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時魔術士の強くてニューゲーム ~過去に戻って世界最強からやり直す~(Web版)  作者: 坂木持丸
第3章 王都エンデ

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39話 旅猫商人

 というわけで、翌朝――王都に出発する当日。

 朝早くから俺たちは旅装に身を包み、家の玄関先に出ていた。


「ちゃんと、スカーレット家からの招待状は持ったかい?」


「準備は大丈夫? ハンカチは持った?」


 シリウスさんとレイナさんが心配そうに、あれやこれや持ち物チェックをしてくるが。


「もう、2人とも心配しすぎだよー」


「まあ、王都なんてたいして距離もないですしね」


「そ、そうか……まあ、クロムがいれば大丈夫そうだが」


 べつに長旅をするわけでもないのだ。

 日帰りじゃないから着替えは必要だが、あとは水筒とお金があれば大丈夫だろう。

 足りないものがあれば、現地で買えばいいし。


「今は繁忙期だから、僕とレイナは町を離れられないけど……スカーレット公にはよろしく言っておいてくれ。ここ最近も、迷宮調査や街道警備でずいぶんお世話になってるからね」


「わかりました」


「道中、気をつけるんだよ。近ごろはアルマナの地下迷宮にいた魔物が街道に出てくるって話もあるし……」


「そういえば……高速で動きまわる“黒い影”の噂も、隣の奥さんから聞いたわ」


「……ん?」


「なんでも、生き物を斬り裂いては血をしぼり取ってる人型の影が出るんだとか……」


「魔術士協会が秘密裏に作っていた、新種の魔物兵器だって噂もあるね」


「もう、2人とも! 出発前に怖がらせないでよ~!」


「い、いや、怖がらせるつもりは……ただ、気をつけてほしくて」


「…………」


 たぶん、その“黒い影”って……俺のことだ。

 ここのところ、夜中に街道に出てくる魔物たちを陰で間引いていたんだけど、他の人からは化け物にでも見えたんだろう。


「まあ、ただの噂ですよ、はは……」


 とりあえず、そうごまかしておくことにした。


「それじゃあ、お母さん、わたしの花壇のお世話お願いね。変なアレンジは禁止だからね」


「わかってるわよ。もう花壇を爆発させたりしないわ」


「過去になにがあったんですか?」


「お父さんは素振りの剣圧で花壇を壊さないこと」


「あ、ああ……気をつけるよ」


 そんなこんなで、別れの言葉も一通り済み――。


「「行ってらっしゃい」」


「「行ってきます」」


 こうして家をあとにした俺とエルは、その足で町の入り口までやって来ていた。


「たしか、エルの知り合いの馬車に乗せてもらえるんだよな?」


「うん、そうだよ。ネココちゃんっていう行商人の子と約束してるの」


 さすがは、エルの人脈力か。

 誰とでもすぐに友達になれる能力は、こういうときに役に立つ。


「でも、馬車がたくさんあって、探すのが大変そうだな」


 小さなアルマナの町も、この時期ばかりは行商人の荷馬車の往来が多い。

 町の入り口の辺りには、花をいっぱいに積んだ荷馬車がごちゃごちゃとひしめいているが……。


「んー、大丈夫かな? ネココちゃんの馬車は目立つから」


「目立つ? 馬車が?」


「まあ、それは見てのお楽しみ~……と」


 エルがそう言いながら、辺りをきょろきょろ見回し――。


「あっ、いた!」


 と、1つの馬車を指さした。

 俺もそちらに顔を向けて。


「……ああ」


 なるほど、と納得する。

 あの馬車はたしかに目立つ。いや、もはや馬車というのが正確なのかもわからないけれど。

 なにが異様かって、馬の代わりにつながれているのが巨大な猫だということだ。

 そんな荷馬車だか荷猫車だかわからないものの前に――。


「……にゃんねー……にゃんねー……」


 困ったような声を出す、大きな革のリュックが揺れていた。


「ネココちゃん!」


「にゃんね?」


 そんな声とともに、リュックがくるりとふり返る。

 そのリュックの陰から出てきたのは、小柄な猫耳の少女だった。

 どうやら、小柄な体に大きなリュックを背負っていたせいで、今まで見えなかったらしい。


 ふわふわしたライトブラウンの髪に、民族衣装っぽい刺繍がされた外套。

 その髪や外套からのぞくのは――猫の耳と尻尾だ。


(あれは……ケットシー族か)


 人間社会とも交流のある猫種族だ。

 謎の多い種族ではあるが、世界のどこかに人間よりも優れた王国を築いているといわれ、たまに人間の町に物を売りに来る。

 破滅した未来においては、ケットシー族の商人だけが唯一の流通網だったりもしたが……この時代でもあいかわらず商人をやっているようだ。


「あっ、エルルーにゃ様にゃんね。お久しぶりにゃんね」


「にゃんね~♪」


「にゃんね!」


 エルに近づくなり、こつんと頭をすりつけたり、すんすんと匂いを嗅ぎまわったりする猫耳少女。

 なんとなく、飼い主になついている猫みたいだ。

 思っていたよりも、エルと親交があるらしい。


「今年もいっぱいお花買ったんだね」


「にゃふふ……アルマナの花は、王都の貴族(かねづる)に人気にゃんね♪ 法外な値段で売れるにゃんね♪ がっぽがっぽにゃんね♪」


 と、ネココと呼ばれた少女が、ちょっと黒い笑みを浮かべたところで。


「……にゃんね?」


 俺の視線に気づいたのか、こちらをじ~っと見てきた。

 それから、すぐに俺が同行者だと思い至ったらしく、ぺこりとお辞儀をしてくる。


「あっ、申し遅れたにゃんね。にゃーはケットシー族の旅商人ネココ・キャットウォーカーにゃんね。無料で仲良くしようにゃんね」

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