第177話 頑張ったから結果がでた(8)
だからフェインは。
「うん、わかった」と頷き。
「父さん、本当に少し、一回だけだからね。一度終われば。私は直ぐに部屋に戻るから」と。
フェインは一応は不快感を募らせた声音でカイジさんへと告げる。
「ああ、分かっているよ、フェイン。いつもの事だから。直ぐに返してやるから」と。
彼は嬉しそうに告げると。
僕とフェインの寝所を彼は出ていく。
そんな彼をフェインはソォ~と、僕から離れ。
夫である僕を置いて、カイジさんの後を追っていく日々も、相変わらず続いているよ。
だから僕は、その都度嗚咽を漏らし泣いている。
(何で僕っていつもこうなんだ……。いつも自身の宝物を他人に奪われ、惨めな思いをする羽目になる酷い世界……。僕に対して優しくない、酷い世界だ……)と。
僕は床の上で横たわり、嗚咽を漏らしつつ。
自身の脳内で、カイジさんやフェインではなく。
この太古過ぎる世界を呪う。
そして僕をこんな酷い世界へと召喚をした。
だめ女神シルフィーに対して。
(シ、シルフィーの奴が、こんな酷い世界へと僕を召喚するから。僕はいつもいつも、こんな酷い目に遭うんだ。くそ~ッ! もしもシルフィー僕の目の前に現れるようなことがあってみろ。必ずアイツの顔を殴ってやる……。いや、八つ裂きにしてやる。あのクソ女が……)と。
僕は自身の胸の奥に溜まる嫉妬心と憎悪の捌け口がないから。
僕を召喚したあの阿保! シルフィーの奴に八つ当たりをしている。




