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21 吹雪の中で

第二章始まります。

引き続きよろしくお願いします。


さて、新章になったということで久しぶりに。モチベーションアップのためにも評価、感想等もよろしくお願いします!!(切実)

 ドラゴンの集落を出発してから空を飛ぶこと数時間、ついに外界との境界となっている山脈を超えたボクこと美少女ドラゴニュートのエルネちゃんですが、ただ今絶賛寒さに打ち震えておりますですよ!


「さ、さささ、ささささむさむ寒いいいいい……!?」


 どうやら大陸最高峰の険しい山々は物理的な障害となっていただけではなく、頂上伝いの稜線には魔法的な結界も張られていたもようです。そういえばドラゴンの集落では、ほぼほぼ毎日晴天が続いていた気がする。


 って、吹雪に巻き込まれている今頃気が付いても遅いんですけどね!

 とにかく、一刻も早く『ドワーフの村』に辿り着かなければ!!


「近くまで行けば恐らくあちらの方から接触してくることになると思いますので」

「こちらから発見するのは難しいから、接触してくれないと話にならないとも言う」


 出発前にクレナさんたちから聞いた話によると、地上に出ている部分も雪と氷で覆われているから、空からでは見え辛くなっているとのことだった。


「まあ、エルネ様なら必ず気付かれるでしょうから心配はいりませんよ」

「エルネ様だしねえ。山脈を超えた時点でバレるんじゃないの」


 とも言っていたっけ。なんでも、ドラゴンは成長するにつれて周囲にいる存在を察知できるようになっていくのだとか。魔力を中核にして存在そのものを感知するとかなんとか?

 ボクの知っている〔警戒〕技能では敵性存在しか感じ取ることができなかったから、それよりも優秀ということになるね。などとその時は話していたのだけれど……。

 その割には近づいてくるものどころか、気配らしい気配が全くないのですが!?


 え?なにこれいぢめですか?エルネちゃん可愛いからいぢめられてるの!?

 うーん……、この展開は予想していなかったぞ。どうしよう?この際『ドワーフの村』は素通りしてどこかの街か村に向かってしまおうかしらん?

 大きな都市なら腕の立つ名工の一人や二人くらいはいるだろうから、ハルバードの修復もそこですればいいかな。


「……あなたドラゴンよね?こんな吹雪の中で〔遮断結界〕も張らずに何をしているのよ?」

「ふにゅおっ!?」


 いざ行かん、見知らぬ大地へ!と思った瞬間に、乱れ舞う雪の向こうからニュッと白くて巨大な顔が現れた!?


「ど、どらどら、どららごんごん!?」

「はあっ?ドララゴンゴン?私はれっきとしたドラゴンよ!……人間種みたいな格好をしているし何なのよこいつ」


 寒さでまともに口が動かなかっただけなのだけれど、怒らせてしまったらしい。吹雪の中で遭遇した真っ白なドラゴンはあからさまに不機嫌になってしまったのだった。


 それよりもこのドラゴンさん、何か重要なことを言っていたよね。

 確か……、遮断結界とかなんとか?もしかしてそれがこの吹雪の中で一切の支障もなく動けられている秘密なのかも。


「な、なによ……!」


 寒さに震えつつドラゴンさんを観察してみると……、魔力だろうか?体表面から少し外側に膜のようなものが作られているのが分かる。


 こう、かな?


 意識した途端、あれほど寒く刺すような痛みすら感じていたものが一切合切消滅していた。心なしか吹雪く音も小さくなっている気がする。

 熱源はなくとも体温を奪うそれらがないだけで随分と違うものなんだねえ。


「ふへえええ……。し、死ぬるかと……」


 いやはや、もう少しで氷の美少女になってしまうところだった。初対面の相手の前ではしたないと理解しつつも、ぐったりするのを止められない。


「まったくもう!外がこんなに寒いのならちゃんと教えておいて欲しかったよ!」


 パパンやママンだけでなくクレナさんたちからも一言の注意すらないんだもの。それだけ当たり前な常識だったのかもしれないが、ボクにはそれが通用しないのだからね!

