第25話 洗濯屋健ちゃん? (1)
「健太、わらわのこれを頼む?」
「あっ、私のもお願いだ。御方……」
「あなたぁ~、私のもおねがいねぇ~」
「はい、健ちゃん~、サラのも~」
「はい~、陛下~。朕のもおねがいね~」
僕は今日も神殿内でゴロゴロと寛ぐ気妃さま達四人から《《ある物》》を受け取ると。
「えぇ~」、「うそ~」、「今日も~、いかないといけないの~?」、「もう少し溜まってからでいいじゃん?」、「いいじゃんか?」
と驚愕! 絶叫を上げ! 嘆きながら尋ねる。
「「「「「うぅん」」」」」
「「「「「だめ」」」」」
「「「「「いってらっしゃい」」」」」
「「「「「頑張って」」」」」
だけど僕の《《アジア・アフリカ仕様の異世界スローライフ》》のお妃さま達や女神さまは今日も自分達の小さな頭を振り──。僕に《《あるも物》》を強制的に向かわせようとするから。
「僕はお婆さんでもないのに、何で今日も川へと向かい。洗濯をしないといけない訳?」
僕は五人のお妃さま達へと不貞腐れた顔で不満を今日も漏らした。
でもね、そんな僕へと直ぐにサラちゃんが詰め寄り。
「健ちゃんはサラ達の御主人さまだから。衣服や下着を洗うのは旦那さまとしては当然のこと、当たり前のこと……。そして決まりごとだから健ちゃん頑張ってね。さぁ、行ってらっしゃい!」
まあ、こんな感じでさ、サラちゃんが僕へと告げ、背中を押し、急かしてくるけれど。
僕は主夫の仕事の一つである洗濯が余り好きではない。
だから僕はサラちゃんへと幼子のように不貞腐れた顔や声音で。
「えぇ~、何で、サラちゃん~。今日じゃないといけない訳~? 明日か、明後日でもいいじゃん? いいじゃんかぁ~?」
とお願いをするけれど。
「うぅん、だめ! 行ってらっしゃい!」
やはりサラちゃんに背中を押され、アイカさんを筆頭に他のお妃さま達も王さまの僕へと。
「うっふん」
と妖艶に微笑みかけ、後で優しくしてあげるからと無言で御機嫌取りをしつつ僕に手を振るから。
僕は「はぁ~」と大きな嘆息を漏らしつつ、今日も気が重いなと嘆きながら。僕の麗しいプラウムさんが夜鍋をして木の皮で編んでくれた籠に、お妃さま達の《《ビキニ水着》》のような獣の皮を加工して作った衣服や下着を籠に詰め──。
僕はランドセルのように中世的、太古的に担ぎながら。何故我が家にこれがあるの? と僕が首を傾げる《《百円均一》で購入したのではないか? と思われる。プラッチック製の洗濯板を僕は今日も手で握り掴むと神殿を出て──。
神殿前で僕は「はぁ~」とまた大きな嘆息を漏らして、その後は嫌々ながら今日もお爺さんの芝刈りではなく、お婆さんは川で洗濯ではないが。
僕はお爺さん役になるはずなのに、今日も集落の外れにある小川へと洗濯をしに渋々向かうのだった。




