第23話 僕は王様だけれど畑仕事をすることもある (7)
「ちょっと待て、貴様等!」
僕イボ猪に追われ、もう少しで奴の胃袋の糧になろうとしていた危険な状態を意図的に知らん顔……どころか? 笑い、楽しんでいた。
それをエリエさんに邪魔をされ面白くなかった。面白いことが消えてしまったと不満を漏らした者達が数人いた。
だからそれを聞いたエリエさんは顔色を変え、この場に居た者達へと立ち去るなと告げるから。
「「「「「えっ!」」」」」
僕の情けない、お笑いショーを見ていた者達の口から驚嘆が漏れ。
「な、何だよ、エリエ?」
「な、何を怒っているんだ?」
「お、俺達が何かしたか?」
彼女の御機嫌を窺うように尋ねるも者も現れる。
「何かではないだろう、貴様等……」
そんな彼等にエリエさんは大変に低く、重たい声音で言葉を返せば。
「──貴様等の中に、家の御方がこの豚に食われそうになっていたのを面白可笑しく見ていた者がいるようだが。それは真か?」
僕がイボ猪に食われそうになっているのを助けずに、楽しんで観戦をしていた者がいるのか? と。
この集落最強のエリエさんが、この場から立ち去ろうとする漢戦士達へと尋ね。
「もしも、王を見捨てるような、不届き者がいるようならば許さん……」
エリエさんは憤怒しながら唸るように尋ねるものだから。
「い、いや」
「あ、あの」
「お、俺達は別に……」
「なぁ、皆?」
「う、うん」
「只……」
と、この場を立ち去ろうとした者達は一斉に下を向き、エリエさんへと誤魔化しを始めると。
「……男王を助けようと思ったらエリエがこの場にきたんだよ」
エリエさんへと誤魔化しを始める者が現れるから。




