第131話 駄目かも? (1)
「みな、ちょっと待って! 父さんもみなを止めて! おねがい!」
「どうした、レイン?」
「その子何か、文字が書ける。読めると言っているから。その子を火にくべるのは、もう少しばかり待ってくれないかな、父さん……」、
「そして 私とその子と少しばかり会話をさせてくれないかな?」
「ん? ああ、いいぞ。レイン……」、
「皆、レインが、ああ、言うから。その男を殴る、蹴る、するのは辞めろ。分かったなぁ?」と。
もう本当に虫の息状態の僕──。
真っ裸で地面に横たわりながら涙を流し。
「はぁ、はぁ」と荒い息遣いの僕は。
美少女と王さま……。
う~ん、どうやら彼女の父親らしいけれど。
二人の会話の様子を聞き、僕は自身の脳内で。
(ふぅ、取り敢えずは助かった)と安堵。
まあ、僕の両手、両足は、相変わらず丸太に縛られたままだけれど。
僕の命が風前の灯火だったのは取り敢えず、一旦回避ができた。
でもまだ僕自身が完全に助かった訳ではない。
だから僕はまだ気が抜けず、油断も許さない状態だけれど。
それでもさ、一息付けたよ。
僕の周りにまだいる男達からの、殴る蹴るの暴行の方は完全にに止まったから。




