーグはあたしの知る限り三人いる。ひとりは八神ライザ。それはあらゆる世界線で、覇者になる前の名前だ。ライザ先輩は魔笛の代償で──亡くなった。


 もうひとりは養護教諭さんが言っていた《破戒》という称号を持つラウラ。その人物についてあたしは何も知らないけど、覇者には変わりないという話だ。黎明旅団という組織を率いているらしい。


 最後は《冷帝》の名を持つ本物の覇者。その存在をあたしは名前でしか知らない。でも、断片的な情報をつなぐと、《冷帝》が多元宇宙論(マルチバース)のあらゆる世界を征服、破壊しているという事実があるらしい。


 十三獣王キングスも元は《冷帝》が造ったもの。世界を支配するための兵器でしかない。あたし達の世界はただ《冷帝》という()()()()()()()()()()()の手のひらの上にあったんだ。


 それの是非はともかくとして、あたしはきっとその人と戦わなければならない。世界を守りたいとか、人々の為とか、そんなマクロな理由じゃない。あたしはもっと矮小だ。ただ、浅倉シオンという少女の幸せのために、そうしたい。


 シオンならきっと《冷帝》を倒して、世界に自由をもたらしたいって言うと思う。あたしはそんな彼女が好きなんだ。なら、やることは決まっている。


 《冷帝》は倒すべき相手だ。


「アレン君は自分が何をしてるのか、わかってるんだよね」

「ああ。危険なことをしている自覚はある。ただこうするしかなかった」


 自らを魔剣にし、第三者に操らせることで、最強に辿り着く業──終わりのない舞踏会アンリミテッドダンスホール。彼の身体から見える黒い靄の様なものは、操り人形の糸とでも言うべきか。


「《冷帝》は俺たちの戦いになんて毛ほどの興味も持ってない。奴がただ舌なめずりをしただけで、この世界はたちまち消えてしまう。それほどの『存在』としての格の違いがあるんだ」

「じゃあなんで力を貸してもらえたの? アレン君は何を代償にしたの──」

「浅倉シオンという最強の女と戦わせてやるって、言った」


 あたしは不覚にも笑ってしまった。


「どんなに強い存在でも、最強って聞くと戦いたくなるもんなの?」

「ああ、そうらしい」

「じゃあ、あたし達ほんとにどっちか死んで、シオンを最強にしてあげなきゃね」

「当然だ。それにシオンが《冷帝》と戦うまでに必要な過程をすっ飛ばせる」

「それは確かに名案だ」


 だけど、その前に折紙アレンの身体が崩壊したら?


 彼のひび割れからは依然、彼を焼き尽くす冷たい暗黒が覗いている。

お読みいただきありがとうございます!!!


続きが気になった方は☆☆☆☆☆からご評価いただけますと嬉しいです!!


毎日投稿もしていますので、是非ブックマークを!


ご意見・ご感想もお待ちしております!!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ブクマ・ポイント評価お願いします!

同作者の作品

黎明旅団 ─踏破不可能ダンジョン備忘録─

小説家になろう 勝手にランキング
― 新着の感想 ―
[一言] おい、これ……どっちか生き残っても残りの寿命がメッチャ短いんじゃ(;゜Д゜)
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