第44話 抗い(2)
そして僕もまだ若いから血の気の多さで、ウォンへと猪突猛進──。
「ウォン! 離せよ! サラの髪を! いつまで握っているのだぁ!」
僕は罵声を吐きつつ、あいつへと詰め寄れば。
ウォンの腕、サラの髪を鷲掴みしている腕に。
子供みたいに噛みついてやったよ。
ガル、ルルル! と呻りながら。
ハグ! ハグ! と噛みついてやった。
「うわぁ、あああっ! このクソガキ! 俺の腕を噛みやがったぁ!」と。
ウォン奴は、絶叫交じりで僕に罵声を吐いたくらいだから。
あいつが僕のことを男王だと認めていないのがわかるよね!
だから僕は、その後──。
ウォンがサラの髪を離したと同時に。
自身の脳内で考えていた攻撃──!
僕の頭突きをガン! ガン! と。
ウォンの顔に狙って──。
でも僕の背丈が足りないから鼻ではなく。
あいつの顎と口──。
それでもに二発入れることには成功した。
だから僕はウォンからサラとウルハに視線を変え。
「サラちゃん! ウルハさん! 早く逃げてぇー! お願いだからぁっ! 僕の攻撃は、これ以上は無理だと思うからぁっ! 早く逃げてぇー! 今直ぐにー!」と。
僕は余所見をしつつ二人に嘆願をしたのだ。
でも僕自身は、これがいけなかったよ。
僕はこの後憤怒したウォンに半殺しにされてしまうからね。
◇◇◇




