第48話 男の勲章だと思う?(2)
「……いや、本当なんだよ、プラウムさん……。僕の身体中の傷はね、男の勲章で……。僕の訓練……。努力の結果なんだよ……」
僕はまた不機嫌極まりないプライムさんへと説明をすれば、離れた位置から僕達四人の様子を窺っているのか?
こちらをチラチラと見てくる馬鹿女神シルフィーへと視線を変え。
シルフィー、お前の口からもプラウムさんへと何とか言ってくれよ! と僕はアイコンタクトで訴えるのだが。
シルフィーの奴は僕と目が合えば、『プイ!』と余所見をしたから、僕はか・な・り不機嫌極まりない様子へと変わり、『ムッ!』としたから。
「──シルフィー! そこで僕のことを無視しないで! 早く僕の許へときて、身体の傷を癒し治せ!」と下知をだして。
「シルフィー! 先ほどからお前の主の僕が、身体中が傷で痛い、痛い、と言って嘆いているのだから早く治癒をしろよ。僕の身体の至る処の骨にひびや折れ、砕けて、本当は死にそうなくらい痛いのだから」と。
僕は幼子が母親へと我儘を言うようにシルフィーへと不満を漏らしつつ、早く自分の傷を癒せ! 尽くせ! と不満を漏らせば。
「痛い……。痛いよ……。本当は身体中が痛くて仕方がないんだ……」
僕は《《男の勲章》》に対してのやせ我慢をする行為……。己の気を高め、張る行為を辞め……。いつもの情けない、駄目亭主の健太君に戻りながら、自分の両目から痛みで涙もポロポロと流しつつ、そのままプラウムさんの膝へと倒れ込んで、お妃さまの膝にスリスリと甘えながら涙し、嘆き、悲痛の声を漏らし続けた。
だからプラウムさんの顔は大変に柔らかく、穏やかな表情へと変わり、いつもの僕だけの女神さまになってくれて。
「……健太さん、ヨシヨシいい子……。良い子ちゃんですね……。あなたさまの身体の痛みは私がとってさしあげますね……」
と、僕に告げると。プラウムさんの華奢で小さな掌が広がり、治癒魔法《《ヒール》》が発動して──。もう一人の女神さまの掌が緑色に光れば、僕の身体中の痛みが段々と和らいでいく。
だから僕の悲痛な表情が柔らかい物へと変化していくのだった。
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