第49話 男の勲章だと思う?(3)
「おはようございます。みなさん……」
僕は籠を背に背負ったままいつもの場所……。
そう若いオークの漢戦士達が集い、屯して雑談をして笑っている場所へと到着すれば。
その場にいる人達へと朝の挨拶をするのだ。
今日はアイカさんが建物の影から、こちらの様子……。
そう僕が自分自身を鍛え、この集落の《《男王》》に恥じない人物になるための訓練をおこなうのをひっそりと見て──。様子を窺っていることも知らないで、僕は今日も勝てぬ相手に対して馬鹿正直に挑むために朝の挨拶を終えれば。
自分の頭を下げたまま状態で、
「──今日もよろしくおねがいします」
と嘆願をすれば。
僕は自分の背負っている洗濯篭を地面に置き──。以前SNSの動画サイトで観た──。見よう、見まねのファイティングポーズをとり、構えのポーズに入ると。
「ほら、チビかかってこいよ」
今日もいつもの如き様子でね、僕のことを侮り、嘲笑う彼等……。
そうオークの若い漢戦士達と……。僕自身もどうせ虐めに遭うとわかっているのならば、自分の気持ち的にも、これから彼等とおこなわれる行為は虐めではなく。みんなが寄って集って、僕のことを精神、肉体共に強くしてくれているのだと。僕は自分自身に言い聞かせながら、今日も実践相撲に挑むのだ。
いつも宮殿内では、僕の痛々しい様子を見て、確認しても、プイ! と素知らぬ振り……。
僕が「うぅ、うううっ」、「い、痛い、痛いよ」、「身体中が痛い」、「痛くて仕方がない」と涙を流そうが、冷たい目で見詰めてくるだけで……。直ぐにプイ! として、ツンツンしながら他所の部屋へといき、無視を続けている。
そうアイカさんの実の夫であるはずの僕の身体の心配など一切していないはずの彼女が建物の陰から……。今にも泣き出しそうな悲しい顔で僕の様子を窺っているなど。僕自身も知らない、わからない。
だから僕は威勢よく。
「うりゃあああああああああっ!」
と叫びながら猪突猛進──! 相手の腹部へと向け──頭から突撃を決行するけれど。




