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第210話 みんなコイツを知っている? (1)
「も、もう痛い! 痛いから!」と。
「あなた! そんなに酷く、私の腕を握り、引っ張らないでよ。私の腕が痛いから」と。
自身の美しい顔を悲痛な表情へとしつつ、不満を吐いてくる。
バカ女神シルフィーへと僕は、怪訝な表情をしながら。
「シルフィー! ミュイから!今直ぐ降りろ!今直ぐにだ!」と、荒々しく告げ。
アイツの華奢な手首を強く握り、強引に引きずり降ろせば。
バン! と。
アイツは、大きな音をだしながら僕へと抱きついてきたよ。
「ふっ、ふふふ。あなた~」と。
アイツ、シルフィーの奴は、自身の腕を強く握る僕に対して痛い、痛いと不満を漏らしていたわりには。
ミュイの馬上から、僕に抱きつけば。
先ほどまでの悲痛な表情が、大変に御機嫌麗しい顔へと変化──。
フェインやルイジさん。
その他のメンバー達がいようが、コイツはお構い無しに甘えてくるから。




