第59話 謀反の終焉(5)
プラウムの母であるあいつ、シルフィーの奴はね。
プライムの顔を見てあいつは。
「あらぁ~、プライムが怒っちゃったぁ~」とケラケラ笑えば。
「あぁ~、怖い。怖い~。ふっ、ふふふ」
と、揶揄するような口調で呟き、薄ら笑いを浮かべ、親子で対峙したらしいけれど。
すぐにプラウムと対峙、睨み合う行為を辞め。
「みんな、何か勘違いをしているんじゃない?」
あの場にいた者達を見渡しながら告げたらしい。
だからその場の喧騒が収まり。
「「「…………」」」
またシーン! と静まり返る静寂空間へと変わり。
あの場にいた者達──。
血まみれのウォンも含めて、シルフィーへと注目──。
するとシルフィーはニヤリと妖艶に薄笑いを浮かべ。
「アイカさんは、家のひとが死ぬ、死んだとは思っていないのよ」
あいつは、あの場にいる者達が驚愕することを告げたらしい。
だからあの場にいる者達は、自身の瞼を大きく開けるか、自身の首を傾げるか、をしながら。
「えっ!」
「嘘?」
「でも死んでいるよな、男王は?」
「うん」
「ああ」と。
各自各々が驚嘆を漏らしつつ、騒めいたらしいけれど。
「プラウム、その場を変わりなさい」と。
シルフィーは呟きつつ、僕の側──。
そう、プラウムの柔らかい膝を枕にしている屍の僕の許へと移動──。
そして側に着けば。
「女性陣は今から私と殿が男性達の目に触れないように円陣を組んで囲んでくれる」と告げ。
「プラウムとサラは、今から私が発動する魔法を覚えなさい。そうすれば、私達の殿は無敵。誰もこのひとを殺すことなどできないから。わかりましたか二人とも」と、告げるたらしいから。
プラウムとサラは怪訝な表情から困惑をした顔色へと変わりつつ。
「はい」
「う、うん」と頷いたらしい。
そんな娘二人の様子を見たシルフィーの奴は。
その場にへたり込み、相変わらず、自身の顔をクチャクチャにしながら泣いているアイカへと視線を変え。
「アイカさんもいつまでも泣かない。早くこちらにきなさい。貴女はこの集落の酋長であり。殿の妃なのだから。貴女がこの現場を指揮しないといけない立場なのだから。早くこちらにきなさい」と。
シルフィーの奴は、女性達の円陣の壁の中へと、あの集落の酋長であるアイカへと急かしながらくるようにと告げた。
「はい。わかりました」
アイカの奴は珍しく、シルフィーの下知に対して素直に頷き、慌てて立ち上がり。
今度は地面に横たわる僕の躯の側にきたらしい。
◇◇◇




