第24話 僕は王様だけれど畑仕事をすることもある (8)
僕のエリエさんは更に憤怒した顔をしながら。
「貴様等が言っている言葉は嘘偽り無い言葉だろうな?」
と尋ね。
「もしも次にこのような不祥事が起きれば、次は私もそれなりの対処をするからな、皆は覚悟をするように……。分かったな……?」
エリエさんはこの場に居る僕以外の親族の男性達のことを見渡しながら睨みつけ。王である僕を蔑にするような行為をすれば許さないと脅しを入れた。
「ああ、分ったよ。エリエ……」
「次からは男王が獣に襲われていたら直ぐに助けるよ……。なぁ、皆?」
「うん」
「ああ」
「ちゃんと助けるよ……」
「だからこの度は許してくれ」と。
まあ、この他にも、僕が獣に襲われていたら今度からは直ぐに救助するよ、と。この場にいる人達は下を向きながら反省している様子でエリエさんへと次から次へと告げていくから。
「……もういいよ、エリエさん……。僕は大丈夫だったのだから……」
僕はお妃さまに微笑みながら告げた。
そして僕も自分達の周りを見渡し終えると。
「──みなさん、ごめんなさい……。僕が本当にひ弱だからみなさんにも迷惑をかけて本当にごめんなさい……。今後はできるだけ一人で外を出歩かないようにするから、本当にごめんなさい……」
僕はエリエさんに叱られた集落の若い男性達へと頭を下げ謝罪をした。
そしてこの場の暗い雰囲気を穏やかなものへと変え、事を穏便に済まし、終焉を迎えるように努力をした。
「うぅん、男王、別に良いよ……」
「悪かったな、男王……」
「すまなかったな、男王……」
「すまないな、男王……」
僕がこの場の雰囲気をよくしようと謝罪をして努力をすれば。みんなも次から次へと僕に謝罪をしてくれた。
そして僕への謝罪が終われば。
「──じゃなぁ、男王……」
エリエさんの従兄のウォルトさんが僕達に手を振り歩き始めた。
すると彼に続くように他の男性達も。
「ほら、皆行くぞ~!」とか。
「ほら、皆、解散だ~!」
と次から次へと言葉が漏れ。
「ばいばい」
「さようなら」
「じゃ、なぁ~」
と言葉も漏れ、僕達夫婦の周りから人がいなくなるから。
僕もエリエさんへと視線を変えて。
「神殿に帰ろうか?」
と、微笑みながら告げると。
「うん」
と頷いた。
だから僕も毎日のように大変に若くて綺麗な御妃さまと夫婦仲良く手を繋ぎ帰る日々を続けるものだから。
この領地の若い男性達の嫉妬に近い僕への憎悪が段々と蓄積されていくのだった。
◇◇◇




