第34話 洗濯屋健ちゃん? (9)
「うぅん、良い……。大丈夫だ。男王……」
ウルハさんは自分の下着のような衣服……。この集落に住むオークの女性達にとっては宝物に等しい衣服なのだと、アイカさん達が言っていた大事な物を異性の僕が触り、触れてもいいと告げてくれたから。
「うん、わかったよ。ウルハさん……。じゃ、僕が洗うね……」
と、僕は彼女の大事な物を受け取り、百円均一の洗濯板と自然に優しいらしい、手作りの洗濯石鹸を使用して『ゴシゴシ』とウルハさんの衣服を破れないように気を遣い、丁寧に洗い始めた。
すると僕以外のオークの主夫の人達の目が何故か急に冷たい物……。視線へと変わって僕のことを睨むように見詰めだした気がするから。
僕は(あれ?)と思いながら、自分の周りの様子をさり気なく見て様子を窺うと。僕はふと自分の真横で大人しく座っているウルハさんの顔を横目でチラ! と見てしまう。
すると彼女は僕が洗濯する様子を何故か悪意ある、妖艶に微笑みを浮かべながら見ている。
だから僕は、
(ウルハさんはどうしたのだろうか?)
と首を傾げるけれど。
「……ん? 男王、どうした? うちの顔に何かついているかい?」
そう僕は困惑しながらウルハさんの顔を見ていると──。彼女が気がついて僕に尋ねてくるから。
「えっ! いや、何でもないです。ウルハさん。あっ、はははははは」
僕は彼女が困惑した表情で尋ねてきたから、何でもありません、と言葉を返すのだった。
でッ、洗濯をしながら。
(先ほどのウルハさんの妖艶な笑みは何だか、気になるな……)
と思いながら。
ウルハさんの衣服も洗い終わったので、僕は彼女へと。
「はい、ウルハさん、衣服洗い終わりましたよ……」




