第20話 僕はヒロイン様から見捨てられました(1)
「おい! 貴様等何をしている?」
「えっ! お前等何をしているって……」
「ゲッ! やばい! エリエだ!」
「ど、どうするよ?」
「どうするって、お前……」
エリエさんだったかな?
僕が男達から、相撲と言う名の虐めに遭っている最中に、偶々近くを通っている最中にね。
僕の悲鳴を聞き、彼女はこちら。
地面を転がり回る僕の姿が他人の目に触れないようにと。
人の壁──。
そう、円陣を組んでいる場所へとエリエさんは怪訝な表情で向かってきた。
だから僕を虐めている男達は顔色が変わったと思うよ?
だってエリエさんは、あの集落で一番強いと呼ばれている一騎当千の強者だからと。
僕が説明をすれば。
『あれ?』と『何で?』と。
みなさんは思うかもしれないけれど。
オーク種族はね、人種のように、男女の性別的有利があると言うことはない。
だからアイカやエリエさん、サラちゃんやウルハさんなどは男勝りでね。
特にアイカとエリエさん、ウルハさんなどは男性達よりも強く。
その中でも群を抜いているがエリエさんらしい。
だから男達はエリエさんに僕の悲鳴を聞かれ、各自各々が顔色を変え、騒めき始める。
「エ、エリエ。俺達さ、酋長に頼まれて、男王を鍛えているんだよ……。なぁ、皆、そうだよね?」
僕のことを虐めている男達の一人が、怪訝な表情でこちらへと向かうエリエさんへと、慌てて言い訳を始める。
「そ、そうだよ。エリエ……。俺達は長に男王を強い男にしてやってくれと嘆願をされているのだ」
「そ、そうだよ。こいつの言う通りだよ。エリエ。本当の事だから」
「もしも俺達の言葉が嘘偽りだと思のならば。酋長に尋ねて貰ってもかまわない。なぁ、みんな?」
「うん」
「ああ」
「こいつの言う通りだよ。俺達は嘘などついてはいない」
まあ、こんな感じの台詞だったかな?
円陣中にいる僕の口を男一人が塞ぎ。
僕がエリエさんへと命乞いができないようにしつつ。
男達は彼女にアイカの名前を出しながら言い訳をしていたと思う?
「そうか、長が貴様らに御方の事を頼むと言っているのでは、致し方がない……。じゃ、家の御方の事を頼むな……。でも、家の御方に大きな怪我をさせるな。もしもさせたら貴様等、私が許さないから」
エリエさんは男達の言い訳を聞いても、やはり様子が可笑しいと思ったのかな?
彼女は低い声で、僕に重傷を負わすな、負わせれば許さないと脅しを入れた気がする。
「ああ、分かっているってエリエ。俺達が男王に酷い事をおこなうと思うか? なぁ、皆?」
「う、うん」
「こいつの言う通りだ」
「俺達は男王と相撲をとっているだけだよ」
「そう、俺達は男王と仲良く遊んでいるだけだから」
まだ怪訝な表情でいるエリエさんへと男達は、また慌てて言い訳をおこない。
彼女がこの場を立ち去り、姿が見えなくなれば。
「このクソガキ! 誰が悲鳴を上げて良いと言った!」
「もう少しでエリエにばれそうになるところだっただろうが!」
「いい加減にしろ、クソガキ!」
「お前は知らないだろうが! 酋長も、お前の女癖の悪さに呆れ返りっているし。困っているのだぞ!」
「そうだ! そうだ! クソチビ!」
「早く、この集落から出ていけ! 余所者の癖に!」と。
男達は僕の身体を蹴り、踏みしながら。
アイカは僕の妻だけれど。
陰では僕に愛想つきたと、不満を漏らしているのだと。
あいつらは優しいから。(笑)
ケラケラと教えてくれた気がする?
◇◇◇




