135 イントゥハーフタイム
「ちょっと休憩しようか」
ライザ先輩の号令で皆が肩の力を抜いた。トイレに行く者はトイレに、考え事をする者はその場にとどまってため息をついた。
王庭十二剣、十三獣王、多世界解釈。
あまりに考えることが多い。でも、もしもこれらにひとつの因果関係が見いだせるのならどうだろうか。
話に参加していなかった養護教諭さんですらその存在を意識した「重力」。もしくは引力とでも言えばいいのか、それはありとあらゆる事象をこの世界に、いや、もう世界線と言ってしまって良いだろう。全ての要素がこの世界線に集ったその理由を、私達は考えなければならない。
私の手をぎゅっと握った女の子は、手に汗をかいていた。
「ナズナ、大丈夫?」
「えっ? あ、うん、大丈夫だよ。その……ちょっと気後れしちゃったというか。でも大丈夫! 手を離さないでいてくれる人が居るから」
いつもならかわいいねとハグのひとつでもしてるところだが、彼女だって真剣だ。私も真剣にしよう。お茶をぐいっと飲み干すと、ナズナはお手洗いに向かった。いく? と誘われたが、私はやることがあったので辞した。
「そんなに見つめたって、何も出てこないよ」
ライザ先輩はいつものおちゃらけた様子で言って私の隣に座った。
「私の王庭十二剣が気になる?」
「はい、とっても」
「私が敵なんじゃないかとか思ってる?」
「えっ、いや、流石にそんなことまでは」
「でも疑ってはいるね」
「わからないんです。強い武器ならみんな知っておいた方がいいし、この会をわざわざ開いておいて、それだけを隠す理由が、わからない」
ライザ先輩は足を組んだ。
「前に食堂で話したのを覚えているかな」
「継承の話ですか?」
「そう。私が持つ強大なものの話」
「ライザ先輩が抱える秘密ですよね」
「私しか知らないし、私以外に知られてはいけない。これはそういう類の呪いなんだよ」
「──呪い」
「大丈夫、別に私だってただで死んでやる気はない。ただ、最終決戦に向けて、一手一手詰めている。その途中でご破算にならないように、醜く必死に足掻いているだけだよ」
「いつか後継者は現れるんですか?」
「じゃあ君がやる?」
その瞳の奥に光るものが何もないのに気が付いて私は息を飲んだ。
「わかりません」
ライザ先輩はふふっと笑った。
「いつか嫌でも答えを出さなければならない時が来る。それまでに考えておいてね。あ、ちなみに次の論題は君についてだ」
ライザ先輩は私の頭をさらっとさすって、また前に戻った。手を叩いて休憩の終わりを告げる。
継承。私は答えを出せるだろうか。
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