 ……うん。自分で言っておいて何ですが、結構情けない話だったわ。


 なお、そんなボクを白いドラゴンさんは訝しげに見ておりましたとさ。


「それで、あんたは一体なんなのよ?内側から来たってことはドラゴンなのかしら?」


 わーお。せっかく温まってきたのに、全部なかったことにして再び凍てついてしまいそうな視線と物言いだわね。まさに氷の眼差しだよ。


「言われて名乗るもおこがましいが、問われたならば答えてみせよう!」

「どっちなのよ」


 即座にツッコまれてしまった。割と律儀な性格なのかな?まあ、肝心の場の空気を和ませることには失敗していた訳ですが。


「ボクの名前はエルネ。長の娘で二カ月くらい前に卵からかえったばかり。人間種のような見た目なのはドラゴニュートだからだね」

「はあっ!?長の娘!?」

「そう。あ、これがその証拠ね」


 取り出しまするはパパンの手形が押された大きな板。もちろんドラゴンの姿でのものだから縦横それぞれ一メートルくらいはあるよ。

 なお、手形と言ってもインクをつけてポン、ではなく手を熱することで焼き印のようにしてあるのでかすれて消えることはない。下の方に人化したママンとボクの手形も付いているのはご愛敬ということで。


「……時空龍殿の力を感じる。(かた)りではないようね」


 おおう!集落と繋がりを持ち続けているドラゴンであれば、そんなことも感じ取ることができるのね。

 そして疑いの目が一気に晴れましたよ!なんというバツグンな効果。


「でも、あんたの話の全てを信じた訳じゃないから!」

「そりゃそうだね。とりあえずは敵じゃないと思ってくれれば、あとはドワーフの村に入らせてもらえればそれで十分だよ」

「ドワーフの村に?……ああ、だから〔遮断結界〕も使えないのに、この寒い中をウロウロしていたの」


 知ってたの!?すぐに声をかけてくれれば、あんな凍える目に合わずにすんだのに……。

 ううむむむ……。それに素性については納得してくれたようだけど、警戒は相変わらず続いているのだよねえ。これは何か理由がありそうですか?


 と、そこで外の世界へと飛び出していったはぐれドラゴンたちのことに思い当たる。

 確かあの連中、外では好き勝手やらかし回っているのだよね。そして集落、というかドラゴンという種族は自身に火の粉が掛らない限り他者には基本無関心だ。

 そんな中で例外的な存在が他種族と共に暮らしているドラゴンたちだ。琴線に触れた物事は様々だけれど、彼らはその場所や人々を守ろうとする傾向にある。きっと目の前の白いドラゴンさんも同じなのだろう。


 さて、ドラゴンの集落がある盆地地域から外に出てくる者は少ない。クレナさんたちのように警備担当者、普段は外の世界で暮らしていて思い出したかのように里帰りをする者を除けば、あとは集落に居られなくなったはぐれドラゴンくらいなものとなるのだよね。


 ……あれ?もしかしなくてもボク、暴れん坊なはぐれドラゴンだと思われてる!?


〇エルネのステータス


名前 : エルネ

種族 : ドラゴニュート

職業 : 覚醒龍姫


技能 : 〔瞬間超強化しゅんかんちょうきょうか〕 〔竜帝尾脚術りゅうていびきゃくじゅつ〕 〔ブレス〕

     〔飛翔〕 〔完全人化〕 〔完全竜化〕

     〔遮断結界〕 ← new


闘技 : 【三連撃】、【裂空衝】、【流星脚】



※ハルバードに関しては攻撃は膂力に任せて振り回していただけ、受け流しなども身体能力の高さにものを言わせていたものばかりのため、技能はまだ生えてきていません。

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