五十話 大掃除の後で①
彼らから話を聞けば、シャーロットは道中、アレンに敗れてボロボロになった冒険者たちに魔法薬を配って回ったらしい。
シャーロットの向かう先を重点的に殲滅してきたので、行く先々でグローのような連中に出くわすのは当然のことだろう。
おかげでグローの一味同様、続々と信者が増えた。見ればあちこちで「俺……悪いことからは足を洗うよ」「俺は国に帰ろうかな……」「母ちゃんに会いたい……」なんてぼんやりした会話が聞こえてくる。
どうやら荒みきった日々を過ごしていた彼らに、シャーロットの純粋無垢さが効いたようだ。
(それにしたって効きすぎでは……?)
アレンはすこし不思議に思いつつも、ひとまずそれは横に置いておく。
「それで、シャーロットの様子はどうだ?」
「はいですにゃ。我がサテュロス運送社の社員が、全力で影からサポート中ですにゃ」
ミアハがびしっと敬礼して応える。
途中から掃除が忙しくなったため、シャーロットの護衛は外部委託することにした。ミアハが暇な社員を斡旋してくれたのだ。
「おっ、噂をすればですにゃ」
すたっ、とどこからともなく現れるのは、ミアハと同じ制服に身を包んだ亜人の女性ふたりだ。彼女らもアレンに向けて、びしっと敬礼してみせる。
「ご報告いたしますわん! ターゲット様は無事にお買い物を済ませましたわん」
「お怪我も何にもないですこーん」
「うむ、恩に着る。これがバイト代だ」
「わーん! ありがとうございますわーん!」
「噂にたがわぬきっぷの良さですこん!」
社員ふたりは金貨の詰まった袋を手にして、きゃっきゃと騒ぐ。
運送社に頼む仕事ではないとは思ったが、ミアハ曰く社員一同、稼ぐことができればなんでもいいらしい。
今後も細々した雑事を頼めそうだな……なんて考えつつ、アレンはそっと声のトーンを落とす。
「と、ところで……ひとつ聞きたいことがあるんだが」
「わんー?」
「こーん?」
首をかしげる社員ふたりに、ぼそぼそと尋ねることには。
「あいつはいったい何を買ったんだ……?」
シャーロットがアレンに秘密を作るのは、いいことだと思う。
だがしかし、気にならないといえば嘘になった。
「あっ、プライベートなものなら言わなくていいぞ! 女性はなにかと入り用だと思うからな!」
「そんなこともありませんが……」
「うーん……」
なぜか、社員ふたりは顔を見合わせる。
困ったように眉を下げてみせるのだが、苦々しい様子はまるでない。
おまけになぜか、子猫のじゃれあいを見るような微笑ましい目をこちらに向けてくる始末で……まるで理由がわからないアレンは首をひねるしかない。
やがて彼女らは頷きあって、さっぱりと告げる。
「私たちの口からそれを言うのは、たぶんマナー違反ですわん」
「……どういう意味だ?」
「お待ちいただければわかると思いますこーん」
ふたりの含み笑いが、非常に気になるところだった。
しかしそれを追及するより先に――。
「あっ、アレンさん」
「うおっ」





