第55話 見て見ぬふり(5)
「ブヒ!」
「ブゥホッ!」
「ブヒブヒ!」
「ブフォー!」
「ブフォー!」
自分達の群れの仲間を僕に一刀両断されたから、他の大イノシシたちは恐れをなしてこの場から慌てて逃げる訳ではなくて仲間……。群れがいない僕のことを恐れる訳ではなく、自分達の仲間を殺した僕のことが憎くて仕方が無い用だから。
大きなイノシシ達の群れは鼻息荒く、僕に威嚇と吠え、咆哮までしてきた。
そして僕一人を今度は十数頭の群れで一気に襲い。死んだ仲間の分まで僕を食べ、自分達の栄養にしようと試みるみたいだけれど。
以前の僕ならば、それ可能だと思う。しかし今の僕は別の世界の自分の仙術。気力が発動できたら一人ではない。
「──仙術スキル、《《精霊召喚》》!」
僕は無詠唱で、御経を唱えることなく召喚術を発動し。その後は更に、僕を守護する仲間の名を呼ぶ。
「──キングとクイーンおいでー! ──そして僕に力を貸してー! おねがいだー!」
僕は心から自分を守護してくれる仲間を、嘆願をしたのだった。
◇◇◇




