131 セットアップ②
曽根セイレの証言
「ではまず仙石ネムリの話からしようか」
ライザ先輩がそう言うと、入れ替わり立ち代わりしていたオーディエンスの中から元フェニックスの美人一年生、曽根セイレが前に出てきた。
「じゃあ曽根ちゃん、頼んだよ」
「はい」
彼女は眠っているネムリ先輩の方を手で指しながら話し始めた。
***
まず、彼女は人間です。それは間違いありません。ただ、みんなが最強だと言う所以として、仙石ネムリの中には十三獣王が一柱──水瓶座の「瀬織津姫」が眠っています。
瀬織津姫は天秤座の正義決壊天秤、千里行黒龍に次ぐ、執行者のひと柱。全てを水に流す者です。
具体的事象は記録には残っていません。なぜなら、彼女の力は『巻き戻すこと』だから。傲慢に満ちた平和を巻き戻して、戦争と飢餓を造り出す。
それが彼女の本懐なんです。
仙石家と曽根家は元々、協力して出雲の地を平定してきました。ですがある時、仙石ネムリに水瓶座が宿った。その理由はわかっていません。そして、その目覚まし係に選ばれたのが私です。
水瓶座とは直接会話はできません。恐らく、ネムリ先輩の心と溶け合っているから。その負荷が大きすぎて、彼女はいつも眠っています。
言った通り、能力は巻き戻し。最強なんです。だから私視点だと、ネムリ先輩が何かに負ける所は全然想像がつきません。
でも、そんな先輩が「恐れている」のが、獅子座だということはわかります。今私から言えるのはこれくらいなものです。
***
ライザ先輩は曽根ちゃんにありがとうと言って、引き取った。
「この通り、魔刃学園はただの魔剣師養成校じゃない。ありとあらゆる因果が、ある一つの強力な重力に引かれて集っているんだ。その正体が、今日明らかになるといいね」
因果の集う場所──。この学校が出来た飛鳥時代から、ここまでの予定はずっと決まっていたかのような口ぶりだ。でも、そう思えてしまうのも無理はない。向こう側が侵攻してきた今日現在のこの時点で、王庭十二剣や十三獣王が集い過ぎている。
それを、あまりに都合がいいと言わずに、どう言えるのか。
その渦の中心が何なのか、しっかりとこの目で確認するために、私は一層気を引き締めて、立ち上がった千原ロナンに視線を向けた。
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