第114話 正義の味方はこない(2)
そう、アイカの奴が僕達の愛の巣──。
僕達風の神殿に。
ウォンの奴を連れ込まないと信じているから。
アイカ、助けにきて、おねがいだ、じゃなく。
アイカは僕のことが好きだから絶対に助けてくれる!
くるに違いない!
だから僕は生への執着心を諦めない!
アイカが必ず僕のことを救ってくれるはずだから。
何せアイツは、僕の意思とは無関係な、強制的異世界転移の褒賞なのだから。
◇◇◇◇◇
ぶら~ん!
ぶら~ん! ぶら~ん! と。
いくら時間が経とうが僕は、相変わらずミノムシのように。
自身の身体を揺らしている。
もう僕は完全に暴れ、抗いながら。
罠を何とか外そうと思う気持ちも薄れてしまった。
もう僕自身、あるのは現世への未練だけ。
先ほど僕が願ったこと。
そうアイカの奴が、正義の味方になって、ヒロインである僕の境地を救うと言った都合のよい行為、出来事は。
僕の妄想と解釈だけで終わったようだよ。
何時まで経っても、僕のことをアイカは助けにきてくれないと言うか?
あの集落の男王であるはずの僕のことを誰も助けにきてはくれなかった。




